妖精郷についての基礎知識



妖精郷の伝説

 妖精郷は、魔法文明デュランディル時代に、アラマユ・ハメスガダラスという女魔法使いによって造られたといわれる、たくさんの妖精たちが暮らす楽園だ。
 偉大な妖精使いであり、優れた魔術師でもあったアラマユは、愛する妖精たちと永遠の時間を暮らしたいと願い、妖精郷を造り上げた。
 アラマユによって造り上げられた妖精郷は、まさにこの世の楽園と呼ぶにふさわしい場所だった。豊かな緑、咲き誇る花々、その中に佇む白亜の城……光に溢れ、多種多様な妖精たちが明るく無邪気に笑いながら木々の間を飛び回り、舞い踊る。そんな夢のような世界に、アラマユばかりでなく、多くの人々が時が経つのも忘れて酔いしれたと、当時のことを伝える文献には記録されている。しかし、妖精郷は突如として消滅してしまう。その原因は定かではなく、「妖精郷の美しさに嫉妬した別の魔術師が呪いをかけた」、「魔法の暴走によって異世界に飛ばされた」などの説が唱えられている。確かなことは、妖精郷はこの世から消え失せ、同時にアラマユ・ハメスガダラスも姿を消してしまったということだ。
 一方で、妖精郷にはデュランディル時代に造られた高度なマジックアイテムが数多く残されているとされている。中でも<妖精王の冠>は、あらゆる妖精を従える魔力を持っていたと伝えられており、もし実在するのなら、まさしく一国に値する秘宝だ。そのため、冒険者たちの中には、<妖精王の冠>を求め、妖精郷消滅の謎を解明しようとする者もいる。
 いずれにしても、妖精郷とその消滅に関する謎は、冒険者・学者を問わず、多くの人々の興味の対象となっている。もし、その謎を解明する者が現れたとしたら、その者の名はテラスティア大陸中に響き渡ることだろう。

  妖精郷の地図

 妖精郷はラクシアのどこにも存在せず、どういった方法で行けるかが分からない場所だ。妖精郷自体がひとところに留まらず、妖精の存在している世界とラクシアの間を行き来している、という噂もある。
 また、妖精郷の中の各所も、ずっと同じ場所には存在せず、時間や状況によってその場所を変えていく。それまで徒歩で移動できていた場所でも、次には未知の場所にたどり着くことも珍しくない。
 しかし妖精郷の中央にある、王宮が沈んだ湖と、東西南北の四方の果てにある鐘楼はずっと同じ場所に存在している。妖精郷を移動するものたちは、湖と鐘楼を手がかりに、おぼろげながら自らの位置を知ることができる。
 そういった場所のため、妖精郷の中には地図が存在せず、また地理に詳しい者も稀だ。それぞれの場所にも謎が多く、全体を把握しているのは妖精王だけだと言われている。

失われた古代種妖精

 妖精郷には、現在のラクシアではほとんどその姿を見ることができなくなった古代種妖精と言われる妖精たちが存在する。美しい少女の姿をした炎の妖精エインセル、直立した猫の姿をした光の妖精ケットシー、チョウのような羽根を持つ小さな乙女の姿をした風の妖精ピクシーなどがそれだ。
 古代種妖精はとても珍しく、妖精使いの中には古代種妖精と巡り会うために、一生を掛けて旅する者もいるほどだ。このため、多くの古代種妖精が暮らしている妖精郷は、すべての妖精使いにとって魅力的な場所だ。古代種妖精に出会うために、妖精郷を探し求める妖精使いもいる。運が良ければ、こうした古代種妖精と親しくなり、契約を結ぶことができるかもしれないからだ。
 古代種妖精と遭遇した場合、フェアリーテイマー技能を持つ者でも、魔物知識判定に自動的に成功することはできない。ただし、相手が妖精の一種であることは感じ取れる。

  小妖精(リトルドロップ)たち

 小妖精とは、まだちゃんと妖精になりきれていない小さな妖精たちのことだ。遠目にはキラキラ輝く光の集まりのように見えるが、近づいてみると大きな半透明な羽根を持つ、体長20cmほどの少年少女の姿をしていることがわかる。
 小妖精は、いつも陽気に歌ったり踊ったりしてはしゃいでおり、いたずら好きで、好奇心旺盛だ。どこからともなく現れては、無邪気に魔法をかけて、飛び去ってしまう。その魔法によってどんな事態が起こったとしても、小妖精たちには悪気はない。小妖精とはそういうものだからだ。
 小妖精は、妖精郷の至る所にいる。妖精としては未成熟だが、その分マナとの親和性が強い。とりわけ、妖精郷にいる小妖精は、妖精郷を維持している魔法の一部と言ってもいい存在であり、その強力な魔法には抵抗することができない。
 小妖精は、光の粉を相手にかけたり、キスをしたりすることによって魔法をかける。また、妖精語を話すが、相手の言うことはまったく聞いていないため、まともな会話にはならない。小妖精に危害を加えようとすると、すぐにただのマナへと変じてしまう。

<妖精鉱>について

 <妖精鉱>は、妖精の力を増強するために、デュランディル時代の魔法によって生み出されたものだ。妖精郷には、この<妖精鉱>を自動的に精製する魔法が組み込まれており、いくつかの場所で採取することができる。
 <妖精鉱>には真紅の<炎精鉱>、紺碧の<水精鉱>、黄色の<土精鉱>、透明な<風精鉱>、乳白色の<光精鉱>、漆黒の<闇精鉱>の6種類があり、妖精郷で暮らす妖精たちのマナ補給源となっている。

妖精郷で暮らす妖精たち

 妖精郷で暮らす妖精たちは、先述の<妖精鉱>から効率よくマナを補給しているため、ラクシアで暮らす妖精のように妖精使いとの契約を必要としない。また、妖精使いも召喚のゲートである<妖精使いの宝石>を持たなくても妖精魔法を行使することができる。デュランディル時代の妖精使いによって、さまざまな知識を授けられている妖精も存在しており、そうした妖精たちの中には人族に近い考え方をするものもいる。さらに、遥か以前に交わした妖精使いとの契約を、いまなお守り続けている妖精もいる。
 とりわけ、アラマユによって、妖精郷を維持するための役割を与えられた妖精たちは、妖精郷がラクシアから消滅してしまった現在でも、その役割を忠実に果たしている。
 ただし、これらの重要な役割を持つ妖精たちも、本質的には他の妖精たちと同じく、享楽的で、刹那的であることに変わりはない。本来、食物によって空腹を満たす必要のない妖精が、お菓子や酒を好むのも、そうした性質に由来する。このため、妖精郷では、いつもどこかで妖精たちによる宴会が繰り広げられている。

妖精郷と4つの鐘楼

 妖精郷の東西南北には、それぞれ1本ずつ、鐘楼が立っている。この鐘楼は、常に空に浮かんで見え、妖精郷のどこの場所からでも等しく同じ場所に見ることができる。このため、妖精郷では方角を見失うことはない。だが、方角がわかるからと言って、道に迷わないわけではないので注意が必要だ。
 なお、4つの鐘楼には、それぞれ東の鐘楼にタイタン、西の鐘楼にはジン、北の鐘楼にはミーミル、南の鐘楼にはイフリートのレリーフが飾られている。

グラタンの妖精郷案内



グラタン「完成した妖精郷は、本当にこの世の楽園のような場所になったよ。アラマユ様が施した魔法によって、妖精郷では場所ごとに気候が固定化されていて、野原はいつも春のように暖かく、雪山は真冬のように寒いんだ。そんな野原や雪山や森や湖に、たくさんの妖精たちが自由気ままに飛び回っていた」

 そんな妖精郷にはアラマユの友人たちが多数遊びにやってきて、とても賑わっていた。アラマユはグラタンを含む7人のケットシーを妖精郷の管理人とし、客の世話を任せた。【七色猫のおもてなし亭】は、そうした客のための宿だったのだ。

グラタン「湖の上には、この【七色猫のおもてなし亭】の他にも温泉や工房なんかの施設があったんだ。その中にはお城もあって、神にも匹敵する力を持つ妖精王が住んでいたんだよ」

 しかしあるとき、突然の異変が妖精郷を襲った。城が妖精王とともに湖底に沈み、同時にアラマユも姿を消してしまったのだ。その日を境にして客が妖精郷を訪れることもなくなり、グラタンたちケットシーは困り果てた。

グラタン「だってボクたちはお客さんたちのお世話をするための管理人だったんだからね」

 しばらくの間、ケットシーたちは再び客がやってくるのを待っていた。が、やがてそれを諦め、残っていた施設を湖底に沈めると、散り散りになってしまったのだった。

グラタン「きっと、アラマユ様は何らかの事情で妖精郷をラクシアから隔離しちゃったんだと思う。その事情についてはさっぱり分からないけど……他のケットシー? ごめんね。散り散りになってから、他のみんなには会っていないんだ。みんながいればお客さんのために色んな施設を復活させることができるんだけど……」

薄桃色のモヤについて

グラタン「あのモヤは遠く離れた2つの空間をつなぐ魔法なんだ。ご友人方がいつでも妖精郷に来られるようにって、アラマユ様が各地に設置した転移の魔方陣が発生させるものだよ。アラマユ様が妖精郷をラクシアから隔離したんなら同時に魔方陣も封印したはずだけど、何かしらの理由で封印が弱まっていたんだと思う」

現在の妖精郷

 現在、長年にわたって妖精郷を維持してきた魔法の力が弱まってきている。そのため、空間が不安定になり、どこに何があったのか、グラタンにもわからなくなってきているのだという。さらに、転移の魔方陣が勝手に作動するため、時折ラクシアの魔物が妖精郷に迷い込み、そのまま棲みついている。蛮族や魔神、アンデッドまでもがさまよっており、「危なっかしくて、散歩にもいけない有様だよ」とグラタンは嘆く。

妖精郷から脱出する方法

 妖精郷から出るためには、湖底に沈んでいる転移の魔方陣を浮上させるしか方法はない。しかし、魔方陣の管理人であるフィットチーネという名のケットシーがどこでどうしているのか、グラタンにはまったく分からないという。
 すべての施設は魔法の力で護られており、管理人であるケットシーの許可なく使用することはできないため、きみたちがラクシアに戻るためには、まずフィットチーネを探し出さねばならない。

施設と管理人のケットシー

 ケットシーたちが管理人を務める施設は7つあり、現在【七色猫のおもてなし亭】以外は湖底に沈んでいる。これらの施設は、妖精郷を訪れる客にさまざまなサービスを提供する役割を持っている。各施設が提供するサービスと、管理人のケットシーは以下の通り。また、『妖精郷エリアマップ』の下に現在の利用状況が記載されている。これは管理人のケットシーを見つけ、施設が利用可能になるごとに更新されていく。

  七色猫のおもてなし亭

 管理人はグラタン。食事と休息ができる。また、グラタンは基本的な一般装備品、矢弾、魔法使い用アイテム、薬草類を作成してくれる。

  施療院

 管理人はペンネ。薬草類、ポーション類を作成してくれる。また、温泉があり、浸かるとさまざまな効果を得られる。

  騎獣厩舎

 管理人はパスタ。騎獣をレンタルできる。また、騎獣装備品を作成してくれる。

  魔法工房

 管理人はドリア。魔法使い用のアイテム、マジックアイテムを作成してくれる。

  鋼の工房

 管理人はニョッキ。武器と防具を作成してくれる。

  転移の魔方陣

 管理人はフィットチーネ。妖精郷とラクシアを行き来できる。また、妖精郷の中のアイテムを持ち出せるよう処理してくれる。

  妖精王の城

 管理人はラザニア。城には妖精王がいる。妖精王は<妖精王の冠>を所持しており、妖精郷がラクシアから隔離された原因を知っていると思われる。

マナマテリアルについて

グラタン「ボクは、この宿の管理人だから、ここからは離れられないけれど、お客さんのためにいつでもおいしい食事と暖かい寝台を用意しておくからね」

 グラタンを含むケットシーが作成するアイテムは、すべて無料である。しかし、これらのアイテムは妖精郷の魔法の力で作られるため、その素材となるマナマテリアルという物質を消費する。
 グラタンによると、現在【七色猫のおもてなし亭】に残っているマナマテリアルは500点分だという。より多くのアイテムを作成するためには、マナマテリアルを集める必要があるのだ。
 マナマテリアルは、グラタンが持つ保管筒の中に蓄えられているパチパチと弾けながら青白く輝く光で、これを必要に応じて使用するのだ。使用したマナマテリアルは1点につき1ガメルの価値を持つアイテムの材料となる。

  マナマテリアルを獲得する方法

 マナマテリアルは、あらゆるアイテムや戦利品から抽出することができる。アイテムや戦利品をグラタンに渡すと、グラタンはそれを分解してマナマテリアルを抽出してくれる。品物は失われるが、抽出元であるアイテムや戦利品の売却価格に等しい点数のマナマテリアルが利用可能になる。<剣の欠片>からも同様に200点のマナマテリアルが抽出できる。妖精郷では名誉点は意味を持たず、引き渡す冒険者の店も存在しないので、ラクシアに持ち帰るのでなければマナマテリアルに変えてしまうのが得策だ。

妖精郷のアイテムについて

 マナマテリアルで作成されたアイテムを含め、妖精郷で手に入れたアイテムはすべて妖精郷の魔法の力で作られており、妖精郷の外に持ち出すことはできない。それらのアイテムを持ち出すためには、フィットチーネにアイテムを<妖精鉱>とともに渡し、妖精郷の外に持ち出せるよう加工する必要がある。プレイヤーは外から持ち込んだアイテムと、妖精郷で手に入れたアイテムを分けて管理すること。


                         ― END ―