◆第3話『待ち焦がれた来訪者』 第1話で世話になった薬草商人ライ氏の友人、バリィ氏から“人探し”を依頼された。 彼はかつて、シーダという女性と結婚していた。彼女は元冒険者で、商売を始めたばかりの頃にカイン・ガラまでの護衛を頼んだのが縁で知り合ったらしい。 彼らは大恋愛の末、ラスベートから西に1日ほどにある小さな宿場町、ヴェストに小さな家を買って一緒に暮らし始めた。(バリィ氏は現在もその家に暮らしている。) しかし、シーダは5年前に突然姿を消してしまう。 バリィは八方手を尽くして探したが、カイン・ガラで元の冒険者仲間と一緒に暮らしている、という真偽も分からない噂を聞いたのを最後に、手がかりすら見つからなかった。 バリィ氏は彼女が戻って来てくれると信じて待ち続け……仕事に没頭する間に、気づけば5年が経っていた。 そろそろ若手に商会を任せて引退を考え始めたが、途端に一人でいることが寂しくなり、隣に住むルシアというシーダ不在の間世話を焼いてくれた女性との婚姻を考えている。 ところが最近、バリィ氏の家があるヴェストの町で、それも何人も『シーダを見た』という目撃談があった。 そこで【シーダの目撃証言が本当のことか確かめ、シーダを見つけて、本当にシーダが帰ってきたのなら、彼女の意思がどうあれ、一度話したい】という。 なお、バリィ氏はジネットが見抜いたところによると『お隣のルシアさんと仲が良くなってきたのも本当だろうけど、再婚を考えつつもシーダさんに未練があるんじゃないか』という印象だそう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ヴェストの街マップ:http://goo.gl/4bJvVl ヴェストの街に赴き、実際に聞き込み調査を行った所、どうもシーダ失踪時期とルシアの出現時期が重なる事が判明。非常に気にかかる。 海岸2にいる魔術師に話を聞きに行くと、魔晶石を作る魔導機の実験を、主に夜行っているという。 聞き込みをする我々を監視していた男(レヴィ)を発見、問い詰めたところ、執拗に海岸1に夜出現する幽霊を退治して欲しいと言ってきた。 彼が言うには目撃したのは7日前で、同時刻に魔術師が実験で爆発音を起こしていたらしい。(魔術師が当日実験していたのは確認済み) ジネットとウェルが、魔術師の魔法実験の影響によって、ゴースト(『U』262頁)が発生、ないしは顕在化している可能性に思い当たるが、どういうルートでマナが流れているかは不明。 なお、身体が透けて見える、というのはゴーストの特徴で、基本的に生前の姿で現れるものであり、肌の変色や目の発光は一般的にはない。 パン屋の娘が見た赤く目が光るシーダ似の人影、及び薬草摘みの女の子が見た【西の森】に入っていった人影は、同一のものかはともかく、ともに実体があるタイプのアンデッドだと思われる。 「実験失敗のたびにアンデッドが生み出されている」、或いは「魂と肉体が分かれてる」可能性があり。 検証の為に海岸1に行ったが、特に洞窟などは見当たらない。ただ、異常に痛んだ布の端切れ(恐らく人の服の一部)が見つかった。 西の森(森1)へ続く道があったのでそちらへ進んだところ、猿(ゴルゴル)達と戦闘に。 猿を倒すと、その遺体から『明らかに魔法の品の一部』と解る、装飾品の一部(チェーン)が絡まっているのが発見された。 その足跡をたどると山猫(グレイリンクス)のワイト化途中の遺体が在り、(化けぬよう解体)その周辺に<俊足の指輪>の欠片が散らばっていた。 バリィ氏に経過報告として推論(シーダアンデッド説)を披露し、痛んだ布切れや鎖を見せる。 流石にそれだけでは殆ど要領を得ず、ただ危険なアンデッドが西の森(森1)に居る様なので注意するよう役所に呼び掛けて貰う程度にとどまった。 ルシアの家には「出かけます。夜には戻ります」という張り紙があり、雑貨屋はその日は非番で遭遇は出来なかった。 魔導機師に会いに行き、事情を説明して再度実験を行って貰うと、【海岸1】の方向にマナが不可思議に流れていくのが確認出来たので、そちらに向かった。 するとゴースト化したシーダと遭遇、彼女から以下の事情を聴いた。 【ルシアと愛人の男に石に縛り付けられ、海に投げ込まれて殺された】 【昔の冒険で手に入れた<蓄魔の宝珠>が魔導機実験の影響を受けた結果、思念はゴーストになった(およそ2週間前)一方、肉体はワイトとなってルシア殺害に向かった(10日ほど前)】 【ヴェストの<守りの剣>は、周期的に効果範囲がわずかに狭まる時期がある。バリィ氏の家は効果圏外の可能性がある】 【ルシアゴーストは魔導機実験で一時的に活性化する】 以上の事から、急ぎバリィ邸に向かうと、バリィ・ルシア両名がシーダワイトに襲われる寸前だった。 シーダワイトを倒し、バリィ氏に事情を説明、ルシア捕縛の上海岸の魔導機師セージ・マージョラム師に手伝って貰い、第三者の立場として衛視長立会いの元シーダゴーストとバリィ氏は再会。 シーダゴーストは彼女の知る全てを話し、バリィ氏はその昇天を見送った。 なお、ルシアは我らが共犯者である元彼と会っていたと知って自供したが、元彼は既に逃亡していた。 シーダゴーストからは我々への礼として<蓄魔の首飾り>を貰った。(アイリスが所持、装備) ●入手アイテム(これらは純粋な宝物扱い) <蓄魔の首飾り> これをつけていると、1日1回、生命抵抗力判定または生死判定の結果を確認してから+1のボーナスが得られる。繰り返し使える代わりに、効果半分の<陽光の指輪>のようなもの。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■調査中のメモ ■調査項目 「バリィについて」 基準値:冒険者レベル  目標値:9 バリィの旧知の商人曰く、若い頃から仕事熱心な人だった。カイン・ガラとの交易を始めてからは随分と儲けてる筈なので、財産はそれこそラスベートに豪邸を構えられると推測されている。成金みたいに調子に乗るようなところは全然ないが、仕事に熱心過ぎてお金を使う暇もないと当人が言っていたらしい。 ⇒財産目当てで事件に巻き込まれる可能性がある。怨恨筋は薄い。 「シーダについて」 基準値:精神力ボーナス 目標値:? 石材商人曰く、直接見たわけじゃないが……南の砂浜【海岸2】の辺りで、見かけたという奴が何人かいた。その一人が酒場にたまに来るらしい。 ⇒酒場へ行けばシーダについてのより詳しい目撃情報が得られる可能性がある。 「ルシアについて」 基準値:知力ボーナス  目標値:12 老貴婦人曰く、ルシアは5年半程度前にこの街に来た。(シーダ失踪時期と一致)当時はチンピラの様な男とつるんでいたが別れたらしい。但し、別れた後も何度か会話しているのを目撃されている。ルシアは宿場の雑貨屋でパートをして糊口を凌いでいる。 ⇒ルシア自身とチンピラ男がシーダ失踪に絡んでいる可能性が高い。 「海岸1について」 基準値:生命力ボーナス 目標値:11→2日目10 おじいさん曰く、西の海岸【海岸1】は若者が今でこそ逢引などに使っているが、海に面した急な崖などがあり、危険。 昔、転落死亡事故があったらしく、今は柵を設けているらしい。 断崖―柵―星見スポットの岩場 〜 砂浜へ下る道 みたいな位置関係との事。 「海岸2について」 基準値:筋力ボーナス  目標値:10 ライフォス神官のリフ氏曰く、今、南の海岸【海岸2】では《石塔の学び舎 カイン・ガラ》から来た魔術師が、町長の許可を得て実験をしている。その人物は、テントを持ち込んで昼となく夜となく実験につきっきりの様なので、海岸に行けば会えるだろう。時々爆発しているらしいが、魔物などの危険はなさそうだ。また、夕方から夜にかけてしか実験はしないと宣誓している。 ⇒海岸2に魔術師に会いに行くと何がしかの収穫があるかも知れないが、ただのブラフの可能性も。 「西の森について」 基準値:器用度ボーナス 目標値:11 猟師によると、西の森は獲物はそれなりにいるが、森から出てくることはないものの、人を襲いかねないものも多少住んでいる。心得のないもんが入るところではない。西の森に行くのは、薬草詰みが外周辺りに入るのと、後は彼の様な腕利きの一部の猟師だけである。去年は虎が出た。あと、ゴルゴルとかいう猿がいる。 ⇒タイガーは『V』242頁、ゴルゴルは『U』252頁。それぞれ、5レベルと4レベルの動物。まあ、沢山いなけりゃ6人揃って負ける要素はない。西の森は外れか? 「東の森について」 基準値:冒険者レベル  目標値:10 1年くらい前に蛮族が出たとかで冒険者が退治に行った。蛮族は退治したものの、ちょっと森を散策したら……ポイズンモールド? そんな名前の植物の魔物に遭遇したらしい。移動はしないが、待ち伏せるタイプの魔物らしく、当の冒険者たちは奇跡的に難を逃れたそうだが、町に戻って「アレやばいから近づくな」と報告があった。「■ポイズンモールドについて 基準値:自動成功」が追加。 ⇒東の森は危険のかほり。「ポイズンモールド」については魔物知識判定に失敗しても町の中央役場で調べられる。蛮族は、小規模なグループが姿を見せることはあるらしいが、衛視隊と<守りの剣>で対応できている。 「ポイズンモールドについて」基準値:自動成功 ルールブック『U』260頁、ポイズンモールド。8レベルの毒毒カビ。発見されたのは1年前で、森の奥のほうの岩場でだそうです。ただ、繁殖して広がるタイプの植物なので、生態的に森から出ることはなくとも、今はどの程度のサイズに、あるいはどれくらい飛び火してるか不明。町役場の人に決して近づかないようにと忠告された。 ■2日目朝追加された情報項目 「シーダについて/その2〜」  基準値:任意の能力値ボーナス  目標値:さまざま 「シーダについて/生命10」 パン屋の娘曰く、10日くらい前に彼と【海岸1】へ星を見に行った。 忘れ物を彼に取りに行って貰った時、離れた岩の横に、シーダに似た女性が立っていた気がした。 あれ? と思って声をかけようと思ったが、横顔を見たら目が赤く光ってるように見えた。 向こうは気がついていなかったようだったので、パン屋の娘は怖くなって逃げたという。 「シーダについて/敏捷12」 昨日の石材商人曰く、作業員風の男がシーダを目撃したらしい。 確認が取れるまではバリィに言わぬという約束で話して貰った。 今は別の商会で雇われているが、以前バリィの元で働いており、当然シーダの顔も覚えていた。 4日前と8日前、どっちも酒が入って、酔い覚ましの散歩中に見たという。 (なお、魔術師の爆発があったのは5日前と8日前。また、魔術師は「マナが変な方向に流れている」との発言が見られた。) 但し、遠目に見たその姿は、向こう側が透けていたので、幽霊ではないかとの事。 遠目ではあったが、姿は5年前のシーダさんにそっくりだったらしい。 シーダが亡くなって化けて出たとしか思えなかったという。 「シーダについて/知力(自動成功)」 昔のマナ収束型魔法装置について記述した本が書店に在った。 どこから調達したものであれ、マナを魔法装置に収束する仕組みがある場合、それがどこかに流出するってのは、近くに『収束器』の機能を持つような装置やアイテム、場所などがない限り、原理的にあり得ない。 つまりマナが想定外のところへ流出するというのは、避雷針のような焦点があってはじめて起こり得る現象である。 ⇒つまり、別に魔力を収束している装置が存在し、それは、海岸1にある可能性が高い。まだ推測の域を出ませんが、実地調査が必要かも知れない。 「シーダについて/精神力12」 薬草詰みの若い娘曰く、この前森から帰るのが遅くなったとき、お化けを見た。 つい時間を計り違えて【西の森】から出るときには暗くなっていたが、ふと横を見たら、木立の向こうに森へ入っていく人の後姿が見えたという。 後姿だったから顔は分からなかったが、女性の姿だったらしい。 ただ、ボロボロの服から覗いていた肌が黄土色だった。 絶対人間じゃない、蛮族かも? チラッと見て普通じゃないと思い、直ぐ逃げてしまった。 服は引っかかっている程度のボロだったとの事。 ■目撃談纏め 11日前周辺:赤い目シーダ(パン屋) 8日前:透けてるシーダ(レヴィと石屋) 4or5日前:透けてるシーダ(石屋)