新乱戦・簡易ルール(改)

 キャラクターの配置

 この戦闘ルールでは、戦場を5つのエリアに分けて管理します。各エリア間の距離は5mで、射程を考えるときはこの距離を基準とします。

  [敵軍後方エリア]<5m>[敵軍中間エリア]<5m>[前線エリア]<5m>[自軍中間エリア]<5m>[自軍後方エリア]

 ひとつのエリアに自軍と敵軍、双方のキャラクターが存在するとき、そのエリアを乱戦エリアと呼びます。どのエリアも乱戦エリアとなり得、それぞれ「前線乱戦エリア」「敵軍中間乱戦エリア」などのように呼称します。
 戦闘開始時、GMは両軍の「後方エリア」のさらに5mないし10m後ろに、「最後方エリア」を設定することがあります。これは主として「前線から最大10mしか離れられない」ルールがゲームバランスを著しく害すると判断したときの特例です。

 戦闘開始時の処理

 GMが戦闘の開始を宣言し、PC、NPC、魔物のそれぞれについて、敵味方どちらの陣営として行動するかを確認したら、以下の手順で戦闘開始の処理を行います。

1.魔物知識判定
 戦闘開始時に、敵対する陣営に正体の分からないキャラクターや魔物がいる場合、PC全員が魔物知識判定を行います。

2.先制判定
 先攻後攻を決めるために、GMが告げた(敵軍に存在するキャラクターのうち最も高い)先制値を目標値に、PC全員が先制判定を行います。
 先制判定においては、例外的に6ゾロが自動成功とならないため、出目「12」で目標値に達しないキャラクターは先制判定に参加できません。このルールにおいては、PCが魔物知識判定に失敗した場合でもGMは目標値を公開します。ただし、先制力にボーナス修正を与える効果は、(魔物知識判定に失敗しているなら)GMが目標値を告げる前に使用します。

3.戦力の初期配置
 先攻後攻が決まったら、まず先攻側が自軍のキャラクターを「前線エリア」と「自軍後方エリア」に振り分けて配置します。先攻側は、まったく配置しないという選択を含めて、任意のキャラクターを「前線エリア」に配置できます。
 続いて後攻側が、自軍のキャラクターを「前線エリア」「自軍中間エリア」「自軍後方エリア」に振り分けて配置します。このとき、先攻側が前線にいっさいキャラクターを配置していなくとも最低1人を、先攻側が前線にキャラクターを配置したなら少なくともその半分(端数切り上げ)を前線に配置しなければなりません。
 先攻・後攻とも、すべてのキャラクターを前線に配置してもかまいません。
 戦闘開始時にGMが「最後方エリア」を設定した場合でも、両軍とも初期配置でこのエリアにキャラクターを配置することはできません。

 ワンポイント:先攻側は「前線」「後方」に、後攻側は「前線」「中間」「後方」にキャラクターを振り分けて配置。
        後攻側は、前線に少なくとも「先攻側が配置した数の半分(最低1)」体を配置しなければならない。


 以上の3ステップが終了したなら、先攻側の手番→後攻側の手番→先攻側の手番……と、いずれかの陣営のキャラクターがすべて行動不能になるまで(あるいは降伏するまで)両陣営の手番を繰り返します。それぞれの陣営の手番内において、どのキャラクターから行動するかは手番ごと、独立して順番を決めることができます。


 移動 [敵軍後方エリア]<5m>[敵軍中間エリア]<5m>[前線エリア]<5m>[自軍中間エリア]<5m>[自軍後方エリア]

全力移動
 この戦闘ルールにおける全力移動は、移動前にいたエリアから「隣の隣より離れたエリア」に移動するための移動方法となります。例えば、「自軍後方エリア」から「前線エリア」より先(敵軍中間・後方エリア)へ移動できます。ただし、通過するエリアに敵軍キャラクターが存在している場合には移動はそこでストップします。
 「全力移動」を行うと原則的に主動作が行えなくなること、次の手番の開始時まで回避力判定に−4のペナルティ修正を受けることは従来のルールと同じです。

通常移動
 通常移動では、移動前にいたエリアから「隣の隣まで」のエリアへ移動することができます。敵軍キャラクターが存在するエリアを通過できないことは全力移動と同じです。
 この戦闘ルールでは、キャラクター固有の移動力(移動速度)は意味を持ちません。しかし、【ヘイスト】の魔法や鼓咆【神速の構え】、<韋駄天ブーツ>など、移動力を+5m以上する効果を受けているキャラクターは、「通常移動」で3エリアまでの移動が可能です。+5m未満の移動力増加、敏捷度を上昇させる効果などは影響しません(専用鎧や【ブレス】で移動力は上がらない)。
 主動作・補助動作の制限がほとんどないこと、魔法の行使と射出武器攻撃が行えないことは従来のルールと同じです。

制限移動
 この戦闘ルールにおける制限移動は、「エリア間の移動を行わないこと」と同義です。原則的に、すべての主動作・補助動作が可能です。
 ただし、何らかの効果によって「5m以上9m未満」の制限移動が行えるなら、隣接エリアへの移動が可能です。「10m」の制限移動が行えるなら、「隣の隣」のエリアへ移動できます。

先攻1ラウンド目の制限
 エリア間の移動を行わなかったキャラクターは、制限移動したときと同じ主動作・補助動作を行えます。
 ただし、先攻となった陣営のキャラクターのうち、初期配置で前線エリアに配置されたキャラクターは、動作の制限においては1ラウンド目のみ「通常移動」を行ったものとして扱います(自身の手番までに前線エリアの敵が倒されていたなら、さらに通常移動することは可能です)。
 2ラウンド目以降には、この制限は適用されません。また、後方エリアに配置されたキャラクターにはいっさい影響しません。

移動できない場合
 キャラクターは、自身の存在するエリアに意識のある敵軍キャラクターがいる(乱戦エリアにいる)場合、移動できません。また、魔法や特殊能力によって物理的に移動を禁じられる場合もあります。
 移動できないキャラクターは、移動方法を選ぶ必要はなく、制限移動したときと同じ主動作・補助動作を行えます。たとえば「制限移動」のみを禁じる効果を受けたとしても、「通常移動」「全力移動」を選ばなければならないといったことはありません。

乱戦エリアからの離脱・通り抜け
 前項の通り、キャラクターは乱戦エリアに存在する場合、移動することができません。しかし、直前の手番に「乱戦エリアからの離脱」宣言を行っていたキャラクターは、そのエリアから「後退するように」通常移動、もしくは全力移動することができます。
 この戦闘ルールでは、キャラクターが乱戦エリアより「前」に移動することはできません。この制限の例外となるのは、戦闘特技《影走り》など、効果文中に直接「移動妨害を受けない」「離脱宣言が不要」が明記されている効果、「形状:突破」の効果、瞬間移動や召喚などの物理的制約を無視できる効果のみです。
 瞬間移動や召喚によっても、それまで戦場に存在していなかったキャラクターを、敵陣営のキャラクターしか存在しない敵軍エリアに直接出現させることはできません。

 ワンポイント:全力移動は3〜4エリア、通常移動は1〜2エリアを移動。制限移動は=移動なしだが、【堅陣の構え】では1エリア、《足さばき》では2エリア移動可能。
        1ラウンド目のみ、先攻側で「前線エリア」に配置したキャラクターは補助・主動作が通常移動から行えるものに限定。
        《影走り》や「突破」攻撃、瞬間移動などの例外を除き、乱戦エリアは通り抜け不可。離脱宣言後は後方にのみ移動可能。


 [敵軍後方エリア]<5m>[敵軍中間エリア]<5m>[前線エリア]<5m>[自軍中間エリア]<5m>[自軍後方エリア]
  ココマデ ←          ←                             全力移動
                       ココマデ ←         ←         通常移動
                                           ココニ 制限移動 トドマル
                                 ココマデ ←       【堅陣の構え】

 射程と広範囲の効果

 射程

近接攻撃、及び「射程:接触」の魔法や効果
 敵軍キャラクターを対象とする近接攻撃、及び「射程:接触」の魔法や効果は、乱戦エリアにいるキャラクターが、同じ乱戦エリアにいる敵に対してのみ可能です。味方を対象とする場合、術者と対象が同じエリアにいれば、どのエリアでも実行可能です。

射程距離を持つ攻撃や魔法、効果
 5m以上の射程を持つ射撃攻撃や魔法、効果は、隣接するエリアのキャラクターを対象とすることができます。
 さらに、射程が10m以上であれば、それに応じて隣接エリアより遠いエリア(にいるキャラクター)を対象にできます。ただし、自身の存在するエリアと対象とするエリアの中間に存在するエリアに敵軍キャラクターが存在する場合、これが遮蔽として扱われ、戦闘特技《鷹の目》が必要となります。

乱戦エリアへの射撃攻撃、「形状:射撃」の魔法や効果
 乱戦エリアのキャラクターを対象として、異なるエリアにいるキャラクターが射撃攻撃や「形状:射撃」の魔法、効果を使用する場合、誤射を起こし、対象はその乱戦エリアにいるキャラクターからランダムに選ばれてしまいます。
 誤射は、異なるエリアから乱戦エリア内を狙った場合にのみ、発生します。乱戦エリアのキャラクターが、同じく乱戦エリアのキャラクターを対象とした場合には発生しません。また、戦闘特技《精密射撃》や《魔法誘導》によって誤射を回避することが可能です。

 半径5m未満の範囲を対象とする魔法や効果 [敵軍後方エリア]<5m>[敵軍中間エリア]<5m>[前線エリア]<5m>[自軍中間エリア]<5m>[自軍後方エリア]

 広範囲を巻き込む魔法や効果が対象とする範囲が、半径5mに満たない場合、それは対象とするエリアひとつに影響を及ぼします。各エリア間の距離は5mとされていますが、半径3mを対象とする効果を2つのエリアの中間地点にかけ、両エリアを巻き込むといったことはできません。

 半径5m以上、10m未満の範囲を対象とする魔法や効果

 広範囲を巻き込む魔法や効果が対象とする範囲が、半径5m〜9mである場合、それは対象とするエリアひとつと、使用者が選ぶ、対象とするエリアに隣接するエリアひとつに影響を及ぼします。例えば、前線エリアに存在するキャラクターが半径5mを対象とする効果を使用する場合、敵軍中間エリアを対象としつつ、前線エリアか敵軍後方エリアのいずれかにも効果を及ぼすことができます。
 使用者が2つのエリアに影響を及ぼすことを望まない場合でも、半径5m以上を対象とする魔法や効果を、エリアひとつだけに影響を及ぼすように使用することはできません。

最大対象数
 半径10m未満を対象とする魔法や効果の中には、「半径3m/5」のように、効果範囲とともに同時に対象とできる最大数が示されているものが存在します。
 こうした魔法や効果の場合、(対象とするエリアではなく)影響を及ぼすエリアに最大対象数より多いキャラクターが存在していたなら、効果を受けるキャラクターを、ランダムに最大対象数だけ選出します。戦闘特技《魔法制御》を習得しているならば、魔法を使った術者が対象を選出します。
 最大対象数の処理は、対象とするエリアが乱戦エリアとなっているかどうかに関わらず、行われます。

 ワンポイント:半径「3m」「4m」の効果は「対象エリア」に、「5m」「6m」の効果は「対象エリア」と「隣接するエリアの一方」に影響を及ぼす。
        半径「5m」「6m」の効果の「最大対象数」は、影響を及ぼす2エリア両方から数える。


                   [敵軍後方エリア]<5m>[敵軍中間エリア]<5m>[前線エリア]<5m>[自軍中間エリア]<5m>[自軍後方エリア]
半径3m、4mの効果は[ ]内に影響                         [  対象  ]      ←          術者
半径5m、6mの効果は[ ]or[ ]内に影響            [           [  対象  ]      ←    ]      術者

 半径10m以上の範囲を対象とする魔法や効果

 半径10m以上、20m未満の範囲を対象とする魔法や効果では、対象とするエリアと、前後に「隣の隣まで」のエリアに影響を及ぼします。例えば、敵軍中間エリアを対象としたなら、「自軍中間エリア」「前線エリア」「敵軍中間エリア」「敵軍後方エリア」の4エリアに効果を及ぼします。前線エリアを対象としたなら全てのエリアが効果範囲です。
 半径20m以上の範囲を対象とする効果は、常に全エリアを対象とします。

 「形状:貫通」の魔法や効果

 4レベルの真語魔法【ライトニング】に代表される、「形状:貫通」の魔法や効果は、それが直接に目標としたキャラクター1体と同時に、術者の存在するエリアと、術者から目標となるキャラクターまでの中間、及びその延長上にあるすべてのエリアに影響を与えます。
 直接に目標となったキャラクターは、必ずその効果を受けます。同時に、影響を与えられるすべてのエリアに存在する、すべてのキャラクターは、それぞれ1dを振り、出目「1〜3」なら効果を受け、「4〜6」なら効果を免れます。
 「形状:貫通」の効果を使用するキャラクター自身は、自由に自身を対象から除外することができます。また、自身が存在するエリアが乱戦エリアでない(味方しかいない)なら、そのエリア内の任意のキャラクターすべてを対象から除外することができます。もし戦闘特技《魔法制御》を習得しているならば、効果範囲内の任意のキャラクターすべてを対象から除外できます。
 なお、乱戦エリアの外から、乱戦エリアのキャラクターを直接の目標に定める場合、戦闘特技《魔法誘導》を習得していなければ誤射が起こります。


付録:魅了されたキャラクター
 本ルールの処理下において、魔法や特殊能力によって本来の意思を失い、他のPCに対して敵対的な行動を行い得るようになったPCは、以下のように扱います。

■手番
 魅了されたPCの手番は、引き続きPC側陣営の手番の任意のタイミングで行います。

■遮蔽
 魅了されたPCは、敵軍キャラクターから見て、遮蔽としては扱いません。
 魅了されたPCが存在するエリアは、他のPC側陣営のキャラクターから見て、遮蔽として扱います。

■乱戦
 魅了されたPCと、それ以外のPC側陣営のキャラクターが共に存在するエリアは、乱戦エリアとして扱います。ただし、エリア内に魅了されたPC以外の敵軍キャラクターが存在しない場合、離脱宣言を経て「より前方」のエリアへ移動しても構いません(魅了されたPCだけは倒さずとも当該エリアを突破し得ることになります)。

■行動
 魅了されたPCが、自身の手番でいかなる行動を行うかは、魅了をもたらした魔法や能力の性質によって異なります。各能力の解説を参照してください。