ウォーリーダー技能
戦場で仲間を指揮し、勝利へ向けて有利に立ち回れるよう指示を出すための技能です。ウォーリーダー技能はBテーブル技能であり、この技能を持つ者は、軍師、あるいは戦旗師と呼ばれます。
ウォーリーダー技能は、次の2つの用途に使用できます。
●先制判定
ウォーリーダー技能を持つ者は、スカウト技能と同じように「ウォーリーダー技能レベル+敏捷度ボーナス」を基準値として先制判定を行えます。
●鼓咆
鼓咆は、名誉を得たことによる確かな自信と知名度を活かし、自身の声を大気中のマナに干渉させて、より有効かつ的確な指示を広い範囲の仲間たちに伝えるための技法です。
使用者のみを強化する錬技とは逆に、使用者以外の仲間を強化します。錬技と同様、【センス・マジック】などには反応せず、【ディスペル・マジック】などで解除されることもありません。
キャラクターは、ウォーリーダー技能を1レベル習得するごとに、1つの鼓咆を習得できます。錬技と同じく、ウォーリーダー技能が5レベル以上、または10レベル以上でなければ習得できない中位、上位の鼓咆も存在します。
鼓咆を使用するのに、MPなどのコストは不要です。ただし、鼓咆を使用するためには<軍師徽章>と呼ばれるバッジを装飾品として「頭」「首」「背中」「右手」「左手」「腰」「その他」のいずれかの装備部位に身につけている必要があります。
以下に、鼓咆のルールを示します。文中では、鼓咆を使用して効果を及ぼそうとするキャラクターを「軍師」と呼称します。
■鼓咆の使用
鼓咆は、1ラウンドに1回、補助動作で使用できます。達成値は「0」として扱い、「鼓咆を主動作で使用して達成値を得る」といった使い方はできません。
鼓咆を使用するには、発声が必要です。声を伝えることで指揮を行う技術であるため、ナイトメアの〔異貌〕を用いても発声を省略することはできません。
一方で、身振り手振りは不要であり、「通常移動」「全力移動」でも使用できます。<軍師徽章>を身に着ける以外には、装備制限も存在しません。
なお、鼓咆は戦闘中にしか使用できません。
■鼓咆の対象
鼓咆の対象となるのは、軍師本人(の部位すべて)を除く、軍師が味方と認めた任意のキャラクターすべてです。敵対するキャラクターに影響を与えることはできません。
鼓咆の効果を受けるには、軍師の声を直接耳にし、その言語が理解できる必要があります。知能が「低い」「人間並み」「高い」以外のキャラクターや、軍師が話すことのできるいずれの言語も理解できないキャラクターは、鼓咆の対象になりません。ただし、軍師本人以外の騎手が所有権を持つ騎獣は、騎手が指示を理解できれば鼓咆の効果を受けることができます。
■鼓咆の効果範囲
鼓咆の効果範囲は、軍師を中心とした円形であり、軍師が持つ合計名誉点によって変化します。その対応は以下の通りです。
合計名誉点 効果範囲
0〜20 半径6m
21〜50 半径10m
51〜100 半径15m
101〜200 半径20m
201〜500 半径30m
501〜1000 半径50m
1001〜2000 半径100m
2001〜5000 半径500m
5001〜 戦場ひとつ
■鼓咆の効果時間
一部の例外を除き、鼓咆の効果時間は「3分(18ラウンド)」です。軍師が望むならば、補助動作で効果を終了させることができます。この場合、対象となった全員の効果が同時に終了します。
軍師が意識を失った場合、効果時間内であってもすべての効果を失います。
なお、持続時間のある効果である鼓咆は、呪歌や【バトルソング】の魔法などと異なり、鼓咆が使用された瞬間に効果範囲内にいなかったキャラクターには、効果時間中であっても一切効果を与えません。
■鼓咆への抵抗
軍師が使用した鼓咆に対して、抵抗の意志があるものは、自動的に抵抗に成功します。
■鼓咆の重複
鼓咆は、その名称や使用者に関係なく、ひとつの対象には同時にひとつしか効果を発揮しません。
すでに鼓咆の効果を受けているキャラクターが、同じ軍師が使用する別の鼓咆の対象になった場合、後から使用された鼓咆が効果を発揮します。
別の軍師が使用する別の鼓咆の対象になった場合、その軍師と、すでに効果を受けている鼓咆を使用した軍師の「@名誉点」「Aウォーリーダー技能レベル」「B知力」を順に比べ合い、高い数値を持つ軍師の鼓咆が効果を発揮します(まず@を比べ合い、@が同点ならAを比べ合い、Aも同点ならBを比べ合います)。それでも決着がつかなければ、軍師同士で2dを振り合い、高い出目を得た軍師が使用する鼓咆を優先します。
同じ範囲内にふたつ同時には効果を発揮しない呪歌とは異なり、複数の軍師が効果範囲を重ねて別々の鼓咆を使用し、それぞれ異なる対象に効果を与えることは構いません。
■声を用いる効果との併用
鼓咆は歌などに混ぜて使用することができます。軍師は、鼓咆を使用しながら呪歌や【バトルソング】の魔法などを使用して構いません。
■鼓咆のランクを高める
鼓咆には「ランク」と「系統」という概念があります。ランクは鼓咆の効果の強さを、系統は鼓咆が与える効果の方向性を表しています。
どんなに高レベルのウォーリーダーでも、いきなり高いランクの鼓咆を使用することはできません。まだ鼓咆を使用していない状態では、任意の系統の1ランクの鼓咆を使用できます。
次のラウンドになれば、前ラウンドに使用した鼓咆と同じ系統の、2ランクの鼓咆を使用できます。同様に同じ系統であれば、さらに次のラウンドでは3ランク、その次のラウンドでは4ランク、と1ランクずつ鼓咆のランクを高めていくことができます。もちろん、前ラウンドと同じかそれ以下のランクの鼓咆を再使用しても構いません。
なお、「基本」系統に属する鼓咆は1ランクのものしか存在しませんが、これらは次のラウンド、任意の系統の2ランクの鼓咆に移行することができます。
■鼓咆の系統を変更する
戦局が変わり、異なる系統の鼓咆を使用したいときには、前ラウンドに使用した鼓咆より1ランク以上低いランクの、任意の系統の鼓咆を使用することもできます。例えば、前ラウンドに使用した攻撃系3ランクの鼓咆から、防御系2ランクの鼓咆に移行できます。もちろん、1ランクの鼓咆であれば系統に関係なく、いつでも使用できます。
■覚醒効果
4ランクの鼓咆には通常の効果とは別に「覚醒効果」と呼ばれる、対象の意志で1度だけ発揮できる効果が設定されています。「覚醒効果」を使用する権利を持つのは、軍師が使用した1ランクの鼓咆の対象になっていたキャラクターだけです。ある軍師が1ランクの鼓咆を使用したとき、その対象になっていなかったキャラクターは、その軍師が鼓咆のランクを高めていき、4ランクの鼓咆を使用したとしても、「覚醒効果」を使用することはできません。
「覚醒効果」を使用したキャラクターは、その時点で「覚醒効果」を使用する権利を失います。もう一度、その軍師による1ランクの鼓咆の対象になれば(軍師が再び1ランクの鼓咆から使用を始めれば)、再度権利を得ます。
分かりづらいようなら、1ランクのすべての鼓咆の効果に「この鼓咆の対象となったキャラクターは、この鼓咆を使用した軍師が4ランクの鼓咆を使用したとき、その覚醒効果を使用する権利を得ます。一度覚醒効果を使用すれば、この権利は失われます」の一文を追加して考えても構いません。
なお、覚醒効果を使用する権利は「ある」か「ない」かのどちらかです。何度1ランクの鼓咆の対象になっても、覚醒効果を使用する権利を複数回分保持することはできません。
鼓咆リスト
3ランク、4ランクの欄にある鼓咆は、ウォーリーダー技能が5レベル以上でなければ習得できません。同様に5ランクの欄にある鼓咆は、10レベル以上でなければ習得できません。
1ランク 2ランク 3ランク(5レベル〜) 4ランク 5ランク(10レベル〜) 基
本【神速の構え】
移動力+5任意の2ランクへ 【堅陣の構え】
制限移動+2m攻
撃
系【怒涛の攻陣T】
物理ダメージ+2、
回避力−1【怒涛の攻陣U・烈火】
物理ダメージ+2【怒涛の攻陣V・轟炎】
物理ダメージ+3【怒涛の攻陣W・爆焔】
@物理ダメージ+3
A瞬間的に物理ダメージ+3【怒涛の攻陣X・獄火】
一度だけ物理ダメージ+8【怒涛の攻陣U・旋風】
命中力+1【怒涛の攻陣V・旋刃】
命中力+1、
物理ダメージ+1【怒涛の攻陣W・輝斬】
@命中力+1、
物理ダメージ+1
A瞬間的に命中力+2【怒涛の攻陣X・颱風】
1ラウンド、命中力+3、
物理ダメージ+2回
避
系【流麗なる俊陣T】
回避力+1、防護点−2【流麗なる俊陣U・陽炎】
回避力+1【流麗なる俊陣V・浮身】
回避力+1、
被ダメージ−1【流麗なる俊陣W・残影】
@回避力+1、
被ダメージ−1
A【ブリンク】付与【流麗なる俊陣X・水鏡】
1ラウンド、回避力+4、
被ダメージ−2【流麗なる俊陣U・流水】
回避力+2、防護点−2【流麗なる俊陣V・幻惑】
回避力+2【流麗なる俊陣W・瞬脱】
@回避力+2
A瞬間的に回避力+2【流麗なる俊陣X・影駆】
1ラウンド、回避力+2、
《影走り》付与防
御
系【鉄壁の防陣T】
防護点+2、
与える物理ダメージ−2【鉄壁の防陣U・鉄鎧】
防護点+2【鉄壁の防陣V・鋼鎧】
防護点+3【鉄壁の防陣W・反攻】
@防護点+3
A《カウンター》1回付与【鉄壁の防陣X・鋼城】
1ラウンド、防護点+6【鉄壁の防陣U・堅体】
防護点+1、
被魔法ダメージ−1【鉄壁の防陣V・甲盾】
防護点+2、
被魔法ダメージ−2【鉄壁の防陣W・無敵】
@防護点+2、
被魔法ダメージ−2
A【ホーリー・ブレッシング】付与【鉄壁の防陣X・槍塞】
1ラウンド、被ダメージ−4、
《カウンター》2回付与抵
抗
系【強靭なる丈陣T・抵体】
生命抵抗力+1、
精神抵抗力−1
【強靭なる丈陣T・抗心】
生命抵抗力−1、
精神抵抗力+1【強靭なる丈陣U・強身】
生命抵抗力+2、
精神抵抗力−1【強靭なる丈陣V・剛体】
生命抵抗力+2【強靭なる丈陣W・克己】
@生命抵抗力+2
A瞬間的に生命抵抗力+2【強靭なる丈陣X・激生】
【アウェイクン】発動
【強靭なる丈陣X・魔泉】
MP軽減−5【強靭なる丈陣U・精定】
生命or精神抵抗力+1【強靭なる丈陣V・整身】
生命&精神抵抗力+1【強靭なる丈陣W・賦活】
@生命&精神抵抗力+1
A瞬間的に生命&精神抵抗力+2【強靭なる丈陣U・安精】
精神抵抗力+2、
生命抵抗力−1【強靭なる丈陣V・心清】
精神抵抗力+2【強靭なる丈陣W・清涼】
@精神抵抗力+2
A瞬間的に精神抵抗力+2独
立【軍師の知略】
先制力を知力で算出【蘇る秘奥】
魔物知識判定再挑戦【大いなる挑発】
対象:回避力、抵抗力+1
軍師:回避力−4、抵抗力−2【勇壮なる軍歌】
呪歌を敵か味方のみに適用
■補足・詳細解説
■被ダメージを減少させる鼓咆
これらの効果はいずれも、「毒」「病気」「呪い」のいずれかの属性を持つダメージは軽減できません。
■【強靭なる丈陣U・精定】
この鼓咆が生命抵抗力と精神抵抗力のどちらを上昇させるかは、鼓咆の使用時に軍師が決定します。対象ごとに異なる効果を与えることはできません。
■4ランクの鼓咆
効果の内、@はこの鼓咆が常に与える効果です。Aは覚醒効果であり、すべての対象は1度だけこの効果を得ることができます。Aの効果を使用した後も、引き続き@の効果は受け続けることができます。
Aの効果のうち、「瞬間的に」とあるものは1回の判定やダメージ決定にのみ有効です。判定の達成値を上昇させるものは、判定の結果を見てから使用するかを決定できます。
【流麗なる俊陣W・残影】
対象は「回避力+1、被ダメージ−1」の効果を得ると同時に、真語魔法【ブリンク】と同じ「回避力判定を要求されたとき、自動的に成功する」効果を得ます。後者の効果は、対象が最初に回避力判定を要求されたときに自動的に発揮され、その1回きりで消滅します(「とっておく」ことはできません)。
【鉄壁の防陣W・反攻】
対象は「防護点+3」の効果を得ると同時に、覚醒効果として「1回だけ、任意の武器を用いて戦闘特技《カウンター》と同様の効果を発揮することができる」効果を使用できます。
【鉄壁の防陣W・無敵】
対象は「防護点+2、被魔法ダメージ−2」の効果を得ると同時に、神聖魔法【ホーリー・ブレッシング】と同様の追加HPを得ます。後者の効果は、この鼓咆が使用されたときに自動的に発揮され(「とっておく」ことはできません)、この鼓咆が効果を失えば追加HPは消滅します。
【強靭なる丈陣W・賦活】
対象は「生命&精神抵抗力+1」の効果を得ると同時に、覚醒効果として「瞬間的に、生命or精神抵抗力判定に+2(合計+3)のボーナス修正を得る」効果を使用できます。覚醒効果で生命抵抗力と精神抵抗力のどちらのボーナス修正を得るかは、対象が任意に決定することができます。
■5ランクの鼓咆
これらの鼓咆はいずれも、効果時間が1ラウンドです。【怒涛の攻陣X・獄火】は一度でも対象がダメージを与えれば、【怒涛の攻陣X・颱風】は対象の手番が終了すれば効果を失います。5ランクの鼓咆を使用した軍師は、次のラウンドではその効果が終了しているため、2〜4ランクの鼓咆に移行することはできず、再び1ランクの鼓咆から使用を再開しなければなりません。
【強靭なる丈陣X・激生】
範囲内の任意の対象すべてに神聖魔法【アウェイクン】と同じ効果を与えます。この鼓咆の効果時間は、「一瞬」として扱います。
【強靭なる丈陣X・魔泉】
範囲内の任意の対象すべては、消費MPが5点減少します(最低1)。この効果は、他のMPを軽減する効果と重複します。
■独立系の鼓咆
独立系の鼓咆には、ランクの概念がありません。それまでのラウンドで使用した鼓咆に関係なく使用できますが、ランクの上昇はできません。
【軍師の知略】
先制判定の直前に使用できます。軍師は、先制判定を「ウォーリーダー技能レベル+知力ボーナス」を基準値として行えます。
この効果は例外的に、軍師本人にのみ有効であり、軍師の手番開始時に消滅します。
【蘇る秘奥】
範囲内の任意の対象すべては、軍師が指定する1種類の魔物に対し、例外的に手番とは関係なく再度の魔物知識判定を行えます。
この鼓咆を使用すると、軍師が継続している他の鼓咆の効果は失われます。また、この鼓咆の効果時間は「一瞬」として扱われます。
【勇壮なる軍歌】
この鼓咆が使用されたラウンドに対象が使用する呪歌は、敵か味方のどちらかにしか効果を発揮しません。この効果は、同じ呪歌を使用し続ける間、有効です。
この効果は例外的に、軍師本人にも有効です。この鼓咆を使用すると、軍師が継続している他の鼓咆の効果は失われます。また、「歌唱効果:必要」となっている呪歌には効果がありません。
【大いなる挑発】
範囲内の任意の対象すべては、回避力判定と生命・精神抵抗力判定に+1のボーナス修正を得ます。同時に、この鼓咆が効果を発揮している間、軍師は回避力判定に−4、生命・精神抵抗力判定に−2のペナルティ修正を受けます。
ウォーリーダー技能用アイテム
<軍師徽章> アイテム区分:装飾品 基本取引価格:100G
このアイテムを装備していなければ、鼓咆は使用できません。装備部位は「頭」「首」「背中」「右手」「左手」「腰」「その他」に限られます。
<栄光の軍師徽章> アイテム区分:装飾品 基本取引価格:1000G+20名誉点
特別な栄誉によって与えられる、マナ増幅力の高い<軍師徽章>です。このアイテムを装備して鼓咆を用いる場合、1ランクではなく2ランクの鼓咆から使用を始めることができ、対象となったキャラクターに覚醒効果の権利を与えます。
ただし、2ランクの鼓咆から使用を開始できるのは一度だけです。この効果を使ってしまえば、<栄光の軍師徽章>は以降、普通の<軍師徽章>として扱われます。これによって名誉点を失うことはありません。
<栄冠の軍師徽章> アイテム区分:装飾品 基本取引価格:10000G+50名誉点
特別な栄誉によって与えられる、マナ増幅力の高い<軍師徽章>です。このアイテムを装備して鼓咆を用いる場合、1ランクではなく3ランクの鼓咆から使用を始めることができ、対象となったキャラクターに覚醒効果の権利を与えます。
ただし、3ランクの鼓咆から使用を開始できるのは一度だけです。この効果を使ってしまえば、<栄冠の軍師徽章>は以降、普通の<軍師徽章>として扱われます。これによって名誉点を失うことはありません。
<戦旗槍> アイテム区分:加工 基本取引価格:槍の価格+3000G+100名誉点
鼓咆を使用する際、声と大気中のマナの干渉をより強く増幅してくれる大きな旗を槍に取り付ける加工です。この加工を施した槍は<軍師徽章>として使用でき、鼓咆の効果範囲を考えるとき、軍師の名誉点を200点高いものとして扱います。
また、旗には特定の1系統を意味する図版が刺繍されており、その系統の鼓咆に限って、1ランクではなく2ランクの鼓咆から使用を始めることができ、対象となったキャラクターに覚醒効果の権利を与えます。
この加工を行った槍を用いた攻撃では、命中力判定に−1のペナルティ修正を受けます。