ソード・ワールド2.0 悪影響による不利な修正一覧
ここではSW2.0で陥る、不利な修正を与える悪影響について説明しています。
精査の上で記述していますが、セッションでの利便性を念頭に置いたものであり、検証に必要な参照頁などは省略されています。
一部、明確な記述を根拠とせず、常識的判断(「地面に倒れている状態と飛行している有利は両立しないよね」)や、ルール改訂に伴い処理を妥当と思える形に修正した(「乱戦宣言はなくなったから、この部分は移動妨害の方に適用だな」)内容が含まれていますが、それらは文末に(※)をつけて区別しています。
【転倒】 【睡眠】 【気絶】 【盲目】 【毒】 【病気】 【呪い】 【精神効果】 【石化進行】 【特殊効果:絡み】
【視界が悪いことによるペナルティ修正】 【身体が自由に動かないことによるペナルティ修正】
【転倒】
地面に倒れている、またはそれと同等の不自由を強いられる態勢にあることを示す状態です。
特異な形状を持つ一部の魔物などを除き、意識を失ったキャラクターは原則として転倒状態になります(※)。
◆転倒状態による不利
A:移動不可
一切の移動を行えません。「○飛行」によるボーナス修正など、移動できることが前提であると判断される有利な修正を受けられません(※)。
標準戦闘、熟練戦闘においては、制限移動が行えないため、乱戦エリア外で他のキャラクターの移動を妨害することもできなくなります(※)。
B:行動制限
すべての行動判定に−2のペナルティ修正を受けます。
◆回復手段
自身の手番の補助動作で「起き上がり」を宣言することで「A:移動不可」は即座に解消されます。「起き上がり」を宣言した手番の終了時になると「B:行動制限」も解消されます。
注1)空中で転倒した場合
空中で転倒する効果を受けた場合、即座にその場から10m落下します。地面までの距離が10m以下であったなら、落下ダメージを被ります(受け身判定でダメージを軽減することが可能です)。
10m落下しても地面に到達しなければ、そこで態勢を立て直すことができ、墜落を免れます。
いずれの場合でも、◆転倒状態による不利は発生します。
注2)複数部位のキャラクター、転倒する効果を受けないキャラクター
複数の部位を持つキャラクターは、それを構成する一部の部位だけが転倒することはありません(全体がまとめて転倒するか、転倒しないかの二択です)。
派生して、「○転倒制御」など「転倒する効果を受けない」能力を持つキャラクターは、部位数に関わらず転倒することはありません(「転倒しない」能力を持つのが複数部位の一部であっても、それ以外の部位のみが転倒する事態は起こり得ません)。
ただし、転倒する効果を受けないキャラクターであっても、意識を失うなどの結果として転倒状態となることはあり得ます。GMが状況に応じて判断します(「<軽業のブーツ>でも気絶したらさすがに倒れるよね」「巨大カブトムシは……眠らせても転がらないのでは?」)
注3)騎手と騎獣は別々に転倒し得る
騎乗状態にある騎手と騎獣は、一般的な複数部位のキャラクターとは異なり、個々に転倒するか否かを判断します。騎手か騎獣、いずれかが転倒することがあれば、騎手は落馬し、落下ダメージを受けなければなりません。騎獣が転倒しない能力を持つ場合でも、その恩恵は騎手には及びません。
【睡眠】
眠りに落ち、意識を失っていることを示す状態です。
表面的には同じ現象でも、自然の眠りによるもの、毒物によるもの、魔法や特殊能力によるものなど原因は多岐に渡り、原因によって回復手段が異なります。
◆睡眠状態による不利
一切の自発的行動を行えません。戦闘中であれば、移動と主動作、補助動作のすべてが行えない状態で自身の手番を迎えることになります(ルール上、手番の開始時や終了時に処理されるべきものがあれば、それらは通常通り処理されます。「何もできないので手番を行わない」ことは選択できません)。
生命抵抗力判定、精神抵抗力判定、生死判定は通常通り行えます。回避力判定を要求された場合、自動的に失敗します。選択ルール「防御ファンブル」を採用している場合、機械的に2dを振り、防御ファンブルの発生のみをチェックします(※)。このときは6ゾロであっても自動成功にはなりません。
◆回復手段
睡眠状態を導いた原因、属性によって有効な回復手段が異なります。自然の眠りは達成値0の「精神効果属性(弱)」と同様に扱います。
毒属性 :【キュア・ポイズン】の魔法など、毒属性の効果を消し去る効果によって回復できます。
精神効果属性 :【サニティ】の魔法など、精神効果属性の効果を消し去る効果によって回復できます。
精神効果属性(弱):精神効果属性の効果を消し去る効果に加え、「HPまたはMPにダメージを受ける」「他者が(近接攻撃が可能な位置で)主動作を費やして正気づかせる」ことで回復できます。
呪い属性 :【リムーブ・カース】など、呪い属性の効果を消し去る効果によって回復できます。
複数属性を併せ持つ:「毒属性であると同時に精神効果属性」など、複数の異なる属性を併せ持つ魔法や能力による睡眠は、どちらの属性の効果を消し去る効果によっても回復できます。
ただし、呪い属性を併せ持つ場合に限り、呪い属性の効果を消し去る効果のみが有効です。
精神効果属性(弱)を併せ持つ場合には、それ以外の属性には関係なく、衝撃によって目覚めさせる手段が常に有効です(「呪い+精神効果(弱)」は叩けば起きる)。
なお、原因となった属性に関係なく、特に注釈がない限り【アウェイクン】の魔法による覚醒は有効です。ただし、魔法や特殊能力による睡眠からの回復には達成値の比べ合いが必要です(叩けば起きる【スリープ】も【アウェイクン】するのは難しいケースも)。<アウェイクポーション>では達成値「0」でない魔法や特殊能力による眠りは回復できません(※)。
睡眠状態から回復したキャラクターは、そのラウンドから行動可能です(多くの場合、目覚めた時点では転倒状態です)。
【気絶】
負傷や何らかのショックが原因で、意識を失っていることを示す状態です。
HPが0以下になって気絶した場合、更なる負傷や時間の経過によって生死判定を行わねばなりません。
◆気絶状態による不利
一切の自発的行動を行えません。戦闘中であれば、移動と主動作、補助動作のすべてが行えない状態で自身の手番を迎えることになります(ルール上、手番の開始時や終了時に処理されるべきものがあれば、それらは通常通り処理されます。「何もできないので手番を行わない」ことは選択できません)。
生命抵抗力判定、精神抵抗力判定、生死判定は通常通り行えます。回避力判定を要求された場合、自動的に失敗します。選択ルール「防御ファンブル」を採用している場合、機械的に2dを振り、防御ファンブルの発生のみをチェックします(※)。このときは6ゾロであっても自動成功にはなりません。
HPが0以下になって気絶した場合、さらにHPにダメージを受けるか、10分が経過するたびに生死判定を行います。生死判定に成功すれば気絶状態が維持され、失敗すれば死亡します。気絶状態であっても、HPが1以上まで回復したなら、生死判定を行う必要はありません(もちろん、回復したHPがダメージなどによって再び0以下になったなら生死判定を行います)。
◆回復手段
【アウェイクン】の魔法か<アウェイクポーション>が使用された場合、即座にHPが「1」まで回復し、気絶状態から目覚めます。
生死判定を要求され、自動成功した場合も、同様にHPが「1」まで回復し、気絶状態から目覚めます。
気絶状態のまま放置されても、最後にダメージを受けてから1時間が経過した場合、自動的にHPが「1」まで回復し、気絶状態から目覚めます。
ダメージによらない特殊能力などによって気絶状態に陥った場合、【アウェイクン】の魔法などで回復させるには達成値の比べ合いが必要です。自然回復の可能性についてはGMが決定します。
気絶状態から回復したキャラクターは、そのラウンドから行動可能です(多くの場合、目覚めた時点では転倒状態です)。
【盲目】
視力を完全に失っていたり、外部的な要因によって視界が完全に奪われているなど、視覚がまったく機能しないことを示す状態です。
透明な魔物など、視覚で捉えられないキャラクターと戦闘を行う場合も、同様に扱います。
◆盲目状態による不利
近接攻撃、射撃攻撃、またはそれに類する能力の命中力・回避力判定に−4のペナルティ修正を受けます。
射程のある攻撃や魔法、特殊能力などは、自身と同一の座標に存在するキャラクター、または自身が参加している乱戦エリア内に存在するキャラクターのみ、その対象とすることができます。「形状:貫通/突破」や、範囲を対象とする魔法や効果においても、直接の目標(中心点)とできるのは同一座標、または同一乱戦エリア内に限られます。このとき、「射程:接触」の魔法のように戦闘特技《魔法拡大/数》の適用を禁じられることはありません(※)。また、行使判定にペナルティ修正はありません。
盲目状態のキャラクターは、乱戦エリア外で敵性キャラクターの移動を妨害することはできません(※)。乱戦エリアに参加している味方がすべて盲目状態なら、当該乱戦エリア内の敵性キャラクターは自由に乱戦エリアを離脱して移動することができます。
◆回復手段
魔法や特殊能力などで一時的に失った視力は、【キュア・ブラインドネス】の魔法などで回復できます。肉体的欠損による視力の回復には【リジェネレイション】の魔法など高度な手段が必要です。
外部的な要因によって視界が奪われている場合には、その原因を除去しなければなりません(暗闇を【ライト】で照らす、【スモーク・ボム】を【ディスペル・マジック】で解除するなど)。
この項目は、主に戦闘における盲目状態の処理について記述しています。非戦闘時や特殊な状況での扱いについては、後述する「視界が悪いことによるペナルティ修正」を参照してください。
【毒】
生物由来のものであれ、魔法的なものであれ、毒物によって継続的な悪影響を受けていることを示す状態です。
効果は千差万別ですが、総じて毒属性として扱われ、一部の例外(呪い属性を伴うなど)を除き【キュア・ポイズン】の魔法などで回復できます。
注1)<アンチドーテポーション>は飲むポーション
達成値15以下の毒属性の効果を消し去る<アンチドーテポーション>は飲用であり、<アウェイクポーション>のように振りかけて使う用途には使えません。
このため、毒に冒された被害者自身がポーションを使用できない類(意識を奪うなど)の毒物に対する回復手段としては機能しません。
(他の属性にも言えることですが、悪影響に対する回復手段は、その手段自体が回復すべき悪影響によって実現できない状況に陥るケースがままあります。これらの処理がご都合的に覆ることは「ルール的には」ありません。例えば、補助動作の使用を禁じる【スタン・クラウド】の魔法の効果を、補助動作による回復手段(練技【ヘルシーボディ】など)で回復することはできません(※)
【病気】
自然界に存在する、あるいは魔法や特殊能力がもたらす病に侵されていることを示す状態です。
効果は千差万別ですが、総じて病気属性として扱われ、一部の例外(呪い属性を伴うなど)を除き【キュア・ディジーズ】の魔法などで回復できます。
病気によっては自然治癒する余地があるものも存在し、専用のルールが設けられています。各病気の解説を参照してください。
【呪い】
魔法や特殊能力などによってもたらされる、回復困難な悪影響を受けている状態です。
呪い属性として扱われる効果は、その内容に関わらず、【リムーブ・カース】などの呪い属性を消し去る効果でのみ回復可能です。
【精神効果】
魔法や特殊能力などによって精神に何らかの異常を来していることを示す状態です。
効果は様々ですが、呪い属性を伴わない限り【サニティ】の魔法など、精神効果属性を消し去る効果によって回復が可能です。
ただし、その性質上、被害者自身が回復を行うことは不可能と判断されるケースが多々あります。GMが個別に判断してください。
【石化進行】
一部の魔物の特殊能力により、徐々に身体が石化していく状態です。完了すれば完全に石化し、被害者の意識は途絶えます(※)。
石化進行は必ず「石化進行(能力値名/−X)」という記述が為され、この効果を受けたキャラクターは指定された能力値がX点減少します。指定能力値が複数ある場合、無作為に選ばれた1つのみが減少します。この効果は累積し、いずれかの能力値が0になれば(0未満になることはありません)石化が完了します。
◆石化進行による不利
石化進行中は、能力値の減衰により、対応する判定にペナルティ修正を受けます。また、敏捷度や筋力の減少は移動力や武器、防具の必要筋力を圧迫し、生命力や精神力の減少はHP、MPの現在値・最大値も同時に減少させます。
石化進行が完了し、完全に石化してしまえば、一切の自発的行動が行えなくなります(気絶による不利を参照してください)。生命抵抗力判定、精神抵抗力判定、生死判定は通常通り行えますが(※)、ダメージを受けることがあれば、石化した状態でも適用されます。
◆回復手段
完全に石化する前であれば、石化進行を与えた効果の属性(通常、毒属性か呪い属性です)に応じた回復手段が有効です。
完全に石化してしまった後では、【キュア・ストーン】などの石化を解除する手段が必要になります(これらは進行中の石化にも有効です)。
完全に石化した状態から回復したキャラクターは、そのラウンドから行動可能です。
【特殊効果:絡み】
カテゴリ<絡み>の近接武器、または一部のカテゴリ<投擲>の武器によって与えられる、身体の一部を絡め取られた状態です。
◆特殊効果:絡みによる不利
命中箇所に応じた、様々な悪影響やペナルティ修正が発生します。詳細は『AW』69頁を参照してください。
また、近接武器による「特殊効果:絡み」を受けた場合、または「命中箇所:脚や足」に「特殊効果:絡み」を受けた場合、一切の移動を行えなくなります。
◆回復手段
主動作で「絡みを解く」ことで、任意の命中箇所への「特殊効果:絡み」を1つだけ解除することができます。絡みを解くのは本人でも、別のキャラクターでも構いません。
また、回復手段ではありませんが、主動作で「引っ張り合い」を試みることもできます。絡まれた者と絡めた者、双方の「冒険者レベル+筋力ボーナス(魔物の場合は生命抵抗力)」で達成値を比べ合い、不利な結果を得た側はその場に転倒します(絡みは解けないままです)。絡めた側は、「引っ張り合い」を挑まれたとき、判定前に絡み武器を手放すことができ、その場合には「引っ張り合い」は発生せず、代わりに絡まれた者は自動的に「絡みを解く」ことができます。「引っ張り合い」において、複数の部位を持つキャラクターは自身の判定に「+自身の部位数」のボーナス修正を得ます。
注1)絡めた側の行動
前述の「引っ張り合い」は絡めた側も主動作で試みることができ、絡まれた側は否応なく達成値の比べ合いを行わねばなりません。
また、絡めた側は補助動作で絡み武器を手放すこともできます。このとき、武器は相手に絡んだままになりますが、命中箇所が「脚や足」でない限り、「一切の移動を行えなくなる」効果は失われます(投擲武器による「特殊効果:絡み」は最初から手放された状態です)。
「特殊効果:絡み」は、異なる命中箇所に対して累積します。また、同じ命中箇所に対しても、ペナルティ修正こそ重複しないものの、複数の絡みを維持することは可能です。
■視界が悪いことによるペナルティ修正
身体的要因や外部的要因により、視界が制限されている状況で受けるペナルティ修正です。修正の値は例であり、状況によって増減されます。
これらの状況が与えるペナルティ修正は、すべての行動判定に対して適用されます。生命抵抗力判定、精神抵抗力判定、生死判定には適用されません。
【薄闇】近くに光源のない夜の屋外:−2
月明かりや星明かりと言った、遠方の乏しい光源しか利用できない状況で受けるペナルティ修正です。暗視能力によって無視できます。
【暗闇】近くに光源のない屋内や地下:−4
一切の光源がない状況で受けるペナルティ修正です。視覚によって他のキャラクターなどを認識することはできません。暗視能力によって無視できます。
【視界不良】深い霧や激しい砂嵐の中:−2
外部要因によって著しく視界が制限されている状況で受けるペナルティ修正です。「○mより先は目視できない」などの悪影響が付随することがあります。
【片目】片目が使えない:−2
負傷などによって視覚の半分が機能していない状況で受けるペナルティ修正です。
【盲目】両目が使えない:−4
まったく視覚が機能していない状況で受けるペナルティ修正です。視覚によって他のキャラクターなどを認識することはできません。
戦闘時の扱いについては前述【盲目】の項目を参照してください。
■身体が自由に動かせないことによるペナルティ修正
態勢を崩している、何らかの拘束を受けているなど、身体的に不自由がある状況で受けるペナルティ修正です。修正の値は例であり、状況によって増減されます。
これらの状況が与えるペナルティ修正は、すべての行動判定に対して適用されます。生命抵抗力判定、精神抵抗力判定、生死判定には適用されません。
【転倒】転倒している、もしくは起き上がった直後:−2
前述【転倒】の項目を参照してください。
【足場】氷の上やぬかるみなど、足場が悪い:−2
足場が悪い状況で受けるペナルティ修正です。飛行/浮遊能力によって無視できます。
【片手】片腕、もしくは片脚が使えない:−2
四肢の1つが使えない状況で受けるペナルティ修正です。通常、装備の制限や移動力の減衰を伴います。
【不随】両腕、もしくは両脚が使えない:−4
四肢の2つ以上が使えない状況で受けるペナルティ修正です。通常、装備や動作の制限や移動力の大幅な減衰を伴います。
【拘束】網や蔦、泥などに絡みつかれている:−2
身体の一部が拘束されている状況で受けるペナルティ修正です。通常、装備の制限や移動不能を伴います。
【水場】腰から下が水に浸かっている:−2
少なくとも膝上より上までが水中にある状況で受けるペナルティ修正です。移動力の低下を伴います。
水中でのペナルティ修正を受けない能力、飛行/浮遊能力によって無視できます。
【水中】全身が水に浸かっている:−4
ほぼ全身が水中に没した状況で受けるペナルティ修正です。移動力の大幅な低下を伴います。詳細は『U』26頁/『U改』32頁を参照してください。
水中でのペナルティ修正を受けない能力によって無視できます。