《封鎖領ハウペリア》NPC名鑑

[更新]1.歴史上の人物       [更新]2.ヴィルトルードの人々   [更新]3.《封鎖領》各都市の人々

[更新]4.各地に暮らす人々     [更新]5.危険な実力者たち     [更新]6.《封鎖領》を彷徨う者


   1.歴史上の人物


“閃嵐の戦姫”ヴィルトルード・ハウペリア
(人間/女/享年20歳前後と推定/故人)
「風のように速やかに、雷のように激しく、裁きを下す!」
 <大破局>の終焉後、復興を果たしたアイヤール帝国軍を率い、数々の戦場で蛮族軍と戦った英雄。
 極めて高位のフェトル神官であり、雷を呼び、嵐を操って幾多の蛮族の将軍たちを討ち取ったとされる。
 魔剣<サーペントイーター>を手に、“暴食の眠り姫”マーシャ・グラトニカ率いる蛮族たちが支配していたかつての《封鎖領》へと攻め入り、多数のヴァンパイアを葬ったが、決戦の地に降臨した眠りの神カオルルウプテの奇跡によって消滅した。
 出自が不明であるばかりか、アイヤール軍の将となった経緯も記録に残っていないが、清廉にして潔白、雪に覆われた<去りし神々の座>の高峰を思わせる孤高の美貌の持ち主で、常に先陣に立つその姿に多くの兵士は彼女を崇拝していたという。
 

“滅びの子爵”ゲルハルト・ハウペリア
(人間/男/没年不明/故人)
「ヴィルトルードの偉業を完成させる。それこそが、至高の目的」
 “閃嵐の戦姫”ヴィルトルード・ハウペリアと共に、マーシャ率いる蛮族軍と戦った将軍。ヴィルトルードの副官を務め、カオルルウプテ降臨によって戦いが終結した後は、ハウペリア子爵家を継ぎ、呪われた《封鎖領》の初代領主となる。
 ヴィルトルードを消滅させた蛮族、とりわけヴァンパイアを憎み、城塞都市に亡き上官の名をつけた後、その意志を継ぐとして破滅的な蛮族掃討戦を始めたが、呪われた地で生きていくために蛮族との共存を考えた弟ギーゼルヘルによって爵位を追われ、【灰色の城】に幽閉された。
 弟によって幽閉されたゲルハルトだが、孫娘のメリザンドの協力を得て、<ドリームダスト>の流通網を作り上げると、その豊富な資金を背景に蛮族の殲滅を目的とした秘密組織<流血舞踏会>を設立している。彼自身の没年は不明だが、ナイトメアであるメリザンドは現在も<流血舞踏会>の副首領を務めている。

“暴食の眠り姫”マーシャ・グラトニカ
(ヴァンパイアアペティー/女/年齢不詳/故人)
「お腹空いたなあ〜。ああっ! 貴女って美味しそう〜」
 かつて《封鎖領》一帯を支配していた蛮族の王。
 アンピュルシオン氏族のヴァンパイアたちを率いた氏族の長であり、<暴食>の性を象徴するアペティーの一族の中でも最古の個体の1人とされる。また、眠りの神カオルルウプテの大神官でもあった。
 並みの小神を遥かに凌駕し、大神に迫るほどの絶大な力を秘めていたが、その性ゆえに食べることと寝ることにしか興味がなく、そのため英雄ヴィルトルード率いるアイヤール帝国軍に追い詰められた。
 最終的に、決戦の地でカオルルウプテを降臨させ、アイヤール帝国軍を殲滅すると共に、大地に<暴食の膿夢>の呪いを残して自らも消滅したとされる。
 毒蛇にも似た漆黒の髪と真紅の瞳を持ち、見るものの心を腐敗させるが如き美貌の持ち主だったと言われている。

 夜の《封鎖領》を旅する者を襲う呪われた悪夢の中で、伝承に謳われるマーシャと外見が酷似した女が現れることがあり、<暴食の膿夢>の化身として今なお怖れられる存在。



   2.城塞都市ヴィルトルードの人々


“仮面の貴人”シリウス・ハウペリア (人間/男/24歳)
「呪われた地の民とて、垣間見た小さな幸せに手を伸ばすことくらいは許されてもいいではないか」
 ギーゼルヘル・ハウペリアの末裔にあたる《封鎖領》現領主。<黄角城>に篭ったまま人前に出ることはほとんどなく、姿を現すときも仮面とマントで容貌を隠している。
 民を思いやる心を持った有能な為政者であり、ハウペリア子爵家の嫡子として<黄角騎士団>団長の地位にもあるが、荒事には適性がなく、本人にもその自覚があるため、治安維持業務は副団長ルガルドに一任し、自身は領地を少しでも豊かにするため、黙々と執務を続けている。

“灰色の巨壁”ルガルド・ザド (ダークトロール/男/150歳)
「義に生き、義に殉ず! それが、騎士たる者の本分だ」
 ハウペリア子爵家に仕える<黄角騎士団>の副団長である、左腕が狼の上半身に変異したダークトロール。
 <黄角騎士団>には、団長は子爵家の嫡子が務めるという伝統があるため、副団長の地位にあるが、実質的には彼が最高指揮官として差配を振るっている。
 自身は戦神ダルクレムの神官でもあり、ひとたび動き出せば近づく者すべてを喰らい尽くす変異能力<フェンリルバーサーカー>と魔剣<インベルナブレイド>を手に、人々に害為す幾多の敵を葬ってきた歴戦の勇者。
 豪胆かつ義理に篤い性格であり、強い正義感と義侠心を持ちつつも冷静さを失わない鋼の精神力により、多くの騎士たちの信頼と尊敬を集めている。
 ヴィルトルード近郊の開拓地の治安を守る中、最近になって顕在化した<流血舞踏会>との対立に悩みを深めているが、蛮族の殲滅を掲げる<流血舞踏会>との和解はあり得ないとして、戦力の増強と情報収集に腐心している。

 [ファイター11、プリースト(“戦神”ダルクレム)7、スカウト4、エンハンサー4]


 インゼ・ハイデマン (ラミア/女/32歳)
「元気出して! うつむいてばっかりじゃ、お腹が空くだけよ」
 冒険者の店<真紅の誓い>亭の女主人で、輝くような金髪とエメラルドグリーンの瞳が印象的な美貌のラミア。
 下半身は蛇の鱗の代わりに、ひよこのような触感を持った虹色の羽毛に覆われ、脇腹にエラのような器官を持つ。
 いつも元気いっぱいの笑顔で、肉体変異のために陰気になりがちな冒険者たちを勇気づけ、頻繁に危険な依頼が舞い込む《封鎖領》の冒険者の店をよく切り盛りしている。
 冒険者たちにとっては頼れるお姉さん的存在であり、彼女を害しようとする者は8000人の『インゼ親衛隊』によって人知れず闇に葬られるとまことしやかに囁かれているが、本人は「せいぜい80人でしょ」と笑って否定している……あれ?
 現在、かつて<真紅の誓い>亭の冒険者だった親友のシモーヌ・ボニツェーリの消息を探している。

 [ソーサラー6、コンジャラー6、セージ5]


 魔剣屋のインゴルマ (人間/男/38歳)
「魔剣は、人を選ぶ。あんたには、どんな魔剣が似合うかな?」
 ヴィルトルードの露店広場で魔剣屋を営む、ふてぶてしい面構えをした商人の男。一見すると変異はないが、実は両脚がタコのような触手になっている。
 いつも一人で店の奥に座っているが、実は大きな天幕をいくつも有する大商人で、ヴィルトルード近郊において無視できない影響力を持っている。ずば抜けた情報通でもあり、その情報網によって得た秘話を、<インゴルマチケット>のサービスを通して常連客に開示することがある。

狂々千手くるくるせんじゅ”テグシパ (サキュバス/女/年齢不詳)
「私の研究によって新世界は着実に近づいている。感謝するがいい愚民ども」
 変異研究所の所長を務める、翼の代わりに数十本の腕を生やしたサキュバス。
 彼女は<暴食の膿夢>がもたらす肉体変異が、人族でも蛮族でもない新たな種族を生み出すと信じており、死者の蘇生に伴う変異について日夜研究を続けている。
 [コンジャラー13、プリースト(“狂神”ラーリス)12、セージ12]


   3.《封鎖領》各都市の人々


“船長”グラトルマ・モア
(人間/男/31歳/【飛べなかった船】)
「皆も空を見てみろ。城壁なんて無粋なもんはどこにもないぞ」
 <船の街>の代表者を務める、右半身だけが異様に肥大化した男。穏やかな性格で、人族蛮族問わず街の住人たちから信任を得ている。
 飛空挺を独自に開発することに情熱を燃やしており、冒険者たちを使って魔動部品を集めたり、古い魔動機術の知識を調べたりしている。いつかは巨大な飛空挺を造って世界を巡りたいと考えているらしく、幾度もの失敗にもその熱意は冷める気配を見せない。

 [マギテック7、セージ7]

 ダーズライ・コドヴィ
(タビット/男/17歳/【塔の村】)
「兄のことなどまったく心配していないが、どうしても話したいというなら聞いてやってもいい」
 【塔の村】で<守り手>という職についている、ピンクの毛並みのタビット。
 変異によって耳と尻尾が8つずつあるというユーモラスな姿をしているが、顔立ちがアレなのであまり可愛くないとご近所でも評判。
 <守り手>の常として、常時見張り塔の上で長銃を構え、外敵や“猟犬”の出現に備えている。彼にはペップをはじめとする3体のコボルドたちが仕えており、身の回りの世話や“猟犬”との戦いでのサポート役を務めている。
 【塔の村】では古くからタビットがマギテックシューターとなって<守り手>を務めるという伝統があるが、ダーズライにはその慣習を嫌って村を飛び出した兄がいる。ダーズライは役目を捨てて逃げ出した兄を軽蔑するような言動を繰り返しているが、本心では兄のことを心配している。(未公開情報)

 [マギテック4、シューター5、セージ3]


 ペップ
(コボルドニンジャ/男/16歳/【塔の村】)
「ダーズライ様は、ちょっと素直になれない性格なだけなんです」
 シュワシュワと泡立つ体毛を持つコボルドで、ダーズライに仕える従者。ディルフラム産の純正(?)ニンジャではないが、同等の訓練を積んでいる。
 かつてはダーズライの兄に仕えていた。兄の身を案じるダーズライの心情を理解し、なんとか仲直りさせられないかと考えている。(未公開情報)
 [ファイター2、スカウト2、マギテック1]

“深淵を覗く者”ルナアイズ・アンノウンイーター
(ヴァンパイアキュリー/男/年齢不詳/【岩の上の街】)
「もしきみが本なら、僕の図書館に収めてしまえるのになあ」
 アンピュルシオン氏族のヴァンパイアの一人で、好奇心の性を持つ<キュリー>の一族。200年前のカオルルウプテ降臨と<暴食の膿夢>の発現に伴って【岩の上の街】を建設し、ノスフェラトゥの絶大な力を背景として、各地から招いた人々を当時の蛮族の脅威から守っていた。
 自身はその宿命的な探求心を満たすため、当時から大図書館に篭もりきり、200年近くも一歩も外に出ていない。そのため、街の支配は彼の従者であるマリー=アンに委ねられている。

 [ルナアイズのデータは、ヴァンパイアキュリーを<剣の欠片>で強化したもの]


<六人のマリー=アン>
(リャナンシーアサシン/女/年齢不詳/【岩の上の街】)
「この街で騒ぎを起こす者たちは、マリー=アンが許しません」
 【岩の上の街】を守護する6人のリャナンシーアサシン。“黒い”/“紅い”/“蒼い”/“翠の”/“金の”/“銀の”マリー=アンが存在し、容姿はまったく同じだが、髪と瞳の色だけが異なる。
 図書館に篭もり切りの領主ルナアイズに代わり、街の治安を守り、管理と支配を保っている。6人全員が極めて高位の魔術師、かつ眠りの神カオルルウプテの高司祭であり、その絶大な戦闘力と眠りの神から下される神託によって、街の住民は“猟犬”の脅威からほぼ完全に守られている。ただし、彼女らの能力にも限界が存在するため、強力な“猟犬”を引きつける冒険者などからは通行料を取り、人口に占める割合が高くならないよう注意を払っている様子。

 [マリー=アンのデータは、リャナンシーアサシン(⇒『BT』60頁)を<剣の欠片>で強化したもの。ソーサラー13、プリースト13]



   4.各地に暮らす人々


“魔力抽出炉管理者”リクス07
(強化ルーンフォーク/女/外見年齢17歳/【火山鉱跡】)
「魔力抽出炉使用確認のために、パスコードをどうぞ」
 肩のところで切り揃えた銀色の髪を持つ、人形めいた風貌の女性型ルーンフォーク。
 溶岩から魔力を抽出する火山鉱型魔力抽出炉の管理者として、魔動機文明アル・メナス時代でも最高の技術を用いて生み出された強化ルーンフォークであり、炉を維持管理するためのあらゆる知識と能力を与えられている。
 また、莫大なマナを生み出し得る魔力抽出炉を外敵から守るため、強大な戦闘力を与えられてもいる。現代では失われた魔動機術を用いるだけでなく、毒や病、精神を蝕む攻撃をいっさい寄せつけず、各種の支援型戦闘用魔動機械を操る力を持つ。
 一方で、現代のルーンフォークのように個としての感情やパーソナリティを有しておらず、その口調は常に淡々としたもの。
 稼動をはじめてからかなり長い年月を経ていることが推察されるが、普段は魔力抽出炉に備えられた休眠ポッドの中で眠りについており、同時に自身のメンテナンスを行っている。生体としての原理からして通常のルーンフォークとは異なり、非常に長い稼動限界を持つ模様。

 [詳細不明]


“眠らせ上手”カジミール・モスト
(人間/男/25歳/【フェトルの孤児院】)
「研究は楽しいけど、子供たちと遊ぶのはもっと楽しいからね」
 小さな村で孤児院を営むフェトル神官。いつも疲れた顔をしている冴えない青年で、右手の指がすべて蛇になっている。穏やかな性格で、孤児院の子供たちや村人たちから非常に慕われている模様。打ち捨てられたフェトルの祠を再建しようとする中で、制裁の双子女神と呼ばれる小神が合祀されているのを発見し、この神に興味を持ったという。
 [プリースト(“慈雨神”フェトル)6、セージ6]

 ヤン・シャバリン
(人間/男/15歳/【フェトルの孤児院】)
「カジミール先生、ちょっとどいてください。そこ、拭きますから」
 右眼が猫の瞳になっている人間の少年で、フェトル神官。3年前に、変異蛮族によって家族を殺され、路頭に迷っていたところをカジミールに拾われ、孤児院で育てられた。
 カジミールを兄のように慕っており、子供たちからは兄的存在として頼りにされている。いまでは孤児院の運営に欠かすことのできない存在。
 [ファイター3、プリースト(“慈雨神”フェトル)3]

“凝聚の魔剣”ミミ=レリア
(魔剣/性別不詳/年齢不詳/【丘の上の館】)
「そもそも余が生み出されたのは、今より遡ること(略)」
 魔法文明時代に作製された魔剣の一振りで、第4世代に相当する知性ある魔剣。高慢かつ古風な物言いをし、自身を帯びた人形を操ることができる。
 代々の所有者である数多の魔法使いや剣士たちと共に、魔法と剣術の研鑽を積み、【ライロック魔刃術】を極めた。


“雷刃”スリャ・ベルティーユ
(エルフ/女/87歳/【ザイアの砦】)
「ご安心を。騎士神ザイアの加護が、きっとあなたがたを守ります」
 右手が長剣と融合しているエルフの女性で、ザイア神殿の神官長にして、神官騎士の長。【ザイアの砦】では、ザイアが女神だという伝承が信じられている。
 スリャも、その異説を信じているが、ザイアを男性神だとする信仰にも寛容だ。
 弱い立場の女性たちを守ることを神殿の役割とし、そのためにザイアが女神だという信仰を維持したいと考えている。

 [ファイター6、プリースト(“騎士神”ザイア)6、スカウト5]


 リゼット・メアル
(人間/女/19歳/【ザイアの砦】)
「レオ。待っていて。必ず、あなたを見つけてみせるから」
 ふわふわの亜麻色の髪をした凛々しい印象の女性で、ザイア神官見習い。2年前に恋人のレオと喧嘩別れし、そのままの勢いで神殿に飛び込んでしまった。
 今ではそのことを後悔しているが、レオは「肉体変異を治療する方法を探すために」旅立ってしまい、行方不明。
 そのため、レオの行方の手がかりを求めて、PC一行に同行を申し出る。
 2点の“穢れ”を持つ。

 [レンジャー1]


 フロル
(ラミア/女/10歳/【鋼鉄の墓標】) [更新]
「ねえねえ、ダナ。ボクのお母さんね、とっても強かったんだよ」
 【鋼鉄の墓標】で、ルーンフォークのダナとともに暮らすラミアの少女。
 両腕から小さな翼が生えているが、飛行することはできない。
 【鋼鉄の墓標】で魔神と戦って死んだ母親が生前探していたものを自らも探しており、その過程でジェネレーターの中で眠っていたダナを発見し、目覚めさせた。

 [なし]


 ダナ
(強化ルーンフォーク/女性型/外見年齢20歳/【鋼鉄の墓標】) [更新]
「フロル、おかわりはいかがですか?」
 フロルと共に暮らす、長い黒髪を持つ女性型ルーンフォーク。
 ジェネレーターの中で眠っていたが、フロルによって発見・起動され、以来、フロルに仕えている。
 眠りに就く前の記憶はまったくなく、「ダナ」という名前もジェネレーターに刻まれていた文字からフロルが名づけたもの。
 かなりの戦闘力を持ち、料理の腕も抜群らしい。

 [ファイター9、マギテック8、スカウト8、マギテクノオペレーター12]


“永遠の償い人”アナクレト・アリロファン
(ヴァンパイアアムール/男/300歳以上/【迷いの谷】) [更新]
「この永遠の命は、罪を償い続けるためにあるんだよ」
 大アイヤール帝国皇城防衛軍第五一二小隊を率いていたエルフの男性。【迷いの谷】の陣地を死守していたが、蛮族軍の攻撃によって小隊は全滅し、戯れに囚われた彼は、死の恐怖からヴァンパイアアムールの“接吻”を受け入れ、自らもヴァンパイアとなった。
 戦いの終結後、自らの行いを悔いた彼は、償いのためにかつての部下たちの亡骸を弔い続けている。ヴァンパイアとなった現在でも、人族のメンタリティを失っていないが、それ故にアンピュルシオン氏族特有の宿命的な衝動に抗い、精神を疲弊させている。

[アナクレトのデータは、ヴァンパイアアムールを<剣の欠片>で強化したもの]



   5.危険な実力者たち


“赤い輪舞曲”メリザンド・デュソリエ
(ナイトメア/女/180歳以上/【灰色の城】)
「我らの血と引き換えに、貴様らの屍でこの舞台を埋め尽くしてくれよう。滅びよ、悪しき者ども!」
 燃えるような波打つ赤毛と、ヴァンパイアの如き真紅の双眸を持つナイトメアの少女。ただし実年齢は180歳を超える。
 身体の一部が肉体変異によって高純度の水晶のように透明化しており、その美貌と相まって、見る者に幻想的な印象を与える。
 現在の<流血舞踏会>副首領であり、すべての蛮族を憎悪し、《封鎖領》から根絶・放逐することを目的としている。
 逆手で操る布の動きによって敵を幻惑する【エルエレナ惑乱操布術】の達人であり、強力な魔剣を所持しているとの情報もある。

 [詳細不明]

 ※以上の記述は<黄角騎士団>の情報網に拠る。


“竜爵”ザウル・ヴァーツラフ
(ドレイク/男/350歳以上/【ダルクレム神殿】)
「避けられぬ戦とは得てして予期せず起こるもの。誰もが辿る道程の半ばに立ち塞がる、それは試練なのだ」
 ダルクレム神殿の大神官であるドレイクの男性。優美な雰囲気を漂わせる金髪の青年で、清潔そうな白い服を纏い、穏やかな微笑みを浮かべている。
 しかし、その本質は戦いと血に飢えた獣も同然で、神殿内に「決闘場」と称する闘技場を設け、戦いを求める者たちにその場所を与えるとともに、血生臭い殺し合いを見物しては酒杯を傾けている。
 戦いという概念そのものを信仰しており、生ある者は例外なく予期せぬ戦いに備えなければならないと説く。その信念の表れとして、【ダルクレム神殿】の周囲を通りがかる旅人などを配下に捕まえさせ、強制的に闘技場で戦わせている。ただし、本当に戦う力を持たない者は無視するよう命じたり、戦いの場に伴うことになっても参戦しないことを許すなど、奇妙な物分りの良さも持っている。
 本人に言わせれば「結局のところ、飽きることなく激しい戦を求めているだけで、教義はそれらしい形をつけているに過ぎない」ということだが、その信念がどこまで真摯なものなのかは、部外者には伺い知れない。

 [詳細不明]


 “葬る者”モーギ
(ダークトロール/男/年齢不明/【死と腐敗の双神殿】)
「死にたいか? 死にたいだろ? よし、死ね!」
 【死と腐敗の双神殿】の一方、“死の神”ザールギアスを祀る神殿の長であるというダークトロール。
 夜毎、行き着いた肉体変異に絶望し、解放を求めて訪れる人々を皆殺しにしていくと言う。
 [詳細不明]

 “黒翼の死司”チャロ・アコスタッツ
(リルドラケン/女/年齢不明/【死と腐敗の双神殿】)
「どいつもこいつも辛気臭い顔して。まったく、つまらないわ」
 【死と腐敗の双神殿】の一方、“腐敗の女神”ブラグザバスを奉じる神殿の長であるという女性のリルドラケン。
 ザールギアス神殿のモーギとは仲が悪いらしい。
 [詳細不明]


   6.《封鎖領》を彷徨う者


“沈黙の紡ぎ手”ティアドロップ・キリングワード
(リャナンシーソードマスター/女/外見年齢23歳/迷子のご主人様探索中)
「ご主人様、ティアはそろそろ探すの飽きてきました」
 《封鎖領》の荒野で出会った、メイド姿の女性型ルーンフォーク。
 綺麗に切り揃えた黒髪に、アイスブルーの瞳の理知的な風貌を持つが、常に大きな荷物を背負い、大きなカバンを手に提げている。
 迷子になった主人、ラヴレンチ・ブレイクハーディットを探して《封鎖領》を旅している。
 幻の流派【ライロック魔刃術】の達人であり、人族とは思えない常識外れの戦闘力を誇る。その度の過ぎた合理主義から、見る者によっては残忍に映ることも。

 【岩の上の街】を守護する<六人のマリー=アン>によれば、ラヴレンチに仕える彼女はルーンフォークの姿をしたリャナンシーアサシンである。

 [詳細不明]



“憂鬱の王”ラヴレンチ・ブレイクハーディット
(ヴァンパイアトリステス/男/年齢不詳/絶賛迷子中)
「何も教えてくれないなんてひどいよね、カーツくん……」
 《封鎖領》の旅路の途中、道端に膝を抱えて座り込んでいた奇妙な旅人。
 藍色の髪に切れ長の黒い瞳を持つ儚げな美貌の青年だが、常に浮かべている、憂鬱を通り越して陰鬱の域に踏み込んだ表情のために、疲れ切った印象しか与えない。
 衣服も華美ではないものの、極めて上等な仕立ての背広だが、こちらも旅塵と、それ以上にところ構わず座り込んでしまう性癖によって薄汚れ、下手をすれば物乞いと間違われかねない雰囲気をかもし出している。
 「自分の知らない間に、この辺りに住んでいた知人が大勢死んでしまっていた」と語り、知人たちの墓参を兼ねてその思い出を巡るために旅をしているように見受けられる。

 その正体はアンピュルシオン氏族において、悲しみの性を宿命づけられた<トリステス>の一族の生き残り。ヴァンパイアトリステスは現在ではほとんどが滅びており、ディルフラム王の下に身を寄せるラヴレンチは最古参の一人であるらしい。

 [詳細不明]