『ミストグレイヴ』追加ルール・セクション


 U.ミッション V.進行ルール W.自由行動でできること X.戦闘に関するルール

   T.基本的なルール

 ミストグレイヴの冒険では、1日を「タイムバンド(tb)」と呼ばれるおよそ4時間ごとの単位に区切って様々な処理を行います。1日は「朝」「昼」「夕方」「夜」「深夜」「未明」の6つのtbに分けられ、PCが「時間経過」のタイミング(後述)を迎えるごとに1tbが経過します。
 1日の開始は「朝」であり、〔剣の加護/運命変転〕などの効果は「未明」から「朝」に切り替わるタイミングで使用回数がリセットされます。


(6〜10時)

(10〜14時)
夕方
(14〜18時)

(18〜22時)
深夜
(22〜2時)
未明
 (2〜6時) 


■1.休息、睡眠について
 ミストグレイヴの冒険では1tbを休息、睡眠に費やすことで、HPの10%とMPの50%を回復することができます。休息と睡眠は「休息できる」と明示されているブロック(後述)でなければ取ることができません。この休息には「朝」から「未明」の間に最大で2tbまでを充てることが可能です。
 6tb連続で休息を取らなかったキャラクターは、7tb目からHPとMPの最大値が1点減少し、すべての行為判定に−1のペナルティ修正を受けます。この効果は12tb、18tbと睡眠を取らない時間が長くなるごとに累積しますが、1tbの休息を取ればすべて解消します。

■2.食事について
 ミストグレイヴの冒険では、食事は(描写的には異なっていても)保存食で管理します。各PCは、1日の始まりである「朝」を迎えるたびに自動で保存食を1日分消費します。6tb連続で食事を取らなかったキャラクターは、睡眠が足りない場合と同様に、HP、MP最大値の減点と行為判定へのペナルティ修正を受けます。12tb、18tbと経過することで累積する点も同じです。
 睡眠と食事を行わないことによる修正はそれぞれ累積し、睡眠によるものなら睡眠、食事によるものなら食事を取ることで受けていたペナルティを解消できます。

■3.暗い場所での照明
 暗い場所では、灯りがなければ〔暗視〕を持たないキャラクターは満足に行動することができません。《ミストグレイヴ》は地下世界であるため、時間帯による照明の変化はありませんが、暗いことが示されている場所では、灯りを用意しない限り、視界の悪さによってすべての行動判定に−4のペナルティ修正を受けます。
 たいまつを使う場合、1tbに2本を消費しなければなりません。ランタンなら油ひとつで3tb保ちます。これらの照明は「移動」タイミング(後述)に消費します。

■4.効果時間・所用時間の変更
 ミストグレイヴの冒険においては、魔法などで「3時間」の効果時間を持つ効果は1tbの間、有効となります。「6時間」なら2tb、「12時間」なら3tb、「1日」なら6tbです。「6時間」以上の効果時間を持つ効果は、ブロックを移動しても持続します。
 一部の魔法の行使など、3時間以上の時間を必要とする行動によって経過する時間も、1tbがおよそ4時間であることを考慮して同様に決定されます。同一のキャラクターが時間のかかる行動を連続して行った場合、所要時間を合計した上で同様に経過時間を決定します。例えば、1時間の儀式を5回連続で行えば、2tbが経過します。

■5.判定について
 ミストグレイヴの冒険では、PCに「判定の名称/目標値/成功要求人数」という形で判定を要求することがあります。たとえば「危険感知/12/1人」であれば、PC全員が目標値12の危険感知判定を行い、1人が成功すれば全体として成功になる、ということです。
 「成功要求人数」には「1人(1人でも成功すればいい)」「半数(PCの半数以上の成功が必要)」「個別(成否の結果を各PC個別に適用する)」の3種類が存在します。魔物の不意打ちに気づくかどうかなら「1人」、力を合わせて大岩をどかすなら「半数」、降り注ぐ矢を避けるなら「個別」といった具合です。
 なお、ミストグレイヴでは、一度失敗した判定に時間をかけて「再挑戦」するとき、費やせる判定時間は「1時間」が上限となります。tbをまたぐ時間をかけた「再挑戦」は行えません。

■6.通貨単位「資産」
 蛮族の支配領域であるミストグレイヴでは、基本的にガメル銀貨が価値ある通貨として認められていません。まったく使えないわけではありませんが、蛮族たちの取引では物々交換が主流であり、ミストグレイヴに潜入したPCたちもこの流儀に従わざるを得ません。ミストグレイヴ内で物々交換によってアイテムを購入する場合、「欲しいアイテムの購入価格」以上の「売却価格」を持つアイテムを代価として支払う必要があります。しかし、買い物のたびに不要なアイテムの価格を調べながら取引をするのは「ゲーム的に」好ましくありません。
 本キャンペーンでは、パーティ全体が共有する「資産」という数値を設定します。各PCは、魔物から獲得した戦利品や不要になったアイテムを所持品から削除する代わりに、それらのアイテムの「売却価格」に等しい値を「資産」に加えることができます。一度「資産」にしたアイテムは戻せませんが、パーティは買い物の際に代金を「資産」から支払うことで、物々交換の欠点である「品物の価値を個別に把握しなければならない」「お釣りが出ない」という問題に悩まされずに済みます。
 ミストグレイヴ内では、依頼の報酬として現金が支払われることも、PC1人につきこれだけ、という形で報酬が支払われることも稀であり、金銭的な財産はパーティ全体でまとめて管理した方が効率的で、管理も楽になります。大きな買い物はパーティで相談しながらなるべく公平になるように行い、1つの財布で全体の所持品を賄うスタイルを強く推奨します。

 T.基本的なルール V.進行ルール W.自由行動でできること X.戦闘に関するルール

   U.ミッション

 ミッションとはPCが達成すべき「とりあえず」の目標で、通常のシナリオ1話分に相当します。内容は毎回異なり、いくつものミッションをクリアすることで、PCの行動範囲や有する情報の幅は広がり、キャンペーンのクリアに近づいていきます。ミッションを通して得た情報から《ミストグレイヴ》に秘められた謎を解き明かし、《ミストグレイヴ》に入った目的を達成した上で脱出することができればエンディングを迎えます。
 ミッションに関するルールを以下に示します。

■1.ミッションの受注
 特に例外として示されない限り、ミッションは一度に1つしか受注できません。ミッションを受注していない状態なら、しかるべき依頼人に接触することでミッションを受注することができます。
 ミッションを受注すると、依頼内容に応じて目的地が示されることがあります。目的地がまだ行ったことのないブロックであれば、そのブロックはマップ上に配置されます。

■2.ミッションの達成
 ミッションを攻略する過程で、PCは★を獲得します。★とはミッションの進行度合いを示す目安であるとともに、ミッションを達成し、依頼人への報告を行ったときには獲得した★1つにつき、200点の経験点を得ることができます。このとき能力値の成長も1回行います。
 ただし、獲得した★が2つ以下である場合には、ミッションを達成しても経験点を得ることはできません。獲得した★は次回のミッション達成時に持ち越され、技能レベル、能力値ともに成長は行えません。

■3.ミッションの失敗、破棄
 ゲームの進行によっては依頼が達成不可能な状況に陥り、ミッション失敗となってしまう場合もありえます。また、何らかの事情で自ら依頼を放棄することにする場合も考えられるでしょう。こうしたときには、PCは進行中のミッションを破棄しても構いません。ミッションを破棄する際に、依頼人の元にミッション失敗の報告を行う必要は「ルール的には」ありません。
 ミッションを破棄したときには、獲得した★は次回のミッション達成時に持ち越され、技能レベル、能力値ともに成長は行えません。
 なお、一度失敗したミッションでも、後から再受注できる場合もあります。失敗の報告をしたとき、あるいはミッションを受注していない状態で依頼主に再会したときに、再挑戦を申し出ることができます。また、ミッションによっては繰り返し発生するものもあります。


 T.基本的なルール U.ミッション W.自由行動でできること X.戦闘に関するルール

   V.進行ルール

 ミストグレイヴの冒険では『ミストグレイヴブロックマップ』を使用します。このブロックマップは《ミストグレイヴ》全体を多数の「ブロック」に分割し、それぞれのブロックに【水没した通路】や【岩棚の城塞】などのさまざまな地形を配置して表現しています。
 《ミストグレイヴ》は「上層階(背景が薄い灰色のマス)」「地下水路(背景が水色のマス)」「深層階(背景が濃い灰色のマス)」の3層サンドイッチ構造になっており、最も地上に近い「上層階」からは、「地下水路」やそれ専用の施設を経由しなければ「深層階」に到達できません。
 地下水路は上層階や深層階を表すマスにもブロックとして存在していますが、【地下水路】以外にマスごと固有の名称を持たないため、【地下水路D−5】のように通し番号で呼称します。

  ━━━上層階━━━
  ━━━━━━━地下水路━━━━━━━
           ━━━深層階━━━
  横から見るとこんな断面図。上層階から深層階には直接移動できない。

 ミストグレイヴの冒険は、これらのブロックを移動し、各ブロックでイベントを解決することの繰り返しで進行していきます。以下に、1tbの時間が経過するまでの処理の順序を示します。

■1.移動宣言
 現在PCがいるブロックから、上下左右に隣接する任意のブロックへの移動を宣言します。この時点では移動が完了するわけではないことに注意してください。移動せず、現在のブロックに留まることを選んで次に進んでもかまいません。上下左右に隣接していても、上層階のブロックから深層階のブロックへ移動したり、その逆はできません。

■2.ランダムイベント
 移動宣言で他のブロックへの移動を宣言した場合、ランダムイベントが発生します。他のブロックへ移動せず、現在のブロックに留まるならばランダムイベントは発生しません。

■3.移動
 移動宣言を行ったブロックに移動します。まだ移動したことのないブロックは、内容が不明なために通し番号だけの名称で表現された空白ブロックであり、空白ブロックに移動した場合は、ここでそのブロックの内容をランダムに決定します。
 
■4.ミッションイベント
 ミッションで指定された目的地であるブロックにいる場合、ミッションイベントが発生します。ミッションの達成報告、経験点の獲得や成長などもこのタイミングで行います。

■5.フィールドイベント
 移動先のブロックに設定されている、足を踏み入れることで自動的に発生するイベントがある場合、ここでイベントが発生します。

■6.自由行動
 PCが自らの意志で行動を行います。食事や休息、買い物や探索などが含まれます。次項「自由行動で行えること」で詳しく解説します。

■7.時間経過
 以上を終えた時点で1tbが経過し、次のtbの処理に移ります。


 T.基本的なルール U.ミッション V.進行ルール X.戦闘に関するルール

   W.自由行動でできること

 自由行動のタイミングでは、ある程度自由に行動できます。セッション時間の多くは、自由行動に費やされることになるでしょう。以下に、自由行動のタイミングで行える行動を示します。

■1.ミッションの受注
 ミッションを受注していない状態であれば、しかるべき依頼人に接触することで、即座にミッションを受注することができます。

■2.アイテムや呪歌による回復
 薬草など、時間のかかるアイテムによる回復を行えます。これらの行動は1tbに、1人のPCが合計60分まで行うことができます。【ヒーリング】【ビビッド】の呪歌による回復も含みます。

■3.「情報収集」
 [情]アイコンのあるブロックでは、ミッションを受注している場合、噂話や情報屋からの提供といった形で、そのミッションに関連した情報を得られる場合があります。情報収集を行うすべてのPCは「2d」し、得られた値で最大のものを次の表にあてはめて情報を得られたかを決定します。

2d情報収集の結果
4以下 情報は得られない。
5〜6 「冒険者レベルの平均(端数切り上げ)×200G」分の資産を支払えば情報を得られる。
 「冒険者レベルの平均(端数切り上げ)×100G」分の資産を支払えば情報を得られる。
8〜9 「冒険者レベルの平均(端数切り上げ)×50G」分の資産を支払えば情報を得られる。
10以上 無償で情報を得られる。

 情報収集は1tbに1回だけ行えます。情報収集を行うPCは、その他の「自由行動でできること」を行えません。

■4.食事、休息
 食事や休息を行えます。詳細は「T.基本的なルール」を参照してください。休息する場合、「ミッションの受注」以外にはその他の「自由行動でできること」を行えません。

■5.フィールドの探索
 ブロック内に存在する施設や周辺を探索できます。探索した結果、イベントが発生したり、探索判定に成功することでアイテムを入手できたりすることがあります。
 フィールドの探索は1tbに1回だけ行えます。探索判定を行ったキャラクターは、「アイテムや呪歌による回復」に費やせる時間が10分減少します。

 T.基本的なルール U.ミッション V.進行ルール W.自由行動でできること

   X.戦闘に関するルール

 ミストグレイヴでの冒険では、通常の戦闘ルールとは異なる処理を行うものがいくつか存在します。以下に示します。

■NPCの扱い
 ミストグレイヴでの冒険の中で発生する戦闘では、NPCがPCと同じ形式のデータを持って戦闘に参加することはほぼありません。NPCが戦闘に参加している場合、基本的に「足手まとい」か「支援ダメージ」のいずれかとして表現されます。

1)足手まとい
 戦闘力を持たない依頼人が同行している、あるいは救出した一般人を保護した状態で移動しているなど、庇護すべきNPCを伴っている状態で戦闘が発生した場合、NPCは簡略化されたデータを持つ「足手まとい」として戦場に存在します。
 足手まといは防護点2で、HPの最大値は「PCの冒険者レベルの平均(端数切り上げ)×5」点(ただし最大で30点)となります。冒険者技能を持たず、すべての判定を平目で行います。移動速度は10で、「全力移動」は行いません。
 また、ミストグレイヴでPCの前に立ちふさがる魔物の多くは、戦術的・戦略的な理由がない限り、足手まといにダメージを与えられる行動を優先します。

2)支援ダメージ
 特定のブロックでの戦闘や、特定のNPCが同行している場合、戦闘中にNPCが支援してくれることがあります。これを「支援ダメージ」と呼びます。
 支援ダメージは、PCたちの手番終了時に、PCが指定する魔物1体に「威力○○+PCの冒険者レベルの平均(端数切り上げ)/C値●」点の魔法ダメージを与えます。威力やC値は状況やNPCによって異なり、戦闘開始時に明示されます。支援ダメージはいかなる効果によっても回避・軽減できません。

■逃亡に関するルール
 ミストグレイヴの冒険では、遭遇した魔物から逃げ出したい場合、「戦闘開始前(魔物知識判定の直後、先制判定の直前)」または「PCたちの手番の開始時」に、PC全員が承諾して逃亡を宣言することができます。宣言すれば、逃亡そのものは必ず成功します。
 ただし、逃亡を宣言した場合、すべてのPCは「逃亡判定」を行わねばなりません。逃亡判定は「冒険者レベル+敏捷度ボーナス」を基準値とし、目標値は「遭遇した魔物の最大レベル+2d」です。これに失敗したPCは、魔物の追撃によって「威力20+PCの冒険者レベルの平均(端数切り上げ)/C値10」点の魔法ダメージを受けます。追撃ダメージはいかなる効果によっても回避・軽減できません。また、魔物のレベルが一定以上の場合、追撃ダメージの威力が30〜50まで上昇することがあります。
 もしも追撃ダメージによって気絶、あるいは死亡してしまった場合、そのPCは放置されます。これをよしとしないならば、一旦逃亡を棄却し、あらためて残ったPC全員が逃亡判定をやりなおすことで、倒れたPCを連れて逃亡することができます。このとき、倒れたPCを運んで逃亡するPCは、逃亡判定に「−(運ぶPCの数×2)」のペナルティ修正を受けます。動けるPCと倒れたPCが共に複数ならば、なるべく均等に倒れたPCを引き受けなければなりません。
 追撃ダメージによって全滅しない限り、何度でもこの処理を繰り返すことができます。逃亡を宣言した時点で倒れているPCがいた場合も、同様に処理します。戦闘に「足手まとい」が参加している場合、足手まといも倒れたPCと同様に運ばなければなりません。

■戦利品に関するルール
 戦闘に勝利した場合、戦利品の獲得が行えます。複数の部位を持つ魔物を倒した場合、その部位1つごとに戦利品判定を行えますが、ミストグレイヴの冒険では戦闘終了後に行える戦利品の獲得は、PC1人につき1回のみとなります(死体の周囲で長い時間を過ごすと不要な危険を呼び込むことを表しています)。「自動」の戦利品はすべて獲られます。

<剣の欠片>と名誉点
 また、ミストグレイヴの冒険で<剣の欠片>によって強化された魔物を倒しても、<剣の欠片>は獲得できません(正確には獲得できますが、蛮族社会では何の価値もありません)。しかし、PCは即座に魔物を強化していた<剣の欠片>と同じ数だけサイコロを振り、出た目の合計に等しい値の「蛮族名誉点」を獲得します。蛮族名誉点はゲーム的にはあらゆる意味で通常の名誉点と同じですが、「強い魔物を倒したことで蛮族社会での名声が高まる」ことを表現します。
 「ミストグレイヴでは<剣の欠片>はその場で名誉点に自動変換」と考えてください。

魔物が降伏した場合
 蛮族や人族の魔物は、戦闘で著しく不利になったと判断すれば降伏することがあります。彼らは命乞いのために、もしくは強者であるPCに敬意を表すために、所持品のすべてを差し出します。このため、降伏させることで勝利した戦闘の後には、回数制限なく魔物ごとに決定される戦利品をすべて獲得できます。《トレジャーハント》や<幸運のお守り>などを持つPCがすべての戦利品決定を行うことも可能です。
 ただし、魔物の中には降伏したと見せて油断を誘い、不意を打って再び襲い掛かってくる者もいます。魔物の降伏を受け入れた後でこうした事態が起きた場合、PCは危険感知判定を行わねばなりません。失敗すれば魔物側の不意打ちとして戦闘を再開します。この処理はルールとして定められたもので、PCの警戒度に関係なく進行します(「万が一にも騙まし討ちにされないよう厳重に、完璧に警戒しつつ降伏を受け入れる!」とは言えないということです)。


 T.基本的なルール U.ミッション V.進行ルール W.自由行動でできること X.戦闘に関するルール