第7話「親友の消息」

 カースドランドの冒険も早7回目。一行も一人前と言っていいレベルの冒険者に成長してきました。今回は開始時間がやや遅く、ブラスダのプレイヤーがお休みだったこともあり、オープニングのみ。ややダイジェスト版でお送りします。

 各PCの成長

 ブラスダはソーサラー技能を6レベルに上げ、新たにセージ技能を2レベル習得しました。ついに魔力が二桁の大台に乗った上、さらに【ルシュロイネ魔導術】の伝承者に教えを請い、秘伝《ルシュロイネ魔導収束》をマスターしています。範囲に影響を与える魔法を行使するとき、その対象を1体に変更し、魔力を+2するという実用的な流派秘伝です。

 ライアは順当にプリースト技能を6レベルに上昇させ、セージ技能も5レベルに。以後はサブ技能としてウォーリーダー技能を重点的に伸ばしていく腹積もりとのこと。また、<黄角騎士団>での任務達成に伴って得られた<騎士の勲功>を消費し、<ひらめき眼鏡>と<とんがり帽子>を獲得しています。

 セシリアもシューター技能が6レベルに達し、さらにマギテック技能も5レベルに上昇させました。範囲を攻撃できる【グレネード】や【ショットガン・バレット】を覚えたのは大きな戦力上昇と言えるでしょう。さっそく<オプション>を買い込み、ほとんど報酬を使い果たしているようですが(笑)。オマケのようにスカウト技能も3レベルに。

 ティルはグラップラー技能とスカウト技能を共に6レベルに上昇させます。ほぼ脇目を振らずにこの2本に絞っているおかげで、どちらも冒険者レベルと同じラインを保ち続けているのですね。報酬は<真・ブラックベルト>を夢見て貯金中。<騎士の勲功>も恋人の<封鎖領通行証>を得るために貯めています。

 カルドはファイター技能が6レベルになるとともに、エンハンサー技能を3レベル、プリースト技能を4レベルまで伸ばしました。錬技【ビートルスキン】でさらに硬く、特殊神聖魔法【ヒートウェポン】でさらに打撃力を増しています。前回入門した【アゴウ重鎚破闘術】の秘伝《重破・骨喰み》と合わせ、大きく攻撃力が上昇した1人でしょう。

 ランもファイター技能が6レベルに。また、貯めに貯めた1ゾロ経験点を突っ込み、フェアリーテイマー技能も5レベルに上がっています。報酬で<ディフェンダー>を、<騎士の勲功>で<韋駄天ブーツ>を獲得し、やや機動力に欠けていた部分も着実に克服しています。


GM それじゃ、本編を開始しよう。15日目「夜」にヴィルトルードへ帰ってきたきみたちは、その足で<黄角城>に戻り、ルガルド副団長と報告その他、いろいろと話したところでした。そのまま城内で何かしてたり、買い物に行った人もいたと思うけど、「夜」になったことだし、今夜はこのまま<真紅の誓い亭>に泊まったってことでいいかな?
一同 はーい。
GM で、美味しい夕御飯をたらふく食べたきみたちは、疲れた身体を暖かいベッドに向けてダイブさせるわけです。……ん? 「ぐっすり」は寝ないのかな? 護衛宿泊なのかなってことだが。
ラン まだ「安全な宿泊」出来るほどの余裕は……無くはないけどきついよね。
ティル 護衛宿泊ですなぁ。
ライア 【ホーリー・クレイドル】必要な人は言ってね。
ラン 護衛宿泊で使えるんだろうか?
GM あ、そっか。言っておかないとね。神聖魔法【ホーリー・クレイドル】は、泥のように深〜い眠り……言うなれば圧縮睡眠によって短い睡眠時間で体力を回復させる魔法です。
ライア あー、もしかしてそこを(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!に襲われると……目覚めないまま、もきゅもきゅご飯に?
カルド 問答無用で殺される可能性が……?
GM はい(笑)。特記事項として(弱)ではない精神効果属性であり、これで眠っていると、たとえダメージが入っても目覚めることはありません。3時間経つまで決して起きないと。
セシリア 下手な使い方をするとそのまま目覚めない……あるなあw
ティル 使いどころが難しい。
GM 従って、今みんなが言ったような事態が発生する可能性に加えて、「交代で起き出して互いを護衛し合う」当直制の「護衛宿泊」ではその恩恵は受けられません。
カルド 「おめーら、約束がちがうぞ」って言われちゃうねw
ラン つまりまぁ。この街で【ホーリー・クレイドル】の出番というと、既に猟犬を倒した後の、護衛宿泊以外のときだね。
GM そんな感じ。基本以外の応用的な用法もあるかもしれませんが、とりあえず「無防備に眠りこけてOK」な時に使いましょう。というわけで今回は出番無しです。普段通りHPとMPを10%ずつ減らしてもらって、翌朝に進めまーす。
カルド はーい。

 16日目「朝」【城塞都市ヴィルトルード】

ラン 「姉ちゃん姉ちゃん、強くなった!?(わくわく)」
カルド 「やっと流派を覚えられたよ。これで鎧を越えて衝撃を相手に伝えられる」
一同 「おめでとー」
ライア 俺は宮廷つきの仕立て屋さんに超オシャレな帽子と眼鏡をオーダーメイドで仕立て上げてもらいました。ジャネルとかヴィドンとかの有名ブランドものね。早速着けてる。
ラン ライアが拘ってる!
GM うん、ライアに渡された<帽子>と<眼鏡>はなんかブランド品の匂いがするくらい立派な奴です。帽子とか紋章入りかも?
カルド 「おや、ライア。服を新調したのかい?」
ライア 「ハハハ、まあ有名税というやつだよ。実力あるものはそれ相応の格好をしないとね」
ラン 「格好つけちゃってー(笑)」 ばんばんっ(背を
ライア 「はっはっはー、妬かない妬かない」
ティル 「まぁ、拘りについては否定する気はないが。戦闘で痛むことは想定してるのか?」
ライア 「フッ、我らが<黄角騎士団>の技術力を舐めちゃいけない。耐水耐汚れコーティング済みの特注品さ!」
ティル 「無駄に凄ぇ!」
カルド 「次は特注の靴かな、ふふ」
ラン 「帽子に気を取られて転けないようにね!」
GM これが、実はライアの妄言じゃありません。騎士団から下賜されたあれこれは、明らかに相当品質のいいものばかりですよ。どっから輸入してんでしょうね。
ラン え、じゃあ実はボクのブーツも?
カルド 輸入はできそうだね、輸出は難しそうだけどw
GM 実際、この街に暮らす人々の間でも、きみたちは結構顔を知られてきました。もちろんライアだけに限ったことじゃないけど、ぶっちゃけ色んな意味で振る舞いが目立つからね。
ティル なるほどなあ。とりあえず依頼の確認をしたいのですが。現在はどんなのがありましたっけ?
GM OK。久しぶりに慌しく出立することもなく、満ち足りた様子で食事を終えたきみたちに、インゼさんがニコニコしながら寄ってきてお茶を出してくれる。
カルド 「あ、ありがとね」
ラン 「インゼ姉ちゃん、おはよう!」ぽっふw (だきつき
セシリア 「おはよおう〜」眠そうに
ライア 「あ、インゼさん。今日も輝くようなその笑顔が朝の爽快感を3倍増しにしてくれますね。いやー、やはりこの宿で迎える朝は最高だ」
GM/インゼ 「(ライアに)ふふ、ありがと。わりとちょくちょく帰ってきてたけど、なんだか今回は「お帰り」って言うのがしっくりくる感じ。ずいぶん頑張ってたみたいね。ちょっと評判になってきてるよ、みんな」
ティル 「結構暴れたからなぁ」
ラン 「うん、いっぱい頑張ったんだよ! 闘技場で戦ったの」
セシリア 「でも疲れました〜」
ライア 「ハハハ、活躍というのは自ら宣伝しなくとも自ずと人の耳に入ってしまうものですな。いやー、お恥ずかしい」
ラン 「軍旗もってるヒトが悪目立ちなんじゃない?」(冗談めかして)
カルド 「この軍旗、目立つからねぇ」
GM/インゼ 「『悪』目立ちってことはないでしょ(苦笑)。私の聞いた話だと、きみたち<黄角騎士団>でも新鋭の小隊で、ライアくんが指揮官ってことになってたしねえ」 最初の頃はド素人扱いされてたライアも、近頃は気さくな神官としてそれなりに評価されてますよ。
ライア 「はっはっはー、優秀な指揮官に率いられた我らはまさに一騎当千、少数精鋭部隊ですからな」
ティル 「前者はともかく後者は微妙に否定したいな」
ラン 「あははははw」
カルド 「……」 軽く放置w
ティル 「とは言え、流石に闘技場通いも疲れたし、依頼があるならそっちも見てみたいんだけど。何かないかな?」
GM/インゼ 「今は騎士団のほうの任務は一段落したとこなのね。それなら、うちに来てる依頼のほうも考えてみてもらおうかな」
セシリア 「お願いします〜」
カルド 「どんな依頼があるんだい?」
GM/インゼ 「まあ、噂で聞く限りだと、もうきみらの実力に見合う仕事になるかは分からないけど、開拓村関連の依頼がまた来てるんだよね。そっちははっきり言って、お使いそのもの」
ライア 「おや、開拓村といえば、僕らが最初の依頼で行った、あの?」
GM/インゼ 「うん。まあ実際のとこ、きみたちより少し格下のグループに任せたほうがいい気がしてるんだけどね。で……ちょっと、これは店の依頼とはちょっと違う話なんだけど……」
セシリア 「はい?」
ライア 「むむ、インゼさんからの頼みとあれば無下にはできませんが……なにか事情でも?」

 軽い口調を改め、インゼは微かに迷うような雰囲気を醸し出しつつ、きみたちを伺うように静かに話しはじめます。

GM/インゼ 「ずいぶん昔の話になるんだけど……私がこの<真紅の誓い亭>をはじめたとき、店の看板冒険者……って言っても始めたばかりの店だけど……だった子がいたのね」
ライア 「看板冒険者。つまり、今の我々のような者たちですな」
セシリア 「ま、まだわたしたちは早いんじゃ〜?」とかあわあわ
GM/インゼ 「(苦笑しつつ)名前はシモーヌ・ライメルン。私と同じラミアでね。それ以前から知り合いだったし、この店を通じて付き合い出してからは、親友って言っていい間柄だったかな。情の深い娘で、芯の強い性格だった。あ、物理的な意味でも強かったけど(笑)」
ラン 「ファイターだったの? 珍しいね」
ライア 「ほぉ、ラミア、女性ですか!」 俄然興味がw
セシリア 「こらこら〜」
GM/インゼ 「それで、しばらくはもっぱら腕利きのトラブルシューターとして冒険者をやってたんだけど、ある時、旅先で出会った人間の男の人といい仲になってね。ライアくんには残念だけど……じきにその人と結婚して、ある街に移り住んだの」
ライア 「それは残念……」
カルド 「へぇ。よかったじゃない」
セシリア 「素敵ですねぇ〜」
ラン 「おめでたいことだねっ」
GM/インゼ 「もちろん冒険者は引退してね。旦那さんになった人、学者肌の人だったらしくて、その人の強い希望で【岩の上の街】で暮らしてたみたい。何でも、街の領主が「知識の探求こそ生き甲斐!」みたいな人らしくて、大きな図書館があるんだってさ」
セシリア 「へえ、そんな凄い図書館があるんだ〜」

 しかし、ここまで昔を懐かしむような口調で話していたインゼさんは、表情を曇らせ、うつむいて続きを口にします。

ラン 「……インゼ姉ちゃん…」
ライア 「ど、どうなさいましたか、インゼさん!」
GM/インゼ 「私の知ってるシモーヌの『その後』は、ここまでで全部。それは仕方ないんだけどね。【岩の上の街】は遠いし、お互い簡単に出歩けたわけじゃないから。ただ、半年前に【岩の上の街】に行った知り合いが、教えてくれたの。しばらく前、肉体変異が限界に達してしまったシモーヌの旦那さんが死んでしまって、シモーヌもその直後から消息を絶ってしまった、って」
セシリア 「そんな……」
ライア 「なんとまぁ……」
GM/インゼ 「シモーヌが引退して結婚したのが12年前。【岩の上の街】に移り住んだのもその頃。だから、彼女の夫が死んでしまったのは、仕方のないことだったと思う。けれど、シモーヌはその直後に街を出たらしいの。正直、理由が分からない。普通なら、愛する人を失った彼女がショックのあまり……なんてことを考えるべきなのでしょうけれど。彼女に関しては、そういう感傷的な理由からの行動ではないと断言できるの」
セシリア 「強い人なんですね〜」
ラン 「かっこいいな。ボクもそんな人になりたいよ」
カルド 「そのご主人から何かを託されたとかはどうだろうねぇ? 貴重な本を預かったのかもしれないし、何かの知識を秘めた遺跡に向かったのかもしれないしね」
ラン 「可能性はあるね」
ライア 「ふむ、となると依頼というのはそのシモーヌさんの行方を捜すことですかな?」
GM/インゼ 「うん。ただ正直、今の時点では雲を掴むような話だとも思う。シモーヌの愛したその人を私は直接知らないし、シモーヌ自身にも何年も会っていないの。だから、もし引き受けてくれるなら『シモーヌの消息について調べて欲しい』。これが私の依頼よ」
カルド 「期限はあるのかい?」
ライア 「ふむ、まず我々はまだ【岩の上の街】という場所に行った事がないのですが、それはどのくらい遠いのですかな?」
GM/インゼ 「私の知る限り、シモーヌを直接知っている人はもうこの街にはいないし、手がかり・足がかりがあるとしたら、それは【岩の上の街】以外には考えられないわよね……大体の場所は分かるから、道筋は教えるわ。時間はいくらかかっても構わない」
セシリア 「新しい街は行ってみる価値はありそうですね〜」」
ライア 「ふむ、そういうことなら。まだ行っていない街があるというなら、ティル君の探し人の情報も掴めるかもだしね」
GM インゼは、【岩の上の街】の場所について地図を示しつつ説明します。「報酬は仕事の内容がはっきりしないし、少なくなりそうだったら後で追加するつもりだけど……とりあえず銀貨で5000G、先に渡しとくね。必要経費に使って」
ラン 「うん。ボクは受けても良いと思うけど、まだ起きてきてないブラスダ姉ちゃんにも相談してからにするね」
ティル 「そうだな」

 というわけで、今日はここまで。次回、本当にこのミッションを受けるのかどうか、というところから再開します。

シモーヌ・ポニツェーリ(旧姓ライメルン)について
 シモーヌは、ラミアの冒険者だ。<真紅の誓い亭>を拠点としたが、12年前に結婚して【岩の上の街】に移り住んだ。
 半年前、肉体変異が限界に達したことで夫が死亡し、直後に街を出たらしいが、そこで消息を絶ってしまったという。