『フェアリーガーデン』追加ルール・セクション



1.時間の経過に関するルール

 妖精郷の冒険では、1日を「タイムバンド(tb)」と呼ばれるおよそ4時間ごとの6単位に区切って様々な処理を行います。1日は「朝」「昼」「夕方」「夜」「深夜」「未明」の6つのtbに分けられ、PCたちが移動を行い、イベントを解決すると1tbが経過します。移動したその場所で何もしなくても1tbは経過します。さらなる移動は、次のtbにならなければ行うことはできません。
 1日の開始は「朝」であり、〔剣の加護/運命変転〕などの効果は「未明」から「朝」に切り替わるタイミングで使用回数がリセットされます。1tbより短い時間の経過については、いくら累積してもtbが経過することはありません。


(6〜10時)

(10〜14時)
夕方
(14〜18時)

(18〜22時)
深夜
(22〜2時)
未明
 (2〜6時) 


  休息、睡眠について
 ルールブックではキャラクターは3時間の睡眠を取ることでHPの1割とMPの5割を回復できるとされていますが、妖精郷の冒険では1tbを休息に費やすことで、睡眠を取っていた全員がHPの1割とMPの5割を回復することができます。この休息には「朝」から「未明」の間に最大で2tbまでを充てることが可能です。休息を取るためにはその場所の安全が完全に保障されている必要があります。原則として、安全に休息が取れると定められている場所以外では休息を行うことはできません。休息を取ると宣言すれば自動的に次のtbの開始時まで時間が経過します。
 また、「朝」から「未明」までの間に1tbも休息を取らなかったキャラクターは、次の「朝」になると同時にHPとMPの最大値が1点減少し、すべての行為判定に−1のペナルティ修正を得ます。この効果は2日目以降も累積しますが、1tbの休息を取ればすべて解消します。

  食事について
 休息と同様に、キャラクターは一日に最低一度の食事を取る必要があります。これは保存食でもかまいませんし、食事を取れる場所で食べてもかまいません。「朝」から「未明」までの間にまったく食事を取らなかったキャラクターは睡眠が足りない時と同様にHP、MP最大値の減点、行為判定へのペナルティ修正を受けます。これらの効果はそれぞれ累積し、睡眠によるものなら睡眠、食事によるものなら食事を取ることで受けていたペナルティを解消できます。食事を取ることでtbが経過することはありません。

  夜の妖精郷
 妖精郷の夜は暗く、灯りがなければ暗視能力を持たない人族は満足に行動することができません。tbが「夜」「深夜」「未明」の間は、灯りを用意しない限り、視界の悪さによって行為判定に−4のペナルティ修正を受けます。たいまつを使う場合、1tbに2本を消費しなければなりません。ランタンを使うならば、1本の油で3tbの間、周囲を明るく照らせます。

  効果時間の変更
 妖精郷の冒険においては、魔法などで「3時間」以上の効果時間を持つ効果は1tbの間、有効となります。6時間を越えたからといって2tb以上効果を表すことはありません。ただし、「1日」の効果時間を持つ効果は6tbの間、有効となります。

  判定の再挑戦
 妖精郷の冒険では1tbよりも小さな時間の経過はカウントされないため、判定の再挑戦によって必要な時間が延長されることはルール的な意味を持ちません。ただし、判定に必要な時間が6時間以上に及ぶような判定の再挑戦は一切行うことができません。


2.エリアマップと移動に関するルール

 妖精郷の冒険では『妖精郷エリアマップ』を使用します。このエリアマップは妖精郷を54の「パラグラフ」と9の「エリア」によって表現しています。細かいマスで個々の場所を表すのがパラグラフ、6つのパラグラフを内包する方角などの大まかな位置を示すのがエリアです。
 妖精郷の冒険ではtbの開始時に、現在いるパラグラフから同じエリアまたは隣接するエリアに存在する、別のパラグラフへの移動を試みることができます。しかし、妖精郷は地理的な意味において正常な空間ではなく、個々のパラグラフは「どのエリアに存在するか」よりも正確な位置情報を保っていません。そのため、同一のエリアに存在する各パラグラフは位置的な意味において並列の関係にあり、あるパラグラフへ移動するために地図上でその間に位置している各パラグラフを通過する必要はありません。移動は常に現在いるパラグラフから目的地のパラグラフに向けて直接行われます。

  移動判定について
 妖精郷では、パラグラフからパラグラフへの移動を行う際、目的地のパラグラフを正しく認識していないと道に迷ってしまうことがあります。このため、後述する「道」がつながっていないパラグラフや、まったく新しいエリアに存在するパラグラフへ移動を行う際には「移動判定」を行わなくてはなりません。

 同じエリア内で「道」がつながっていないパラグラフを移動先とする場合、2dし、以下の結果に従います。

2d 結果
 異なる隣接するエリアのまったく新しいパラグラフに移動する。エリアとパラグラフをランダムに決定し、そこに移動すること。
3〜4  同じエリアの新しいパラグラフに移動する。パラグラフをランダムに決定し、そこに移動すること。移動する前にいたパラグラフと移動先のパラグラフをつなぐ「道」ができる。
5以上  移動先に指定したパラグラフに移動する。

 異なるエリアの「道」がつながっていないパラグラフを移動先とする場合、2dし、以下の結果に従います。

2d 結果
2〜3  異なる隣接するエリアのまったく新しいパラグラフに移動する。エリアとパラグラフをランダムに決定し、そこに移動すること。
4〜5  移動先に指定したパラグラフが存在するエリアの、まったく新しいパラグラフに移動する。パラグラフをランダムに決定し、そこに移動すること。移動する前にいたパラグラフと移動先のパラグラフをつなぐ「道」ができる。
6以上  移動先に指定したパラグラフに移動する。


  「道」について
 移動を行った後、移動する前にいたパラグラフと移動先のパラグラフをつなぐ「道」が確保され、両パラグラフ間の移動ではそれ以上迷わなくなります。確保された「道」は、経由することで他のパラグラフへの移動を容易にする場合があります。
 移動する場合、現在のパラグラフから移動先のパラグラフへつながる「道」を確保しているかどうかをチェックします。この時、複数の「道」を経由してもかまいませんが、「道」が現在のパラグラフが存在するエリアと、移動先のパラグラフが存在するエリアだけをつないでおり、他の7エリアを通っていない場合にのみ「道」が確保されているとみなします。「道」が確保されているパラグラフへの移動においては、「移動判定」を行う必要がありません。

(例)きみは現在「中央エリア」にある【七色猫のおもてなし亭】のおり、「北エリア」にある【北−3】に移動しようとしている。「道」が確保されているかをチェックすると、【七色猫のおもてなし亭】⇔【北−3】を直接つなぐ「道」は存在しないが、【七色猫のおもてなし亭】⇔【中央−2】をつなぐ「道」と【中央−2】⇔【北−3】をつなぐ「道」が存在する。この「道」は他の7エリアを通過していないため、「道」が確保されており、きみは「移動判定」を行う必要はない。このケースにおいて二つの「道」を中継している【中央−2】が仮に【西−1】だった場合、「道」は確保されておらず、きみは「移動判定」を行わねばならない。

 「道」を使って移動した場合、いくつのパラグラフを経由したとしても目的地に到着するまでの時間は変化しません。

  ランダムイベントについて
 「道」を利用して移動を行う場合、現在のパラグラフと移動先のパラグラフが異なるエリアに存在する場合、2dします。出目が「5」以下であれば、移動中に何らかのランダムイベントが発生します。GMの指示に従います。

3.「ミッション」と「クエスト」に関するルール

 妖精郷の冒険において、PCが受ける依頼や命令などの総称を「ミッション」と呼びます。1つのミッションは通常の1セッションに相当し、妖精郷の冒険はミッションの連続によってキャンペーンを構成しています。ミッションをクリアすることによってPCは経験点を得、成長することができます。以下にミッションの進行手順を示します。

 3−1、ミッションの受注

 PCは、ミッションを受注していない状態ならいつでも、【七色猫のおもてなし亭】で管理人であるケットシーのいずれかからミッションを受注することができます(他の場所でも、何らかの理由でミッションが発生する場合もあります)。ミッションを受注すると、そのミッションで向かうべき目的地であるパラグラフが決まることがあります。目的地のパラグラフがどのエリアに存在するかはランダムに決定されます。

 3−2、エリアの移動

 目的地が決まれば、そこを目指して妖精郷の中を移動することになります。移動は1tbにつき1回だけ行うことができ、9つのエリアに区切られたマップ上において、同じエリアか隣接するエリアに存在するパラグラフを移動先に指定することができます。斜めの移動は行えません。
 まだパラグラフが明らかになっていない、まったく新しいエリアに移動したなら、番号の小さいパラグラフを移動先とし、パラグラフの内容をGMの指示に従って決定します。
 移動せずに同じパラグラフに留まり続けてもかまいません。移動しなかった場合、現在のエリアに新たにやってきた場合と同様に扱います。

 3−3、イベントの発生

 パラグラフが決定されると、場所に応じたイベントが発生します。GMの説明を聞いた上で、即座に対応しなければならないイベントがなければ「何もしない」ことを宣言してイベントを起こさないことを選んでもかまいません。ただし、ミッションによって発生が決定されるイベントは必ず発生します。

 3−4、PCの自主的な行動

 イベントを解決した後や、「何もしない」ことを宣言した場合、PCは自主的な行動ができます。これらの行動は、基本的にtbが経過しないものとして扱いします。

 ●薬草やポーション、魔法による回復
 ●食事
 ●その他PCが試みたい行動

 3−5、★(ミッションマーク)の獲得

 イベントを解決したり、戦闘に勝利するとPCは★を獲得することがあります。これはミッションの進行度を表すものであり、ミッションによっては達成に一定数の★が必要なこともあります。また、獲得した★が多いほどミッション達成時に得られる経験点が多くなります。

 3−6、時間の経過

 移動先のパラグラフでのイベント、自主的な行動がすべて終了した時点で1tbが経過し、次のtbの移動が行えるようになります。移動を行わなかった場合やイベントが発生しなかった場合でも、休息や待機を宣言すればtbは経過します。また、イベントの途中でtbが経過する場合、切り替わる先のtbは移動のタイミングが終了した時点で開始されます。

 3−7、ミッションの達成/経験点の獲得と成長

 ミッションの目的地に辿り着き、そこで発生するクライマックスイベントを解決して【七色猫のおもてなし亭】に戻ればミッションを達成したことになり、経験点を得ることができます。ミッションに失敗した(あるいは放棄した)場合はその旨を依頼人のケットシーに報告することでミッションは終了します。また、全滅した際も受注していたミッションは自動的に終了します。
 各PCはミッションを達成した時点で獲得していた★1つにつき200点の経験点と、倒した魔物や1ゾロに応じた経験点を得ることができます。また、1回の能力値成長を行います。ミッションを達成しても【七色猫のおもてなし亭】に戻らなければ経験点の獲得も成長も行えないことに注意してください。また、経験点を消費してのレベルアップはミッションを受注していない状態でのみ行うことができます。

  ミッションの破棄

 ミッションを受注した後、敵が強すぎたり、他のミッションを優先したくなった場合は、いつでも現在受注しているミッションを破棄することができます。戦闘の結果、全滅した場合も自動的に現在受注しているミッションを破棄したことになります。
 ミッションを破棄した場合、即座にそれまでに得ていたすべての★を経験点に換算します。この際、★5つまでは1つにつき100点の経験点を、それ以降は1つにつき200点の経験点を得ることができます。能力値の成長は行えません。
 一度破棄したミッションは、そのミッションを受けた場所に移動すればもう一度最初から始めることができます。

  「クエスト」について

 妖精郷の中を移動しているとき、NPCから「クエスト」を受けることがあります。クエストとはNPCから受ける「無期限の依頼」を指します。ある品物を収集する、特定の相手に品物を届けるなどの内容があります。クエストはミッションの受注や達成とは異なり、条件を満たせばいつでも達成できます。クエストの達成によって報酬や★を得ることがありますが、この★は次にミッションを達成した時の経験点に加算されることになります。
 クエストは複数のNPCから同時に複数受けてもかまいませんし、必ずしも達成する必要はありません。他のミッションやクエストの進行を阻害することはないため、達成する気がなくなっても、破棄する必要はありません。


4.敗北と全滅、妖精郷同化度に関するルール

 PC全員が魔物に倒されてしまったり、全員が行動不能になってしまった場合、もしくは魔物に対して降伏を宣言した場合、特に記載がない限りPCは全員が死亡します。石化や呪い、継続してダメージを与える毒など、気絶しても継続する効果を受けていたキャラクターも、その効果を解除された上で死亡します。
 妖精郷で死亡した場合、【七色猫のおもてなし亭】の宿泊台帳に名前を記入していたキャラクターは、死亡と同時に【七色猫のおもてなし亭】に転送され、管理人であるケットシー・グラタンによって蘇生されます。
 グラタンが行う蘇生は【リザレクション】に代表される蘇生の魔法によるものではなく、妖精郷を維持するために彼に預けられている再構成の力です。グラタンによって蘇生されたキャラクターは“穢れ”が増加することはありませんが、「妖精郷同化度」が2点増加します。

  「妖精郷同化度」について
 妖精郷は妖精に適した環境に整えられています。人族や蛮族なども特に問題なく生活できる環境ではありますが、あまりに長く妖精郷に留まったり、妖精たちから強い影響を受けていると、徐々に妖精郷に同化していきます。これを示すのが「妖精郷同化度」です。
 「妖精郷同化度」が上昇しすぎると、身体が妖精郷に適応しすぎて、妖精郷から出ることができなくなってしまいます。具体的には妖精郷を出るときに判定を行いますが、「妖精郷同化度」が高いほど、妖精郷から出られない可能性が上昇します。
 「妖精郷同化度」は種族に関わらず初期値は0で、妖精郷の中で何らかの影響を受けることで増加することがある他、妖精郷に連続で10日滞在するごとに1点増加します。妖精郷の外に出れば、1日に1点ずつ減少していきます。また、他にも「妖精郷同化度」を減少させる手段は存在しています。
 もとから妖精郷にいるNPCのほとんどには「妖精郷同化度」は設定されておらず、原則として妖精郷から出ることはできません(ないしは、出ようとする意志がありません)。


5.戦闘からの逃亡に関するルール

 PCたちが戦闘から逃亡したい場合、まずラウンド開始時にPC全員が「全力移動」が可能な状態である(乱戦状態ならば前のラウンドに離脱宣言を行い、転倒状態ならば復帰している)必要があります。全員が「全力移動」を行えるなら、PCの手番の開始時にすべてのPCは「冒険者レベル+敏捷度ボーナス」を基準値に判定を行い、最も高い達成値と目標値「戦闘に参加している敵の中で最も高い魔物レベル+7」を見比べ、以下の表に従って結果を決定します。逃亡した結果、別のパラグラフに移動しても「道」がつながることはありません。

達成値と目標値の差状況
目標値より2以上低い隣接するエリアの新しいパラグラフに逃げ込む。「妖精郷同化度」が1点増加する。
目標値より1低い現在いるエリアの新しいパラグラフに逃げ込む。「妖精郷同化度」が1点増加する。
目標値と同じ同じパラグラフで1tbが経過する。「妖精郷同化度」が1点増加する。
目標値より1高い任意の「道」がつながっているパラグラフに移動する。どこにも「道」がつながっていない場合、現在いるエリア内の任意のパラグラフに移動する。


                         ― END ―

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