キャラクターの作成


■背景と導入
 今回のキャンペーンでは、PCたちは全員で最初から冒険者としてパーティを組んでおり、最低1度の仕事を成功させている設定ではじめます。
 キャンペーンの導入は、《封鎖領ハウペリア》への通行門が存在する《紫壁領フォストリス》の街から、冒険者の店でとある人物からの依頼を受けて《封鎖領》に挑む、という形を取ります。

■種族
 PCに許されているあらゆる種族から選択することができます。ただし、蛮族のPCは《封鎖領》の外で人族のPCとパーティを組んでいることが不自然と考えられれば、《封鎖領》内でのスタート地点となる場所でパーティに加わることも検討します。
 また、このキャンペーンでは「穢れ度」が高いPCほど呪いによる身体変異を受けやすく、また戦闘などによって複数回の死亡と蘇生を受けることも充分に考えられるため、ナイトメアを含めて最初から“穢れ”を持つ種族はかなりのリスクを負うことになります。「2点」でもうギリギリ、「3点」以上はキャンペーン中にPCがレブナント化することを覚悟しなければなりません。

■作成
 生まれ表は任意で選んでかまいません。能力値は3セットをダイスで決定し、好きなセットを選択してください。経験点を+1500点、所持金を+800ガメル(計2.000ガメル)、能力値の成長を1回加えてキャラクターを作成します。PC間でお金の貸し借りをしてもかまいません。
 一般技能は5レベルを上限に、合計10レベルまでの範囲で選択してください。加工ルールを使う機会も存在し得ます。

■経歴
 合計3つまでの経歴を取得できます。PCが望むなら、経歴の1つを「のっぴきならない経歴表」から選択してもかまいません。
 「のっぴきならない経歴」とは、何らかの劇的な背景を背負っていることを示す経歴で、ゲーム的な不利を伴う「逆境」と引き換えに特徴的な設定、またはある種のアドバンテージを得るものです。課された「逆境」は経歴ごとに示された条件を達成することで「克服」することができ、そのときには名誉称号として名誉点を獲得します。

■選択ルール
 『ルールブックU』『アルケミスト・ワークス』『ウィザーズトゥーム』に掲載されている、すべての選択ルールを使用します。

■プリースト技能について
 冒険の舞台である《封鎖領ハウペリア》はフェイダン地方に存在する帝国《年輪国家アイヤール》内に存在します。
 フェイダン地方で信仰されていない小神(リルズ、ニールダ、ヒューレ、レパラール)のプリースト技能では、神聖魔法の消費MPが+2点されます。

■ライダー技能と騎獣について
 《封鎖領》には人や荷物だけでなく、騎獣の出入りも厳しく管理されています。騎獣のレンタルは、《封鎖領》内に入ってから行うことになります。このとき、通常のルールとは異なり、1回のレンタル料で「30日間」レンタルできます。また、非売品の騎獣もレンタル可能です。
 ライダーにはやや有利なルールですが、騎獣を死亡させてしまうと取引価格そのままが借金となり、2割以上返済するまでボーアしかレンタルできなくなる点には注意。

■「流派」への入門について
 《封鎖領》内でのスタート地点となる【城塞都市ヴィルトルード】の冒険者の店では、『フェイダン博物誌』掲載の「流派」ルールを利用するために必要な「入門」を店を訪れる武芸者を通して行い、流派の秘伝を習得したり流派装備を譲ってもらうことができます。名誉点は通常通り必要です。
 ただし、望む流派の伝承者がタイミングよく店を訪れているかどうかはダイスで決定します(そこまで厳しい確率ではありません)。また、伝承者が極めて少ない『ライロック魔刃術』への入門は、イベントによって出会う特定のNPCを通してのみ可能です。

■成長と冒険者レベルについて
 封鎖領の冒険では、PC全員の冒険者レベルの平均値を基準として、各種判定の目標値や魔物の強さ、その他にも多くの数値が変動します。
 特に、好意判定の目標値と魔物の強さは、平均レベルが「2.5以上3.5未満」「3.5以上4.5未満」「4.5以上5.5未満」...と、「N.5」のラインを超えるごとにワンランク上に設定されます。  各PCは、自分の成長により、 平均レベル(端数切捨て)が上昇する、成長を行うときは、他のPL達とよく相談し、

■“猟犬”の脅威度
 封鎖領での冒険において最大の脅威のひとつである“猟犬”は、総じて先制値・命中力・打撃点に優れ、耐久力が低い傾向にあります。同じレベル帯のほとんどの魔物を凌駕するその攻撃力は、PCの能力によっては一瞬で戦線を瓦解させるだけの威力を持っており、PCにはこれに耐え、撃退する能力が求められます。
 以下に、“猟犬”のデータの一例を示します。1回の戦闘に1度、『侵蝕の享受』によって「威力100」点のHPまたはMPを回復できることと合わせて参考にしてください。例に挙げるデータは、冒険者レベル3のPC5人に対し、“猟犬”の中では比較的偏りのない能力を持つ「人型タイプ」が2〜3体出現した場合のもので、これは“猟犬”の出現パターンの中でも最悪に近いケースにあたります。
 なお、このキャンペーンの戦闘では不意打ち時などを除き、PCはあらかじめ決めておいた5mの範囲に収まる「戦闘隊列」を組んだ状態で先制判定に臨むことができます。
 人型の“猟犬”(分類:神族、魔物レベル5)
知能:なし 知覚:魔法 生息地:封鎖領 反応:敵対的 弱点:命中力+1
知名度/弱点値:13/16 先制値:15 移動速度:15 生命抵抗力:7(14) 精神抵抗力:7(14)
命中力8(15) 打撃点2d+9 回避力7(14) 防護点3 HP21 MP10
 特殊能力
「○毒無効、○病気無効、○精神効果無効」
「▼膿夢の祝福」
 命中力判定と打撃点の決定において、2dの出目をひっくり返して変更できます。
 この能力を使用すると、MP5点を消費します。
「〆2回攻撃&双撃」
 左右の腕でそれぞれ1回ずつの攻撃を行います。1回目の攻撃の結果を確認してから、2回目の攻撃を、同じ対象にさらに行うか、別の対象を選んで行うかを選択できます。
繰り返しますが、3レベルのPC5人に対して、2〜3体出現するときのデータ。

■追加戦闘特技
 以下の戦闘特技を追加します。作成時に取得できるものではありません。

《変異適応:○○》
 冒険の妨げになるような形状や機能を備えてしまった部位を、反復訓練によって自らの肉体の一部として使いこなせるようになったことを表す戦闘特技です。○○には変異の名称が入ります。
 この戦闘特技を習得した際に、次の2つのうち、いずれかの効果を選択します。

歪な熟練
 習得しているキャラクターは、変異によってAランク以上の武器として利用できるようになった部位を、あたかもBランクの武器であるかのように扱うことができます。ランク効果も有効です。
 ただし、武器そのものの修正を除き、命中力・追加ダメージには魔法や戦闘特技など、いかなるボーナス修正、ダメージの上昇効果も得られません。扱えるのは《変異適応》に対応した変異によって得られた武器だけです。同名の武器であっても変異によらない武器を扱えるようにはなりません。

例)“猟犬”に殺され、蘇生したダッカードは、左腕に《魔剣封入・腕/ローズウィップ+1》の変異を得ました。これは腕にSランクのカテゴリ<絡み>武器である<ローズウィップ(魔法の武器+1)>が封じられ、補助動作でMP10点を消費することで、18ラウンドの間、左腕をこの武器として使えるようになるという変異です。しかし、ダッカードは《武器習熟U/絡み》を習得しておらず、この武器を扱うことはできません。
 直後のミッション達成による経験点の獲得によって冒険者レベル5に到達したダッカードは、訓練を経て、戦闘特技《変異適応:魔剣封入・腕/ローズウィップ+1》を習得します。これによって、ダッカードは《魔剣封入・腕/ローズウィップ+1》で得た<ローズウィップ+1>に限り、ランク効果を含めて扱えるようになりますが、《武器習熟U/絡み》のようにダメージボーナスは得られず、普通の<ローズウィップ>を買い求めても扱うことはできません。あくまで変異した自分の身体を扱う戦闘特技なのです。

まやかしの巧み
 習得しているキャラクターは、変異によって自らが習得している技能では扱えない武器として利用できるようになった部位を、カテゴリやランクに関わらず「冒険者レベル+器用度ボーナス」を命中力、「冒険者レベル」を追加ダメージとして扱えるようになります。ランク効果も有効です。
 ただし、この戦闘特技で扱えるようになった武器による攻撃では、武器そのものの修正を除き、命中力・追加ダメージにはいかなるボーナス修正、ダメージの上昇効果も得られません。また、扱えるのは《変異適応》に対応した変異によって得られた武器だけです。同名の武器であっても、変異によらない武器を扱えるようにはなりません。

例)“猟犬”に殺され、蘇生したダッカードは、右脚に《レッグキャノン》の変異を得ました。足裏に銃口が開き、MP5点を消費して体内で生成した【ソリッド・バレット】を撃ち出せる変異ですが、ダッカードの戦士系技能はファイター技能4レベルだけであり、射撃攻撃はまともに行えません。
 直後のミッション達成による経験点の獲得によって冒険者レベル5に到達したダッカードは、この変異を防護点の高い敵への攻撃手段とすべく《変異適応:レッグキャノン》を習得します。これによって、ダッカードは「冒険者レベル+器用度ボーナス」を命中力として<レッグキャノン>による射撃攻撃を行い、「威力20+冒険者レベル」点の魔法ダメージを与えることができるようになりますが、彼が習得している錬技【キャッツアイ】はこの攻撃の命中力判定には適用されず、「魔法ダメージ+2点」の弱点を見抜いた敵に対してもダメージの上昇はありません。

 例に挙げた2つは、どちらも「使えない変異を少しでも使えるようにする」用法であり、貴重な戦闘特技枠を費やすには難がある場合も多いでしょう。が、変異の中には「両腕がまったく習熟していないカテゴリのSランク武器に変化してしまい、他の武器などをいっさい装備できない」など、PCの能力に致命的なペナルティを強いるものもあり、この戦闘特技はそうした状況を改善するためのものです。上に挙げた2つの効果でカバーされていない不利を得た場合にも、GMの裁量によって《変異適応:○○》による補正を得られることがあります。
 得てしまった変異の内容が著しく厳しいペナルティを課し、それが訓練によって改善できる余地があると感じたならGMに相談してください。

■追加アイテム
 以下は、《封鎖領》内で購入できる追加アイテムです。

 <地礫の刃>、<炎条の刃>、<水乱の刃> <カテゴリ>ランク:<ソード>B、<投擲>B 基本取引価格:18.000G
用法:1H投 必筋:1 命中:+1 威力:6 C値:10 追加D:+1 備考:[刃][魔]
 指輪を手の装飾品として装備し、補助動作でMP3点を消費することで、3分(18ラウンド)の間、上記のデータを持つカテゴリ<ソード>の武器として使える刃を作成することができます。作成された刃は指輪ごとに定められた「土」「炎」「水・氷」のいずれかの属性の物理ダメージを与えます。
 さらに、効果時間中にMPを追加で3点消費することで、追加ダメージが+2されます。刃の作成・強化は1ラウンドに合計1回のみ行え、作成も含めて3回まで効果が重複します(最大でダメージ+4)。また、生み出した刃を投擲して射撃攻撃を行えます。射程は10mで、投擲すると刃は失われます(再度MPを消費して生み出せます)。
 刃を作成するには、それぞれの刃の要素の元となるものが必要です(むき出しの地面、松明の炎、水場や水袋など)。要素があるかどうかの最終的な判断はGMが行います。

 <テンペストブレイド> <カテゴリ>ランク:<ソード>A 基本取引価格:15.500G
用法:2H 必筋:17 命中:― 威力:32 C値:10 追加D:― 備考:[刃]
■ランク効果:この武器による攻撃がクリティカルした場合、ダメージの処理の後、対象は「算出ダメージ」を目標値とする生命抵抗力判定を行い、失敗するとその場に転倒します。複数の部位を持つキャラクターには効果がありません。

 <ルーンドゥルガー> <カテゴリ>ランク:<スピア>A 基本取引価格:21.000G
用法:1H両 必筋:18 命中:―  威力:28 C値:10 追加D:+1 備考:[刃][魔]
用法:2H  必筋:18 命中:+1 威力:33 C値:10 追加D:+1 備考:[刃][魔]
■ランク効果:この武器による攻撃では、《魔力撃》と合わせて、同時に《全力攻撃》《全力攻撃U》《牽制攻撃》《牽制攻撃U》《牽制攻撃V》《必殺攻撃》《挑発攻撃》のいずれかを宣言できます。同時に宣言した戦闘特技は、ペナルティ修正を含めて完全に効果を表します。
■非ランク効果:魔法の発動体として使えます。

 <シャッターナックル> <カテゴリ>ランク:<格闘>B、<ガン>B 基本取引価格:28.500G
用法:1H 必筋:5 命中:― 威力:5 C値:10 追加D:― 備考:[打]
用法:1H 必筋:5 命中:― 威力:― C値:10 追加D:― 射程:10m 最大装填数:1
 拳を握り込んで使用する<ガン>です。そのままで射撃武器としても、<パンチ>を強化する武器としても使えます。装備したままでもグラップラー技能の装備制限には該当しません。

 <黄角騎士の鎧> <カテゴリ>ランク:<金属鎧>A 基本取引価格:14.000G
必筋:24 回避:−1 防護点:8
■ランク効果:補助動作でMPを1点消費することで、HPを現在の「膿夢侵蝕度」点、回復することができます。ただし、3分(18ラウンド)後に、現在の「膿夢侵蝕度」と同じだけの呪い属性の魔法ダメージを受けます。このダメージはいかなる効果でも軽減できません。この効果は1日に1度だけ使用できます。

 <黄角騎士の仮面>/<黄角騎士の外套> 装備部位:顔/背中 基本取引価格:8.000G
 補助動作でMPを1点消費すると、10秒(1ラウンド)の間、特定の能力値が現在の「膿夢侵蝕度」点、上昇します。<仮面>では器用度が、<外套>では筋力が上昇します。この効果は1日に1度だけ使用できます。

 <インベルナブレイド> <カテゴリ>ランク:<ソード>S 基本取引価格:48.500G(非売品)
知名度:19 製作時期:魔動機文明時代 形状:白銀の刀身を持つ大剣 概要:クリティカルを与えた敵を転倒させる
用法:1H両 必筋:22 命中:+1 威力:32 C値:10 追加D:±0 備考:[刃][魔]
用法:2H  必筋:22 命中:+1 威力:52 C値:10 追加D:±0 備考:[刃][魔]
■ランク効果
 この武器による攻撃がクリティカルした場合、ダメージの処理の後、対象は「算出ダメージ」を目標値として生命抵抗力判定を行い、失敗するとその場に転倒します。
 複数の部位を持つキャラクターに対しては、その本来の部位数に関わらず、活動している(HPが0以下になっていない)部位の半分(端数切り上げ)以上に対して同時にクリティカルを与えた場合、ダメージ処理の後、対象は「最も高い算出ダメージ」を目標値として1度だけ生命抵抗力判定を行い、失敗するとその場に転倒します。このとき、対象は生命抵抗力判定に「+(本来の部位数×本来の部位数)」のボーナス修正を得ます。
■解説
 ハウペリア子爵家に伝わる宝剣であり、現在は<黄角騎士団>副団長、“灰色の巨壁”ルガルド・ザドの佩剣です。
 腕利きの<黄角騎士>が振るう魔剣<テンペストブレイド>の上位にあたる嵐の魔剣で、斬撃に伴って発生する暴風は、一閃でドラゴンさえも地に討ち墜とすと言われています。
 その真価は、両腕で保持し、広範囲を薙ぎ払ったときにこそ発揮されます。



■追加流派
 以下は、《封鎖領》内で入門できる追加流派です。

【ラトクレス縮地神聖術】
 フェイダン地方で信仰される小神《韋駄天ラトクレス》の信者たちが、外敵に満ちた《封鎖領ハウペリア》で輸送業務を行う<韋駄天ギルド>で編み出した流派です。神聖術を謳っていますが、実際には<大破局>以前の技術体系をある程度残している《封鎖領》ならではの、系統に関係なく存在する魔力操作の技法を基礎としています。
 本来、どの系統の魔法にも適用できる技術ですが、使用には1系統に特化させたある媒体が必要であり、現在<韋駄天ギルド>が販売しているのは神聖魔法に対応した媒体を組み込んだ装飾品<韋駄天の徽章>のみです。【ラトクレス縮地神聖術】の秘伝を使用するためには、部位:首、手、その他のいずれかに<韋駄天の徽章>を装備している必要があります。
 この流派への入門には、名誉点50点に加え、授業料兼<韋駄天の徽章>の代金として<韋駄天コイン>20個が必要です。

《韋駄天の伝、誤ることなし》
基礎特技:《魔法拡大/確実化》    前提:なし        装備限定:<韋駄天の徽章>    必要名誉点:20
概要:行使判定の自動失敗時、出目を「3」に変更する。最終的な消費MP+5
 この秘伝の使用を宣言した場合、魔法の最終的な消費MPを+5します。秘伝使用者が魔法を行使し、自動失敗した場合、その出目を「3」に変更し、自動失敗を回避します。
 この秘伝は、《魔法拡大/確実化》以外の《魔法拡大/**》の戦闘特技や、それらを基礎特技とする変化型秘伝と同時に宣言することができます。消費MPは、それらの拡大によって倍化させてから+5します。

《韋駄天の足、届かぬ彼方なし》
基礎特技:《魔法拡大/距離》     前提:なし        装備限定:<韋駄天の徽章>    必要名誉点:20
概要:「射程:接触」の魔法を離れた対象に行使する。MP消費2〜4倍
 この秘伝は、「射程:接触」の魔法を行使するときに宣言することが可能です。これを宣言した場合、消費MPを2倍にすることで、魔法の射程を「術者の制限移動」mとして行使することができます。消費MPを3倍にすれば「術者の制限移動×2」m、4倍にすれば「術者の制限移動×3」mです。この秘伝によって10m以上の射程を得ることはできません。
 秘伝使用者が戦闘特技《足さばき》を習得している場合、この秘伝によって拡張される射程も「制限移動」が10mであることを前提とし、射程の制限はなくなります。鼓咆【堅陣の構え】など、一時的に「制限移動」距離を延長する効果は、この秘伝によって拡張される射程には影響しません。
 この秘伝は、《魔法拡大/距離》以外の《魔法拡大/**》の戦闘特技や、それらを基礎特技とする変化型秘伝と同時に宣言することができます。

《韋駄天の帰参、遅るることなし》
基礎特技:なし            前提:《足さばき》    装備限定:<韋駄天の徽章>    必要名誉点:30
概要:魔法を行使してから移動する
 この秘伝を宣言した場合、秘伝使用者は主動作で魔法を行使した後に、自身による「制限移動」を行えます。複数回の主動作を行える場合、移動した後に2回目以降の主動作を行えます。


【皇城防衛軍式鋼射術】
 <大破局>当時、《皇城領》周辺への篭城を決めたアイヤール帝国が捨石同然の遊撃部隊として組織した《皇城防衛軍》を率いた隊長たちによって生み出された技術体系です。
 補給もなく、限られた装備で敵地へと踏み込むことを余儀なくされた彼らは、支給された(せめて長持ちする捨石であって欲しいという上層部の『配慮』による)高性能な<マギスフィア>を改造し、限られた状況で有効となるいくつかのカスタマイズを弾丸に施せるよう再設定しました。
 これは、急造の部隊であるために隊員同士の錬度差が目立つにも関わらず、連携して強力な蛮族と戦わねばならなかった彼らには、技術に勝る者が劣る者をサポートできる武装が求められたことが主な背景となっています。また、彼らの主武装である<ガン>に対して特殊な防護を持つ蛮族や魔法生物に対しても、手持ちの武器で相対しなければならなかった事情も反映されました。
 以下の秘伝は、《皇城防衛軍》が編み出した特殊なカスタマイズの内、現代の<マギスフィア>でも再現でき、特定の<ガン>でなくとも適用可能な一部です。現場での場当たり的な改造を基礎としているため、<ガン>本来の利点を薄れさせているものも散見されますが、問題なく動作します。
 この流派は、現在では失伝しています。入門には名誉点50点に加え、《皇城防衛軍》の遺した軍務日誌などから情報を得るか、あるいは《皇城防衛軍》の生き残りに教えを乞わねばなりません。

《ホロウブレイク》
基礎特技:《牽制攻撃》    前提:《精密射撃》       装備限定:2H<ガン>    必要名誉点:20
概要:衝撃弾で対象の四肢を一時的に麻痺させる。ダメージは最大で対象の「生命抵抗力」点
 この秘伝を宣言した場合、秘伝使用者は自身の行使した【〜・バレット】の銃弾に、命中時の衝撃を拡散させる性質を与え、銃撃した対象の四肢を衝撃で麻痺させることができます。
 この秘伝を宣言した銃撃が命中した場合、対象は10秒(1ラウンド)の間、秘伝使用者が指定する、片腕か片脚、あるいは翼や尻尾などの末端部位1つの機能が減衰します。人型の生物であれば、片腕または片脚を撃ち抜かれることで、命中力または回避力判定に−1のペナルティ修正を受け、両腕/両脚を自由に扱えることを前提とする特殊能力を使用できなくなります。GMは、翼を撃ち抜いて「○飛翔」の能力を消失させるなど、対象の身体構造や能力に応じて、任意に付加効果を設定しても構いません。
 この秘伝は、<マギスフィア・オプション>によって強化された【〜・バレット】にのみ適用することができます。また、対象に与えられる適用ダメージは最大で「対象の生命抵抗力」点となります。
 戦闘特技《魔法制御》を習得していなければ、範囲を対象とする【〜・バレット】にこの秘伝を適用することはできません。【バースト・ショット】においては、命中力判定へのボーナス修正を放棄する代わりに、命中時に機能を減衰させる末端部位を2つ指定することを選択できます。

《メタルジャケット》
基礎特技:なし        前提:《武器習熟/ガン》    装備限定:2H<ガン>    必要名誉点:20
概要:物理ダメージを与える銃弾で射撃する。対象の防護点半減
 この秘伝を宣言した場合、秘伝使用者は自身の行使した【〜・バレット】の銃弾を硬化させ、魔力の浸透ではなく実体弾の衝撃によってダメージを与えることができます。
 この秘伝を宣言した銃撃が命中した場合、対象の防護点を半減(端数切り上げ)して物理ダメージを与えます。半減できるのは、防具などが本来持つ「物理的な」防護点(固定値のキャラクターであれば戦闘データに記載された防護点)だけで、戦闘特技や魔法などによって加算される防護点はそのままです。
 この秘伝は、<マギスフィア・オプション>によって強化された【〜・バレット】にのみ適用することができます。

《バリアピアシング》
基礎特技:《魔法収束》    前提:なし           装備限定:2H<ガン>    必要名誉点:30
概要:貫通弾によって魔法ダメージに対する防護を無効化する
 この秘伝を宣言した場合、秘伝使用者は自身の行使した【〜・バレット】の銃弾に、魔法ダメージへの防護と相殺する魔力のコーティングを施し、防護を貫通させることができます。
 この秘伝を宣言した銃撃が命中した場合、魔法ダメージを「−X点」する魔法や特殊能力、<ガン>のダメージに対して有効な防護点を無視して魔法ダメージを与えることができます。
 この秘伝は、<マギスフィア・オプション>によって強化された、1体を対象とする【〜・バレット】にのみ適用することができます。また、秘伝使用者は「無視しようとするダメージ軽減の点数×2」を【〜・バレット】の消費MPに加えなければなりません。追加した消費MPに対して、ダメージ軽減の点数が想定外に大きかった場合、この秘伝はいっさいの効果を発揮しません(すべて無視するか、まったく無視できないかの二択ということです)。



 のっぴきならない経歴表

A−1.“熱愛成就”/50点 克服条件:半年以内に封鎖領の冒険達成率30%
 あなたは身分違いの恋に取り付かれています。相手にとって自分がふさわしいと認めさせるため、危険な《封鎖領》に挑み名声を得ることを選びます。
 あなたは、自身の冒険の記録を克明に録り続け、恋文とともに相手に渡すつもりでいます。

A−2.“認められし者”/75点 克服条件:1年以内に冒険達成率60%
 A−1と同様ですが、すでに直接の相手とは相思相愛であることを確かめています。問題なのは相手の両親であり、これを説得する材料として、あなたは《封鎖領》での冒険を選びます。冒険記は両親に渡され、あなたの不屈の魂を証明することになるでしょう。

A−3.“草の根を分けた”/100点 克服条件:60日以内にすべてのブロックを明らかにする
 あなたは、《封鎖領》に入ったまま行方知れずになった、恋人/配偶者/家族/親友/恩人/仇を追っています。《封鎖領》を踏破してようやく、あなたは彼/彼女と再会できます。

A−4.“高い授業料を払った”/50点 克服条件:逃亡時に死亡する
 あなたは、過ぎたる勇敢さによるものか単にトロいのか、常に逃げ足が一歩遅れるタイプです。戦闘からの逃亡判定において常に−1のペナルティ修正を受け、失敗したときに受けるダメージが自身の冒険者レベル1ごとに2割増しになります(3レベルで1.6倍、10レベルで3倍)。
 逃亡失敗時の追撃ダメージによって死亡した場合、あなたはそれを教訓として、以後はきちんと逃げられるようになります。

A−5.“因習の惑いを晴らした”/5点 克服条件:変異を受け、習慣を変更する
 あなたは、変異の可能性が減るといわれている野草を使った茶を愛飲しています。これにより、「変異表箇所決定表」を振るとき、出目がゾロ目でなければ結果を−1することができます。しかし、ゾロ目だったときには結果を+6しなければなりません。
 1つでも変異を得たなら、この茶を飲む習慣を改めてもかまいません。そのときに、称号と名誉点を得ます。

A−6.“悪夢よりの帰還者”/150点 克服条件:変異を消す
 あなたは、何らかの理由によって既に変異に侵されています。自動で1箇所の変異を得ます。
 冒険の中で自身の得た変異(この経歴で得たものでなくてもかまいません)を消すことができたとき、称号と名誉点を得ます。

B−1.“筋を通した”/50点 克服条件:借金の完済
 次のうち、ひとつのアイテムないし特典を選んで受け取ります。<信念のリング>/<サイレントシューズ>/所有しているBランク武器1つを<魔法の武器+1>化/その他GMが許可するアイテムないし特典。
 あなたは、《享楽領ザルドル》の盗賊ギルドに5.000ガメルの借金をしています。1ヶ月ごと、《封鎖領》の門が開かれるときに、少なくとも3割単利の利息を、盗賊ギルド派遣の代理人に支払わなければなりません。払えないときは、その都度「指1本」を代わりに差し出す約束です。利息以上に払えば、元金を減らすことができます。支払いは【城塞都市ヴィルトルード】の預かり屋に代行させることができます。

B−2.“あぶく銭の”/50点 克服条件:借金の完済
 初期所持金に8.000Gを追加することができます。
 あなたは、ある商会に1万Gの借金を負っています。1ヶ月ごと、少なくとも1割複利の利息を取り立て人に支払わねばなりません。不足や滞りは元金に加えられます。利息以上に払えば、元金を減らすことができます。
 不払いにより、借金額が2万Gに達してしまうと、あなたは詐欺で告発され、終身奴隷として《陰影領ゴラ》に贈られます。支払いはB−1と同様です。

B−3.“心優しき”/125点 克服条件:12.000Gの支払いを完遂
 あなたには難病の恋人/配偶者/家族/親友/恩人がいます。治療費として、毎月500Gが必要です。2年間の施療が必要であり、最低でもこのペースで、トータル12.000Gを達成しなければなりません。1度でも滞れば、対象キャラクターは死亡してしまい、既に支払った金額も戻りません。
 達成時、あなたは称号と同時に「有能な金庫番が付随する個人住宅」を入手します。そのための名誉点もここで獲得するものに含まれています。支払いはB−1と同様です。

B−4.“無謀な買い物”/100点 克服条件:1年以内に所定金額を貯め、アイテムを入手
 初期所持金から1.000Gを減らさなければなりません。
 あなたは、ある魔法の品物に執着しています。基本取引価格が1万G以上のものから任意で1つ選択してください。
 前金1.000Gを既に渡し、残金も1年以内に用意するという条件で、1割引きで打ってもらえる約束を取り付けています。1年以内に残金が用意できなければ、前金は違約金として没収されます。

B−5.“改めし者”/100点 克服条件:本文参照
 あなたには、ギャンブルの悪癖があります。ミッション達成時の成長の直後、買い物を済ませた残金で必ずギャンブルを行います。2dを振り、出目が5以下ならあなたの所持金は「0」になります。8以上の場合、5割増しになります。他のPCをギャンブルの相手にすることはできません。
 ギャンブルによって失った額はその都度記録し、合計が「5.000G」に達したら、あなたはこの悪癖を改めることができます。

B−6.“妥協なき”/20点(+α) 克服条件:なし(最初から称号と名誉点20を獲得)
 あなたは、装飾品などのファッションに非常にこだわります。あなたの名誉アイテムは、本来の価格の5割増しです。所持品を名誉アイテムに加工するときにも、差額を支払います。この称号に伴う名誉点は、アイテムの名誉点の1割ずつ、自動で追加されていきます。
 あなたは、ひとつ以上の名誉アイテムを入手した後なら、いつでもこの称号と称号に伴う名誉点すべてを返上し、この浪費癖を改めることができます。既に使ったお金は戻りません。