『カルゾラルの魔動天使』追加ルール・セクション


■用語
 以下は文中、及びゲーム中に登場する本キャンペーン独自の用語です。

・PC:プレイヤーが操る各プレイヤー・キャラクター、及び魔動天使を指します。「PC人数」「PC全員」には、魔動天使を含みます。
・パーティ:PC、及び同行しているNPCや後述する「足手まとい」すべてを指します。「パーティ人数」「パーティ全員」は、これらのキャラクターすべてを数えます。
・2dして選ぶ:能力値成長と同様に、サイコロを2つ振り、好きな一方を選ぶことを指します。
・目標値○・一人:PC全員が目標値○の判定を行い、一人でも成功することが成功要件である判定目標値です。主に探索判定など。
・目標値○・半数:PC全員が目標値○の判定を行い、過半数以上が成功することが成功要件である判定目標値です。協力して岩をどかす判定など。
・目標値○・全員:PC全員が目標値○の判定を行い、全員が成功することが成功要件である判定目標値です。難しい隠密判定など。
・目標値○・個別:PC全員が目標値○の判定を行い、成否の結果をPCごとに適用する判定目標値です。回避力判定など。

 T.全体の進行 U.進行ルール V.踏破ルール W.その他のルール X.戦闘ルール



 T.全体の進行

 本キャンペーンは、およそ15話程度のシナリオで構成されています。各シナリオ間には明確な区切りが存在し、シナリオごとに成長や買い物を行うことができます。いくつものシナリオをクリアしていくことで、蛮族の領域であるカルゾラル高原に拠点を築きながら進撃し、一定区域をカルゾラルに対する人族軍の橋頭堡として確保することがキャンペーンの目的です。
 シナリオ0「天使覚醒」で、魔動天使との出会いを果たした後は、以下の手順でシナリオが進行します。

1.シナリオ選択
 シナリオ1からは、各話ごとにPLがシナリオを選択できます。ただし、選択できるシナリオは決まっていて、シナリオ1は「<カルゾラルの門>攻防戦」しか選べません。特定のシナリオをクリアすると、拠点が確保でき、新たなシナリオを選択可能になります。「シナリオ選択」は、カルゾラル高原の進撃ルートや攻略順、あるいはPCの成長具合を調整するために存在すると考えてください(「ボスがドレイクっぽい○○藩の攻略はまだ早い。今回は巡察任務のシナリオで経験点を稼ごう」)。

2.出撃準備
 シナリオを選択すると、自動的にそのシナリオで使用するフィールドマップと最寄りの拠点が決まり、出撃準備を行えます。出撃準備では、以下のことが行えます。

・傭兵軍特典の選択
 PCと陣営を同じくする傭兵軍のメンバーの中には、シナリオ中で特定の恩恵をもたらす「特典」を持つNPCが存在します。PLは、各シナリオごとに1つだけ、「特典」を選択することができます。「特典」を持つ傭兵軍メンバーは、最初は傭兵軍の将軍であるデイジー・デイジーのみですが、キャンペーンが進行するに従って増えていきます。

・買い物(シナリオ中に拠点に戻った時にも行える)
 ルールブック『T〜V』及び『AW』『WT』『CG』『IB』『ユーレリア博物誌(PY)』に掲載された、非売品以外のすべてのアイテムを購入できます。
 また、アイテムの加工や名誉アイテムの獲得も行えます。シナリオ開始時に限っては、アイテムの加工期間は考慮しなくても構いません。

・施療を受ける(シナリオ中に拠点に戻った時にも行える)
 傭兵軍の神官などから施療を受け、PCが達成値20以下で受けている毒、病気、呪い属性の効果を解除できます。金銭は必要ありません。

・死者の蘇生(シナリオ中に拠点に戻った時にも行える)
 【リザレクション】によるPCの蘇生を行えます。費用として10,000ガメルが必要ですが、所持金が不足している場合、以降の報酬から前借りすることができます。
 シナリオ中に蘇生した場合、蘇生したPCは次の「開始フェイズ」から行動可能です。なお、魔動天使はこの効果では蘇生できません。

・流派への入門
 傭兵軍の中に存在する伝承者を通じて、流派への入門や秘伝の習得、流派装備の購入を行えます。詳しくはキャラクター作成パートで解説します。

3.出撃
 出撃準備を終えたら、実際にシナリオの進行が始まります。PCはシナリオ毎に設定された開始地点に移動し、次の「進行ルール」に従ってシナリオを進行します。
 シナリオの目的を達成すれば、シナリオは終了し、成長を行えます。シナリオによっては新たな拠点が確保され、次なるフィールドに進軍できるようになります。

 T.全体の進行 U.進行ルール V.踏破ルール W.その他のルール X.戦闘ルール



 U.進行ルール

 本キャンペーンのシナリオ進行は、1日単位でシナリオ毎に定められたフィールドを区切るマス(ブロック)を移動し、イベントを処理することの繰り返しで進行していきます。
 例としてフィールド1「カルゾラルへの道」を示します。

フィールド1

 1日は、次の4つの「フェイズ」で構成され、番号順に進行します。

【1.開始フェイズ】
 1日の始まりです。この時点で日数を1日経過させ、朝とします。〔剣の加護/運命変転〕など、1日ごとに使用回数が定められている効果は、ここで未使用の状態になります。
 また、1日分の食事をここで消費します。「パーティ人数」分の<保存食>または<料理>を選んで消費しなければなりません。

■【友軍】と【蛮族軍】の移動
 シナリオ中にフィールド内に配置された【友軍】が存在するなら、開始フェイズに定められたルートで移動させます(移動しない、というルートも存在し得ます)。【友軍】は1日に1ブロックを移動します。ただし、PCに同行している【友軍】は開始フェイズには移動せず、PCと一緒に次の「行動フェイズ」で移動します。
 次に、同様にフィールド内に配置された【蛮族軍】が存在するなら、【友軍】と同様に既定のルートで移動させます。【蛮族軍】もまた、1日に1ブロックを移動します。【友軍】【蛮族軍】ともに、離れた場所にいるPCがその存在、及び移動を知るには、魔動天使がエンジェルオーダー【〆航天俯瞰】を使用しなければなりません。

■【友軍】と【蛮族軍】の戦闘
 【友軍】と【蛮族軍】は、共に「戦力」という数値を持ちます。【友軍】の移動した先のブロックに【蛮族軍】が存在した(あるいはその逆)場合、両軍の間で戦闘が発生します。互いの「戦力」を、一方が0になるまで、同じだけ減少させます。「戦力」が0になった【友軍】【蛮族軍】は、フィールドから消滅します。
 このとき、【友軍】の「戦力」が1つでも0になった場合、そのシナリオは完全に失敗したことになります。即座にシナリオを終了し、かつ経験点の清算、成長は行われません

【2.行動フェイズ】
 PCが日中に移動、探索などの行動をするフェイズです。行動フェイズでは、次に示されたa,b,cの順に処理を行います。この順序は原則として動かせません

■a.移動する
 PCは、フィールド上で、現在いるブロックから上下左右に隣接するブロックに移動できます。移動しないことを選んでも構いません。
 番号のついたブロック以外に、それらと「拠点」を結ぶ間にある「足跡アイコン」も1ブロックとして数えます。例のフィールド1で言えば、「拠点1:ルペーテンネ」と「ブロック01」の間は、3日の距離にあり、行き来には3回の移動が必要ということです。
 また、移動先によっては山道や崖下の道など、隣接していても特定の方向からしか移動できないブロックがあります。フィールドマップのイラストは、そのままPCが遠方から見ることのできる地形を表しており、PLはこれを参考にしたり、GMに遠くから確認できる大まかな地形を尋ね、移動方向を考えることができます。ただし、各フィールドに存在する空白のブロック(正方形になる4つをまとめて「ボックス」と呼びます)については、そのボックスを構成するいずれかのブロックに実際に移動しなければ、地形を確認することはできません。
 特定の方向からしか移動できないブロックに、進入できない方向から移動してしまった場合、進めないことを悟って引き返すことになります。地形は確認できますが、その日は元いたブロックに戻るだけで移動を終了し、次へ進まなければなりません。

■b.戦闘とイベントの解決
 移動を行った後、PCがいるブロックに【蛮族軍】が存在する場合、即座にその蛮族軍との戦闘が発生します。
 その後、シナリオまたはブロックごとに定められたイベントを解決します。これらのイベントの結果、さらに戦闘が発生する可能性もあります。

■c.時間のかかる回復
 戦闘やイベントの処理がすべて終了したら、薬草や呪歌の使用など、10分以上を要する回復行動を行えます。時間管理が必要な場合、PCごとに最大3時間をこの行動に充てられます。
 繰り返しになりますが、a,b,cの順序は動かせません。移動中や、イベントの解決中に時間のかかる回復を試みても、何らかの要因によって邪魔されてしまいます。

【3.野営フェイズ】
 日中の活動を終え、野営の準備などを行うフェイズです。このフェイズでは、PCと魔動天使の親交を深める「エピソード」、または魔物による「夜襲」が発生します。

■エピソード
 代表者は2dして選び、その日のエピソードを決定します。エピソードは1dの出目に対応する6種類が用意されています。
 エピソード終了後、そのエピソードの出目にはチェックが入り、以後、発生しなくなります

■夜襲
 2dして選んだエピソードに既にチェックが入っていた場合、そのエピソードの処理は無視し、野営中に魔物の夜襲が発生して戦闘になります。
 夜襲では、危険感知判定の失敗によって、通常より不利な状況で戦闘が開始されることがあります。詳細は後述しますが、なるべく発生しないに越したことはないイベントと言えます。
 夜襲が発生した場合、その戦闘を終えた後で、発生済みのエピソードに入っていたチェックをすべて外します
※エピソードを繰り返すごとに、2dして選ぶことが出来るエピソードが減って夜襲が発生しやすくなり、1度夜襲が発生すれば、そのサイクルがリセットされるということです。

【4.夜間フェイズ】
 PCが野営地で休息し、睡眠を行うフェイズです。この時点で、PCは6時間の睡眠を取ったものとして、HPとMPを回復させられます。

■強行軍
 望むなら、休息せずに強行軍で夜間行動することもできます。この場合、夜間フェイズで【2.行動フェイズ】と同様に「移動する」「戦闘とイベントの解決」「時間のかかる回復」を行えます。
 強行軍を行う場合、12時間分の照明が必要です。さらに睡眠によるHP、MPの回復は行えず、次の「開始フェイズ」から、睡眠していないことによるペナルティ修正(⇒『T』163頁)を受けなければなりません。「3時間だけ休息して残りの夜間で行動する」といった選択はできません。

 T.全体の進行 U.進行ルール V.踏破ルール W.その他のルール X.戦闘ルール



 V.踏破ルール

 フィールドの一部には、迷路状の遺跡や急峻な山など、そのままでは踏破が困難な場所があります。PCがそれらの場所に入ったり、迷い込んだりした場合、「踏破ルール」に従って進行します。
 踏破ルールを用いて進行している間、1日は「開始フェイズ」「行動フェイズ」だけで構成され、行動フェイズが終われば自動的に睡眠による休息を行うだけとなります。
 踏破中はブロック間の移動は行えません。また、「野営フェイズ」「夜間フェイズ」がないため、「エピソード」や「夜襲」は発生せず、「強行軍」を行うことはできません。

 踏破中は、「行動フェイズ」に以下のサイクルを繰り返し処理します。

■1.2dして選び、踏破イベントを選ぶ
 代表者が2dして選び、1dの出目に対応する6種類が用意されたその場所の「踏破イベント表」からイベントを選びます。選ぶ時点では、出目に対応するイベント内容は分かりません。

■2.イベントを処理し、踏破度を増減する
 選んだ踏破イベントを処理します。イベントには、「踏破度」を増減させるものがあります。踏破度の初期値は0で、イベントを繰り返すことで踏破度が定められた値以上になったなら、その場所を完全に踏破したことになり、踏破完了時のイベントを処理した後、通常の進行ルールに戻ります。
 踏破イベント終了後、そのイベントの出目にはチェックが入り、以後、同じ日の間には発生しなくなります。

■3.1へ戻る、または踏破を中断する
 1〜2のサイクルは、同じ日の間に何度も繰り返すことができます。ただし、既にチェックが入っている踏破イベントは、同じ日の間には再び選べません。チェックが入った踏破イベントの出目を選ばざるを得なくなるか、あるいは任意にその日はそれ以上踏破しないことにした場合、踏破を中断します。
 踏破を中断した場合、その日はもう何もできず、睡眠による休息を行うだけとなります。6時間の睡眠を行ったものとしてHPとMPを回復し、「行動フェイズ」を終了します。

 翌日の「開始フェイズ」になったら、踏破イベントのチェックをすべて外し、1〜3のサイクルを再開します。前日からの「踏破度」は引継ぎます。

・踏破をやめて引き返すのはアリ?
 迷路が危険過ぎる、シナリオクリアのための時間が足りなくなりそうなどの理由で、踏破の途中で通常の進行に戻りたくなることがあるかもしれません。
 これが可能な選択肢であるかは、迷路の性質に拠ります。大きく分けて、PCが自ら踏み込んだ遺跡などからは任意で脱出でき、迷い込んだ難所などからは脱出自体に完全踏破が必要になります。
 遺跡などであっても構造によっては後戻りできない、または後戻りするのに現在の「踏破度」分を新たに踏破しなければ後戻りできないケースも存在し得ます。個別にGMに確認してください。

 T.全体の進行 U.進行ルール V.踏破ルール W.その他のルール X.戦闘ルール



 W.その他のルール

 この項では、進行ルールや戦闘ルールとは直接関係しない、細々としたルールを解説します。

【1.時間に関するルール】

■判定の再挑戦
 本キャンペーンでは、イベントで指定されている各判定は、同じタイミングの間にはPC1人につき1回しか試みることができず、原則として判定の再挑戦は行えません。
 例外的に、入手したアイテムの宝物鑑定判定など、「後でじっくり行える」とGMが判断した判定については、1シナリオに1回、再挑戦を行えます。

■短時間、長時間の動作や行使
 通常の魔法の行使など、10分未満で完了する動作に関しては、時間が経過しないものとして、いつでも何度でも試みることができます。
 10分以上を要する動作や判定などは、「行動フェイズ(c.時間のかかる回復)」と「夜間フェイズ」のそれぞれで、最大3時間分だけ行えます。
 妖精魔法の契約など、3時間を越える時間を要する動作や判定は、シナリオ進行中には行えません。

■長時間の効果
 長時間の効果について、持続時間の管理が必要となる場合、便宜的に「開始フェイズ」から「野営フェイズ」までを12時間、「夜間フェイズ」を12時間として扱います。各フェイズで長時間の効果を発揮させたい場合(つまり、行動フェイズに使った効果がいつまで保つか?ということを考えたい場合)、この12時間すべてを効果時間に収める必要があります。《魔法拡大/時間》を用いて完全に効果時間を連続させなくとも構いませんが、MPなどは12時間分を一括で消費しなければなりません。
 例外的に、ゲーム中での時間経過が効果時間に収まることが明確である場合(探索すべき場所を目視してから【フェアリーウィッシュ】など)は、GMの判断によって個別に使用が認められます。

【2.広範囲の効果に関するルール】

 本キャンペーンでは、どれだけ広範囲の効果だとしても、ブロック全体に効果を及ぼすことはできません。例えば、半径100m内の生命反応を探知する【ライフサーチ】によって、当該ブロックに存在する魔物をすべて把握することは不可能です。
 また、それと明記されている効果を除き、隣接ブロック以遠の場所に通常の効果を及ぼすことはできません。例えば、【リモート・ドール】や使い魔を用いて、隣接ブロックの偵察を行っても、必ず失敗します。

【3.照明に関するルール】

 本キャンペーンでは、「夜間フェイズ」に強行軍を行う場合を除き、原則として通常の進行上で照明は不要です。強行軍を行う場合には、12時間分の照明が必要です。たいまつならば6本、ランタンの油なら1本を消費します。
 場所によっては、暗闇に閉ざされていることが明確な場合もあります。こうした場所では、「開始フェイズ」〜「野営フェイズ」の間に12時間分の照明が必要です。
 照明を用意できない場合、〔暗視〕を持たないキャラクターはすべての行動判定に−4のペナルティ修正を受け、接触できる範囲より離れた場所を目視できなくなります。

【4.経験点と成長について】

 本キャンペーンでは、シナリオの中間点に当たる部分と、シナリオクリア時にそれぞれ経験点の清算と獲得を行い、能力値や技能の成長を行えます。中間成長がないシナリオも存在します。
 各成長時に得られる経験点には、シナリオごとに定められた達成経験点と各自の1ゾロ分に加え、次のボーナス経験点を計上します。

■魔物経験点
 シナリオ中、成長までに倒した魔物を、通常のセッションと同様に「倒した魔物レベルの合計×10」点のボーナス経験点として計上します。
 PCが逃亡した戦闘では、魔物の一部を倒していても魔物経験点を計上しません。また、一度計上した魔物は、同じシナリオ中であっても次回の成長では計上しません。

■残存戦力ボーナス
 成長時に【友軍】がフィールドに残っている場合、その「残り戦力×10」点をボーナス経験点として計上します。
 残存戦力ボーナスは、魔物経験点と異なり、同じ【友軍】の戦力によるボーナス経験点を、中間成長とシナリオクリア時の成長の両方で計上します。

【5.シナリオ失敗時の処理】

 本キャンペーンでは、シナリオ失敗の要件を満たしてしまった場合、シナリオで定められた失敗時の経験点を受け取ることはできますが、それ以外の経験点(魔物経験点やその他のボーナス)の清算は行われず、また能力値の成長も行えません。即座に次のシナリオを選択します。同じシナリオに再挑戦しても構いません。

■中間点のクリアは保持できる
 シナリオ失敗までに、シナリオの中間点までのクリアは達成していた場合、その時点までのクリアは保持されます。
 次に同じシナリオに挑戦するときには、進行は中間点まで戻り、そこから再開できます。倒した魔物なども戻りますが、「名前を持つ魔物」は一度倒されると現れなくなります。

■全滅した【友軍】の復活
 シナリオが失敗した場合、フィールドに存在した【友軍】はすべて失われます。再び同じシナリオに挑戦した場合、シナリオの設定に従って新たな【友軍】を配置し直します。

 T.全体の進行 U.進行ルール V.踏破ルール W.その他のルール X.戦闘ルール



 X.戦闘ルール

 本キャンペーンの戦闘では、原則として「簡易戦闘ルール(改訂版)」を使用します(特殊な魔物との戦闘など、距離の概念が必要な場合には、標準戦闘ルールを使用することもあります)。
 ただし、戦闘の状況によっては、特定のエリア間の距離を変更したり、追加のエリアを設定したり、一部エリアに地形効果を適用するなどの変更を加えることがあります。

 例)敵軍後方エリアは城門の上で、隣接エリアまでの距離は10mとして扱う。敵軍後方エリアから/に対しては、地上のキャラクターや乱戦エリアが遮蔽にならない。
 例)敵軍は三重の防御陣地を築いて待ち受けている。敵軍後方エリアの5m後ろに、敵軍最後方エリアを追加する。
 例)水辺の戦い。前線エリアと敵軍中間・後方エリアでは、水中として足場が悪いことによるペナルティ修正を受ける。

 また、いくつか本キャンペーン独自のルールを用いる戦闘状況があります。順に解説します。

■夜襲
 「野営フェイズ」に発生する、魔物による夜襲では、戦闘開始前に危険感知判定(目標値○・一人)を行います。
 成功した場合には、通常の戦闘開始処理を行いますが、失敗した場合、パーティ全員を「前線エリア」に配置して戦闘を開始しなければなりません。
 なお、夜襲は「魔物による不意打ち」とは別のルールです。危険感知判定に失敗しても、自動的に先手を取られることはなく、後手になった時にペナルティ修正を受けることもありません。

■連戦
 戦闘の状況によっては、「連戦」が発生することがあります。これは、1回目の戦闘が終了した後、間髪入れずに他の魔物との戦闘が発生することを表します。
 連戦が発生した場合、1回目の戦闘終了後、その終了時の状況のまま、新たな戦闘開始処理を行わなければなりません。このとき、PCの配置は新たな戦闘開始処理に従って決め直されますが、1回目の戦闘の最後のラウンドに手番を終了していたキャラクターは、2回目の戦闘の1ラウンド目には手番を行えません。
 また、1回目の戦闘終了時、継続的に効果を及ぼしていた魔法や練技などは、2回目の戦闘開始時点で、10秒(1ラウンド)の時間が経過したものとして扱います。

■支援ダメージ
 戦闘が発生したブロックに【友軍】または【蛮族軍】が存在する場合、または類似の特殊な状況が定められている場合、戦闘時に「支援ダメージ」が発生します。
 支援ダメージは、実際に戦闘を行っている場所の外から干渉されていることを示すもので、戦闘に参加している任意の対象1体に与えられる「威力X+Y/C値Z」点のダメージとして表されます。ダメージの威力や回数は、状況ごとに異なります。ほとんどの支援ダメージは魔法ダメージですが、魔法やアイテムなどの効果で軽減することは可能です。《かばう》ことはできません。
 支援ダメージを与える発生源(【友軍】や【蛮族軍】)は、直接PCたちの戦闘には参加していないため、原則として、戦闘に参加している魔物やPCの行動の対象にはなりません。また、支援ダメージを与える対象の決定は、いかなる効果によっても制限を受けません(【スモーク・ボム】の中を正確に狙い撃つ支援射撃、余裕)。

・【友軍】からの支援ダメージ
 【友軍】(ないし類似の勢力)が存在するブロックで戦闘を行っている場合、PC側から支援ダメージを発生させられます。
 PC側の支援ダメージは、PC全員の手番が終了した後、任意の対象1体をPCが選択し、指定された値の支援ダメージを与えます。PC側の支援ダメージは必ず魔法ダメージです。
 状況によっては、複数回の支援ダメージが発生することがあります。この場合、すべての支援ダメージの対象をPCが指定することができますが、1ラウンドに同じ対象を2回以上指定することはできません。対象にできる魔物の数より、支援ダメージの回数の方が多い場合、余剰分の支援ダメージは無視されます。

・【蛮族軍】からの支援ダメージ
 【蛮族軍】(ないし類似の勢力)が存在するブロックで戦闘を行っている場合、魔物側から支援ダメージが発生します。
 魔物側の支援ダメージは、魔物すべての手番が終了した後、PC陣営の気絶・睡眠状態でないキャラクターすべてから対象1体が無作為に選ばれ、指定された値の支援ダメージを与えます。魔物側の支援ダメージも原則として魔法ダメージですが、稀に物理ダメージの支援ダメージを発生させる【蛮族軍】も存在します。
 状況によっては、複数回の支援ダメージが発生することがあります。この場合、対象は無作為かつ、なるべく回数が均等になるように決定されます。魔物側の支援ダメージは、PC側のそれとは異なり、必ずすべてが発揮されます。倒されていないPCが少なくなれば、同じPCが1ラウンドに2回以上の支援ダメージを受けることがあり得ます。

・【友軍】による支援ダメージの防御
 魔物側の支援ダメージが発生した場合、同じブロックに【友軍】が存在するならば、支援ダメージを1回無効化させることを依頼できます。ダメージの無効化は、支援ダメージを受ける対象が決定された後で行えますが、算出ダメージが求められる前でなければいけません。
 【友軍】が支援ダメージを無効化した場合、その【友軍】の「戦力」が10減少します。

■「士気」と「錬度」
 【蛮族軍】と戦闘を行うとき、次のいずれかの条件を満たしたPCは、部隊の「士気」と「錬度」を看破することができます。
@部隊を構成する魔物すべてに対する魔物知識判定に自ら成功する。
A「ウォーリーダー技能レベル+知力ボーナス」を基準値とする、目標値「最も高い魔物のレベル+7」の判定に成功する。この判定はウォーリーダー技能を持つPCのみ行える。
 「士気」と「錬度」はともに「高い」「低い」のいずれかとして表され、原則として【蛮族軍】にのみ存在します(稀に例外はあります)。

◆「士気」が「低い」
 「士気」が「低い」部隊は、戦闘続行の意思を「部隊長」の存在に依存しています。「部隊長」として設定されている魔物(複数の場合すべて)が倒された場合、残った魔物は士気が瓦解して逃亡を図り、結果として追撃により容易く全滅してしまいます。「部隊長」をすべて倒した場合、そこで戦闘を終了します。
 ただし、知能が「命令を聞く」である魔物、または召喚などによって新たに出現し、かつ命令者を必要としない魔物は、他の魔物が逃亡した後も戦います。この場合、逃亡する魔物を取り除いて戦闘を続行しますが、支援ダメージは継続します。いずれにせよ、戦利品の獲得はすべての魔物に対して行えます。
 どの魔物が「部隊長」かを判定によって直接に確認することはできませんが、多くの場合、部隊名が表す魔物が部隊長です(ボガード突撃隊→ボガード)。部隊名はいつでもGMに確認できます。
◆「士気」が「高い」
 「士気」が「高い」部隊は、常に部隊を構成する魔物すべてが倒されるまで逃亡せず、死ぬまで戦います。
◆「錬度」が「低い」
 「錬度」が「低い」部隊は、個々の判断で戦闘を行います。知能が「低い」以下の魔物の場合、自身の能力の使用や手番を行う順序は任意ですが、攻撃対象は常に無作為、または最もHP現在値が低いキャラクターを選択します。
◆「錬度」が「高い」
 「錬度」が「高い」部隊は、組織的に戦う術を身に着けています。これらの部隊を構成する魔物は、一般的な個体の知能に関わらず、効率的な行動を行えます。

■足手まとい
 本キャンペーンでは、「足手まとい」と呼ばれる無力なNPCがPCに同行することがあります。足手まといはPCと同行している間、自らの意思では行動せず、PCの指示に従います。
 戦闘が発生すれば、PCと同様にキャラクターとして戦闘に参加し、戦場に配置されます。かつ、魔物はしばしば足手まといを優先的に攻撃することがあります。

【足手まといの基本能力】
 すべての足手まといは、特に指定がない限り、HPが「PCの冒険者レベルの平均(端数切り上げ)×5」です(最大30)。防護点2で、すべての判定を平目で行います。
 種族に関して注釈がない場合は人間として扱い、〔剣の加護/運命変転〕を使用できます。
 足手まといは、HPが0以下になるか、何らかの能力値を減衰する効果を受けた場合、即座に死亡します。死亡した足手まといが蘇生することはありません。

【足手まといの身代わりになる】
 足手まといが戦闘に参加する場合、各ラウンドの開始時に、足手まといと同じエリアに存在するPCは、足手まとい1体に対して「身代わりになる」宣言を行えます。
 ラウンド開始時に異なるエリアにいる足手まといの身代わりになる宣言は行えません。また、1体の足手まといに複数のPCが「身代わりになる」宣言を行うことはできません。

・身代わりの処理
 「身代わりになる」宣言を受けた足手まといが、攻撃や魔法、支援ダメージなどの効果の対象になった場合、足手まといの数値で各種の防御的判定を行います。
 その後、足手まといがダメージやその他の効果を受けることが決定した後(実際にダメージが決定される前)に、身代わりになる宣言を行ったPCが、代わりに算出ダメージやその他の効果を受けることができます。足手まといがダメージや効果を受けるたび、身代わりになるかどうかを選べます
 このとき、ダメージの適用に関しては算出ダメージからPCの防護点やダメージを減少させる効果を適用し、適用ダメージを求めます。一方、その他の効果や「半減」「短縮」処理の適用に関しては、足手まといが抵抗や回避などに成功したかどうかを基準に、その結果を身代わりになるPCが受けることになります。
 足手まといに与えられた支援ダメージに対して、PCが身代わりになった場合、支援ダメージの「対象」となったのは足手まといと見なされます。複数回の支援ダメージが「なるべく回数が均等になるように」与えられることを考えるとき、それ以降の支援ダメージの対象から外れるのは、足手まといの側です。

・身代わりになれない状況
 「身代わりになる」宣言を行っても、そのPCが気絶、睡眠などで自らの意思で動けない状態の場合、身代わりになることはできません。
 また、宣言時には同じエリアに存在したとしても、PCが移動したり、強制的に移動させられる効果を受けるなどして、宣言したPCと足手まといが異なるエリアに存在してしまった場合も、身代わりになることはできません。

■逃亡
 遭遇した魔物から逃げ出したい場合、逃亡することができます。逃亡は戦闘開始前(魔物知識判定の後、先制判定の前)か、PC側の手番開始時(誰も手番を行っていない時点)に宣言できます。
 逃亡を宣言したら、すべてのPCは「逃亡判定」を行います。判定の正否に関わらず、逃亡することはできますが、失敗したPCは魔物から追撃を受け、ダメージを受けます。

・逃亡判定
 逃亡判定は「冒険者レベル+敏捷度ボーナス」を基準値として行い、目標値は「現れた魔物の最大レベル+2d」となります。
 逃亡判定に失敗したPCは、「追撃ダメージ」を受けます。追撃ダメージは、「威力X+Y/C値10」点の魔法ダメージとして表されます。威力と追加ダメージは、魔物のレベルが高くなるに連れて増加します。また、支援ダメージと異なり、追撃ダメージはいかなる効果でも軽減することは不可能です。
 追撃ダメージによって気絶・死亡してしまった場合でも、取り残されることだけはありません。ダメージを受けながら逃亡し、魔物から逃げ切ったところで力尽きたことになります。
 魔物から逃亡しても、ブロックを移動することはなく、そのブロック内の離れた場所に留まります。 注釈

・足手まといを連れての逃亡
 足手まといを連れている状態で逃亡判定を行う場合、彼らを安全に逃がさなければいけません。足手まといは逃亡判定を行いませんが、いずれかのPCが足手まといを連れて逃げることになります。このとき、足手まといを引き受けたPCは、逃亡判定に−2のペナルティ修正を受けます。複数のPCが複数の足手まといを連れて逃げる場合、なるべく負担が均等になるように足手まといを引き受けなければなりません。
 足手まといを引き受けたPCが逃亡判定に失敗しても、足手まといはダメージを受けません。ただし、誰も足手まといを引き受けなかった場合、その足手まといはその場で失われます。

■戦闘終了時の処理

・戦利品の獲得
 戦闘に勝利した場合、PCは1人1回ずつ、戦利品の獲得を行えます。戦利品の獲得を行わないPCは、薬草の使用など10分までの時間がかかる、その他の行動を行っても構いません。
 シナリオやフィールドの指定により、戦利品の獲得を行ったかどうかで、その後の状況が変化する場合もあります。

・【蛮族軍】との戦闘に勝利した場合
 【蛮族軍】との戦闘に勝利した場合、そのブロックの【蛮族軍】の戦力をすべて取り除きます。支援ダメージを与えていた蛮族たちは、逃亡した扱いになります。

・敗北と全滅
 PC全員が倒されたり、行動不能になってしまった場合、PCは魔物に敗北したことになります。敗北した場合、一部の例外的状況を除き、PCは全員死亡します。
 死亡したPCたちは、翌朝に蘇生した魔動天使によって拠点まで運ばれます。シナリオは失敗した扱いになります。

・死亡と蘇生
 死亡したPCの死体は、翌朝蘇生した魔動天使が回収し、拠点まで退却します。その後、PCが望むなら、魔動天使が移動に費やした日数を「1日1マス」として計算し、蘇生の処理を行います。
 魔動天使は死亡しても、翌朝になれば自動的に蘇生しますが、“穢れ”を得るとともに、PCが死亡したことで「絶望」が上昇します。詳細は魔動天使パートを参照してください。


 
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